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新緑の爽やかさが感じられ、何かと活動的になるこの季節、アクティブなテイストのフットウエアを選びたい。そんな気分に応えるような、ふたつのまったく異なる個性のスニーカーをピックアップ。
日頃シックで落ち着いたスタイルを好んでいる紳士諸兄も、どこか心踊るような装いを選びたくなるこの季節。普段愛用しているダークカラーのレザーシューズとはまた違った、軽快感ある足元を探している方も少なくないだろう。そんな気分にうってつけのフットウエアがスニーカー。ただ、ジムやランニング、または趣味のスポーツなどでこの種の靴に親しんでいる人ほど、タウンシューズとしてのスニーカー選びに迷ってしまうかもしれない。パフォーマンスギアとしてのスニーカー(と同様の靴)には、本来その機能がフィットするシーンや活動がある。いくらそれが快適だったとしても、トレイルランのシューズを街中で履くことは、トレイルランに親しむ人ほど抵抗を感じるかもしれない。
普段選んでいる革靴と同様に、街や旅などで履くことができるスニーカーとは。そんなテーマへの回答ともいえるようなアイテムが、最近相次いでリリースされている。
“ベルルッティ”といえば、19世紀に創業したパリの注文靴店を源流とするブランド。近年ではメンズのプレタポルテコレクションや、バッグや革小物なども人気を博しているが、その核はやはり靴。創業者の名を冠した一枚革のレースアップモデル「アレッサンドロ」や、あのアーティストにためにつくられたローファーから着想した「アンディ」といったマスターピースがよく知られている。そんな“ベルルッティ”からは、スニーカーもコンスタントにリリースされている。上質なレザーを使い。クラフツマンシップを感じさせるディテールを盛り込んだデザインで、オーセンティックなレザーシューズと並んだ際にも違和感がないような品格を備えている。
今季“ベルルッティ”から新たにリリースされたスニーカー「プレイタイム」。これは、同ブランドが2014年に発表した同名モデルのアップデート版という。往年のテニスシューズから着想された、外羽根、6アイレットの洗練されたスタイルを踏襲しつつ、履き口両脇には「つまみ縫い」の意匠が配されていたり、ソールとアッパーの間にローファーのサドル部分のようなハンドステッチがあったりと、アルチザン的ディテールが巧みに盛り込まれている。ナチュラルホワイトのカーフレザーを全面に使いつつ、タンやヒールパッチには“ベルルッティ”ならではのパティーヌ(色づけ)仕上げの革を使い、その個性を表現している。
これまで「スクリット(古い手書き文字をもとにした模様)」や「パティーヌ」をフィーチャーしたスニーカーを手がけてきた“ベルルッティ”にしては、どこか抑制的にも感じられる今回の「プレイタイム」。もっともその控えめさゆえに、素材そして靴づくりの品質の高さがより強く感じられる。そしてホワイトTシャツやデニム、チノパンツなど定番的なアイテムと組み合わせることで、タイムレスな美しさと上質さが際立つ。さまざまな装いやモノを楽しんできた経験がある方ほど、魅力的に感じるかもしれない。
今季注目のスニーカーとして挙げたいもうひとつが、イタリアのブランド“スペルガ”。その最新モデルで、イタリア生産の「Superga® 1925」である。現在同ブランドの定番モデルである「2750」の誕生100周年を記念して、数量限定で展開されている。ちなみに1925とは「2750」の原型であるテニスシューズがつくられた年である。
1911年に、スイスの技術者ウォルター・マーティニーが天然ゴムを使ったラバー製品をつくる会社をイタリア・トリノに設立。その後ヴァルカナイズ製法を使った靴づくりを手がけるようになり、キャンバス生地のアッパーとラバーソールの「2750」が誕生した。ちなみに“スペルガ”は、トリノのスペルガ大聖堂に由来する。大戦後に復活し、現代までさまざまなフットウエアを手がけてきた中、「2750」は“スペルガ”を代表する存在として変わらず人気を博し続けている。近年では英国のキャサリン妃が着用したことでも話題となった。
現在「2750」はベトナムのファクトリーで生産されているが、今回の100周年記念モデル「1925」は、オリジナルのデザインを復刻し、イタリアのファクトリーでつくられている。「2750」よりもスマートなシルエットで、ハトメなどは往時を感じさせる、シンプルなものが選ばれている。アッパーには生成り調の、ベージュカラーのコットンキャンバス生地を使用。ヒールパッチもかつてのものが復刻されている。オーセンティックな「2750」に対して、「1925」はよりルーツを感じさせ、クラシックな印象だ。
例えばリネンのオープンカラーのシャツにコットンパンツ、またはコットンジャージーのポロシャツにグルカショートパンツなど、そうしたカジュアルながらクラシックなアイテムの着こなしに、このスニーカーは相性がよい。また、例えばコットンスーツやリネンセットアップをよりカジュアルに、リラックス感とともに着こなす際にも有効だ。他のコットンファブリックを使ったスニーカーでは足元だけカジュアルな印象になりがちだが、この「1925」ならばクラシックかつミニマルな存在感で、バランスよくまとまりそうだ。
ラグジュアリーでシックなテイスト、またはルーツを感じさせるクラシックな存在感。今回紹介したふたつのアイテムは、それぞれ異なる視点から、現代のライフスタイルにおいて求められるスニーカー像に応えているように映る。成熟した感性の持ち主こそ、その価値観やストーリーを味わいつつ、装いに巧みに取り入れて、活動的な季節を楽しんでいただきたい。
STAFF
Writer: Yukihiro Sugawara
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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