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話題の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)。蔦屋重三郎がどんなピンチもチャンスに変え、版元としてブレイクしていく『べらぼう』の世界により没入できる特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」が東京国立博物館 平成館 特別展示室で開催中です。
初回から話題を呼び、人気の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)。横浜流星による主人公・蔦重こと蔦屋重三郎が人々を楽しませようとどんなピンチもチャンスに変える、前向きな姿勢に多くの人が日曜夜からエールをもらっている。そんな『べらぼう』の世界により没入させてくれるのが現在、東京国立博物館 平成館 特別展示室で開催中の特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」である。
蔦重(1750年〜1797年)は、喜多川歌麿や東洲斎写楽といった浮世絵師を世に送り出した人物。江戸の遊郭を手始めに歌舞伎界に進出、武家や富裕な町人を通じて、独自のネットワークで、人気のある役者、戯作者、絵師を囲い込み、さまざまな分野を結びつけ、今でいうメディアミックスによって、次々と出版業界に新機軸を打ち出していった。
本展ではそんな蔦重の活躍が時系列で追えるようになっている。約250点もの作品を3章構成+附章の4部から構成で紹介。稀代のマーケターで名プロデューサー、彼のビジネス手腕と芸術性がいかに価値あるものであったか、体感できる内容で、ドラマを楽しんでいる人はもちろん、まだの方も追随しやすい。
最初に目に入るのは江戸時代の遊郭・吉原への唯一の入場口であった吉原大門。「べらぼう」の撮影で実際に使用されたセットが持ち込まれている。門をくぐるとそこは吉原のメインストリート「仲之町」。当時、多くの桜が移築され、ライトアップされた桜祭りの様子さながら、幻想的なムードに包まれている。音声ガイドナビゲーターは横浜流星。蔦重の人生や歌麿、写楽といった絵師たちの作品の魅力をわかりやすく解説する。
「1章 吉原細見・洒落本・黄表紙の革新」では非業の死を遂げた非常の人、平賀源内の「エレキテル」や蔦重が苦労して手がけた吉原の情報誌「吉原細見」、生花に遊女をなぞらえて紹介した蔦重が初めて手掛けた出版物「一目千本」など、これまでのドラマのエピソードと縁の深い品々の本物が並ぶ。ドラマの美術がいかにオリジナルを参考に丁寧に仕上げられているかを見比べるのも面白い。
「2章 狂歌隆盛—蔦唐丸、文化人たちとの交流」では狂歌ブームに目をつけた蔦重がプロデューサーとして商才を発揮した時期に焦点を当てる。四方赤良(大田南畝)や唐衣橘洲、朱楽菅江ら当代一流の文化人たちと交流し、文字だけだった狂歌本に絵を描かせ、豪華な狂歌絵本を作って、町民文化を繁栄させたのも蔦重。限られた人のものだった出版物を民に開き、自分の歌を本にしたい人々が出資、発展していった。珍しいのは歌麿による枕絵《歌まくら》。創立150年を超える東京国立博物館の歴史のなかで枕絵が展示されるのは初めてだとか。
「3章 浮世絵師発掘—歌麿、写楽、栄松斎長喜」ではいよいよ浮世絵に進出した蔦重の仕事ぶりが伺える。蔦重は歌麿、写楽、栄松斎長喜といった名だたる絵師の力を最大限に引き出した。「高名三美人」など、市井の女性たちを個性的に生き生きと描いた歌麿。役者に嫌われるほどリアルすぎる大首絵で知られる写楽。現在、世界的に知られる作品の数々は蔦重のプロデュースあっての賜物。
「附章 天明寛政、江戸の街」では「べらぼう」のセットで18世紀後半の日本橋近辺を再現。間近に見るだけでなく、蔦重の店である耕書堂には実際に入ったり、撮影もできる。まるで江戸の街にタイムスリップしたよう。テレビで使われた小道具も展示されている。ガイダンスルームでは「べらぼう」の世界を体感できるVRコンテンツも。
同じく横浜流星がナビゲートするのはNHKの高精細映像と技術を結集したイマーシブシアター「新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~」。本館 特別5室に高さ約7メートルの巨大な正方形LEDモニターを設え、縄文土器、はにわ、鎧兜、絵巻、浮世絵など、日本の至宝をデジタルアート化した映像が鑑賞できる。
表慶館では総勢85名のアーティストたちが、江戸の技を受け継ぐアダチ版画研究所の彫師・摺師と「現代の浮世絵」を制作した「浮世絵現代」を実施。社会や風俗を映し出す芸術として、江戸時代に独自の発展を遂げた浮世絵。国内外、著名アーティストたちによる現在のペイントが職人とコラボすることによって、独特な風合いの現代浮世絵に進化した。
水木しげるによる妖怪道五十三次や安野モヨコによる美人画など、著名な漫画家の作品が並ぶ第1章。北斎の優れた紋様に現代のデザイナーたちが着目した第2章。草間彌生、横尾忠則といった国際的なアーティストたちの感性が見事に浮世絵と融合した第4章など、章ごとにユニークな現代らしい浮世絵がずらり。明治末期の洋風建築を代表する建物として重要文化財に指定されている表慶館のモダンな雰囲気と絶妙な相性を見せる。
平成館では蔦重展に続いて、7月からは「江戸☆大奥」が開幕。秋まで東博は江戸一色。時代を超えてなお、私たちを魅了する江戸文化はドラマファンに限らず、一見の価値あり。
会期:2025年4月22日(火)~6月15日(日)
会場:東京国立博物館 平成館
会期:2025年4月22日(火)~6月15日(日)
会場:東京国立博物館 表慶館
会期:2025年3月25日(火)~8月3日(日)
会場:東京国立博物館 本館特別 5室
MOVIE WRITER
髙山亜紀
フリーライター。現在は、ELLE digital、花人日和、JBPPRESSにて映画レビュー、映画コラムを連載中。単館からシネコン系まで幅広いジャンルの映画、日本、アジアのドラマをカバー。別名「日本橋の母」。
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Composition: Kyoko Seko
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