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100年以上にわたるグッチの歴史の中で特にアイコニックなデザインを先進的な演出で展示する世界巡回展が、グッチ日本上陸60周年を記念して京都市京セラ美術館で開催中。ブランド創設の地フィレンツェと50年以上にわたり姉妹都市である京都で、日本との長く深い結びつきを祝うとともに、フィレンツェから始まったグッチの歴史を探求し、その尽きることのないクリエイティビティへの賛歌を紡ぎ出しています。
「Gucci Cosmos」では、英国の著名なコンテンポラリーアーティストであるエス・デヴリン氏が考案とデザインを、イタリアのファッション研究家であり評論家のマリア・ルイーザ・フリーザ氏がキュレーションを手掛け、グッチの過去、現在、未来をめぐる遊び心に富んだ旅を体験することができます。それぞれの時代を象徴するアイテムが、いかにして歴代のグッチのクリエイティブ・ディレクターやデザイナーたちにインスピレーションをもたらしてきたのか、興味深く展示されています。
コンテンポラリーアーティスト、エス・デヴリン氏は、「昨年、京都の街や寺をめくり、京都市京セラ美術館の荘厳な回廊を歩いたとき、フィレンツェと京都をつなぐ糸を感じました。手と心の動きが似ているのです。この美術館のコレクションで見つけた、淡い色彩で描かれた月や馬、竹林は、アイコニックでありながら進化を続けるグッチのクリエイションと共鳴しています。
また、1947年に誕生したグッチの革新の象徴、カーブしたバンブーのハンドルを持つバッグの中にも、グッチのルーツと日本のつながりを感じました。Gucci Cosmosは、上海では航空機工場、ロンドンではザ・サヴォイ ホテルに近いブルータリズム建築へと旅をしながら、その空間や建物と向き合い対話をしてきました。美術館を舞台にするのは今回が初めてです。私は、展示ルームや回廊、そこに配された品々には声があり、私たちが見ていないときにお互いに語り合っていると信じています。私たちの耳が理解することができない言語で。京都市京セラ美術館でのGucci Cosmosを訪れる皆さまには、何十年もの間、同じルーツや想い、願望を共有してきた品々がここに集い初めて顔を合わせて対話している場に招かれたように感じていただきたいと思っています」
キュレーションを手掛けたマリア・ルイーザ・フリーザ氏は、「私にとって、グッチの歴史を探求するこのプロジェクトは、毎回それぞれに独自の視点と新たな発見をもたらしてくれます。100年以上にわたりファッションをはじめとする視覚文化のアイコン的な先駆者であり続けたブランドの物語を、衣服、オブジェ、エレメント、人々、時代背景という実に多様なレンズを通して伝えるだけでなく、会場のスペースや開催する都市の雰囲気によって変化するエキシビションに取り組むことができるのですから。
京都市京セラ美術館のような歴史と格式のある舞台で、新しい解釈やエレメントを加え、より豊かな体験へと再構築することは、とてもやりがいのある挑戦でした。Gucci Cosmosは、グッチの起源と未来を思い描くイマジネーションの力で絶えず革新されていくその歴史の物語を、イマーシブに体験するエキシビションです」
今回のエキシビションでは、セクションを6つに分けて展示されています。フィレンツェにあるアーカイブ収蔵品からは、歴史的な逸品やシンボルを通じてグッチの伝統とクラフツマンシップをご紹介するなど、レアなアイテムもありファン必見です!さらに、開催地の独自の視点を取り入れ、長きにわたるグッチと日本の絆をたたえながら、京都と日本に息づいている伝統文化とその革新の歴史に共鳴するストーリーとエレメントも綴っています。
常に進化を続け、未来を具現化するグッチ アーカイブのダイナミックな本質が表現されたこの空間は、来場者がグッチの過去、現在、未来をそれぞれの視点で感じ取ることができる展示に。引き出しや棚、展示ケース、ボックスに収納された資料を自ら発見することができ、それぞれの時代へと誘います。
グッチオ・グッチがロンドンのザ・サヴォイ ホテルでの経験からラゲージの製造から始めた1920年代のキャンバス製スーツケースや、エレガントなで機能的な時代のスピリットを反映した1970年代のバッグ、1969年のフローラ プリントのシルクドレスなど、時代を超えて続くグッチのクリエイティビティを照らし出しています。
