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ノルウェーのブランド“ノルウェージャン・レイン”とそのデザイナーが手がけるブランド“T-マイケル”。開店5周年を迎える東京・神田のショップで行われた2024年秋冬コレクションの展示会にて、T・マイケル氏とアレキサンダー・ヘレ氏に、ブランドとショップのさまざまな魅力について話を聞いた。
いわゆるラグジュアリーな服飾を構成する生地や素材は、これまでは稀少であったり、または繊細なものであることが多かった。ところが、サステナブルでエコフレンドリーであることの優先度が高まる昨今、ラグジュアリーの要件も、大きく変化しているように感じられる。環境に配慮した素材を使用するだけでなく、長く着用ができること、そのための堅牢性や、着用者の生活に寄り添う機能性があること。さらには使用遍歴、リペアやケアなどを通じて、価値が減損することなくむしろ高まること。そうした事柄が、ラグジュアリーピースの特徴として挙がることが増えた。
パリや東京に直営店を持ち、世界的に展開しているノルウェー・ベルゲンを拠点する “Norwegian Rain(ノルウェージャン・レイン)”。その名が示す通りコートなどレインウエアをメインとしたブランドだが、現代のライフスタイルに有効なクリエーションを追求した結果、ラグジュアリーウエアの新たなあり方を示しているように映る。高い機能性を持った素材を使い、カジュアルなテイストが基調だが、その根本には、さまざまなライフシーンでシックに装え、かつ長く着用できるものへの追求が感じられる。
「私たちの服では、当初からリサイクルポリエステルを使ったファブリックを採用しています。これは日本の生地メーカーが手がけているもので、“ノルウェージャン・レイン”を始める以前からベストな素材を世界中で探し、テストを重ねて選んだものです」。こう語るのは、“ノルウェージャン・レイン”デザイナーのT・マイケル氏。さらに同ブランドの創設者でありクリエイティブディレクターのアレキサンダー・ヘレ氏は、次のように言葉を継いだ。「マテリアルはウォータープルーフでなくてはいけない。継続して生産可能で、エコフレンドリーでなければいけない。そして最高にテクニカルなファブリックでありながら、落ち着いた雰囲気がないといけないのです。それらのすべての条件を満たす素材を探しました。私たちは現代における最高のレインコート、レインウエアをつくりたいわけで、レインウエア的な代用品をつくりたいわけではないのです」
先般T・マイケル氏とヘレ氏が来日し、発表された“ノルウェージャン・レイン”の2024年秋冬コレクション。そこでは、先述したリサイクルポリエステルを使った生地に、ミリタリー調のコットン生地を組み合わせたアイテムが新たに展開されていた。「これはユーズド&サープラスの、ノルウェー軍のテント生地です。このテントの説明を少しすると、まずポンチョのように着用できて、それがそのまま1人用のテントになります。さらにそれを2つ繋げると2人用テント、複数つなげると大きなテントになります。私たちのブランドには、リパーパス(再利用)、リファイン(改良)というコンセプトがありますが、このテント生地の使用もその表現のひとつです。そして、現代におけるミリタリーのアイテムを再定義し、もっとピースフルな形にならないかと考えました。そこで、服の構成要素として散らばすことにしたのです」(T・マイケル氏)。
またこのシーズンは、展開色をブラックやネイビーなどに絞っている。その理由は、無駄を極力減らし、過剰な生産をしないためだとも。T・マイケル氏はその経緯を次のように説明する。「新型コロナウイルスの経験が大きかったですね。ある日目が覚めたら、世界中のお店が閉まっていました。それを機に、ファッション産業についていま一度考え直そうと思ったのです。そしてオーバープロダクションをしないことで、ものづくりによりフォーカスできます」。さらにヘレ氏が続けた。「私たちはいつも、どうエコフレンドリーであるかに関心があります。ロックダウンで、つくったものの全く販売されなかった服が多く生じました。そこで、私たちはどのように服をつくるかだけではなく、どう販売するかを考えるようになりました。8割のお客さまはブラックやネイビーを買われるわけで、そこにフォーカスをし、もしピンクが欲しい方がいたとしたら、オーダーを受けてつくる方法にしています」
STAFF
Writer: Yukihiro Sugawara
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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