乗馬の世界とのつながりは、シグネチャーモチーフの宝庫。円形の空間を取り囲むように設置された大型スクリーンに迫力のある映像が映し出され、疾走する馬の蹄の音と、馬たちの鼓動のリズムに乗せて乗馬にまつわる言葉を朗読する声が響き渡ります。展示されている数々のアーカイブ アイテムは、乗馬の世界とつながるグッチのさまざまなシグネチャーモチーフが、どのようにイマジネーションをかき立て続けてきたかを示しています。
1970年代から現在までのグッチのコレクションをまとったマネキンたち並び、まるでランウェイを歩くモデルのよう。これらのルックはシーズン(年代)ごとではなく、カラーやインスピレーションによって並べられ、まるで時を超えてダンスをするかのような、新たなつながりが生み出されています。
トム・フォードから現在のサバト・デ・サルノまで、さまざまなクリエイティブ・ディレクターたちのルックが並んだ図はまさに圧巻。2024年のゴールデングローブ賞授賞式でテイラー・スウィフトが着用したサバト・デ・サルノによるグリーンのドレスから、日本文化に影響されたトム・フォードのキモノドレスなども展示されています。
「Leisure Legacy」と名付けられた華やかな空間には、レジャーとファッションのつながりをリードしてきた数々の作品が展示されています。グッチはラグジュアリーブランドの中でも初期の段階からスポーツの世界との融合を果たした。
1970年代に誕生したGGパターンのテニスバッグ、1988年に作られた精巧な馬のサドルなど、スポーツの世界やライフスタイルに対するグッチの揺るぎない情熱を物語っています。見どころは、京都市京セラ美術館のコレクションから選ばれた日本における余暇や屋外での楽しみにちなんだ作品とのコラボレーション。
ゴルフバッグと丹羽阿樹子《ゴルフ》(昭和初期)、マリン モチーフのアイテムと中村研一《瀬戸内海》(1935)、サドルと菊池契月《紫騮》(1942)など、グッチのアイテムと美術館コレクションが提示されており、京都市京セラ美術館でしか実現できない展示構成となっています。
1947年に誕生したアイコン「グッチ バンブー 1947」バッグを一堂に見ることができる「Bamboo」ルーム。その美しい曲線を描くシルエットは馬のサドルの輪郭を模したもので、グッチが初めて乗馬の世界からのインスピレーションをデザインに落とし込んだ製品が並びます。
グッチの日本上陸60周年を記念するコラボレーションプロジェクト「Bamboo 1947: Then and Now」の一環として、ヴィンテージの「グッチ バンブー 1947」バッグを日本の伝統工芸作家とコンテンポラリーアーティストが再生した作品の一部を展示。日本の伝統工芸の継承者である、彫金家で人間国宝の桂盛仁氏、陶芸家の中里博恒氏、塗師の渡慶次愛氏に加え、コンテンポラリーアーティストである画家の八重樫ゆい氏、写真家の森山大道氏、画家の横山奈美氏が、独自の美学と匠の技で主に1980年代と1990年代のヴィンテージバッグに新たな命を吹き込み創り上げた60点の作品を展示しています。
鮮やかなレッドで彩られたこの展示ルームは、誰もが人生に影響を与える運命の相手と目に見えない赤い糸で結ばれているという日本の「赤い糸」の伝承からインスピレーションを得ています。
レッドはグッチの歴史を通して繰り返し登場してきたカラーで、過去と現在をクリエイティブな表現でつなぐ“fil rouge”(赤い糸)。クリエイティブ・ディレクター サバト・デ・サルノは深みのある赤を「グッチ ロッソ アンコーラ」と名づけ、グッチの新たなシグネチャーカラーとしました。思いがけないものを永遠の美や革新のシンボルへと昇華する力を示しながら、グッチの自由なスピリットと無限のエネルギーを表現しています。
主催:グッチ、京都市
会場:京都市左京区岡崎円勝寺町 124
京都市京セラ美術館 本館 北回廊1階、新館 東山キューブ
会期:2024年10月1日(火)〜12月1日(日)
開館時間:10時〜18時(最終入場は17時まで)
休館日:月曜日(祝・休日の場合は開館)
観覧料:一般2,200円(2,000円)/大学生1,500円(1,300円)/高校生1,000円(800円)/中学生以下は無料
https://www.gucci.com/jp/ja/nst/cosmos-exhibition
STAFF
Photos: ©Courtesy of Gucci
Text: Ikuko Dobashi
Composition: Kyoko Seko
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