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BMW株式会社が世界的アーティスト「ジェフ・クーンズ」デザインの限定車〝THE 8 X JEFF KOONS〟を発表した。チャリティオークションを実施し、その落札価格全額が「メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパン」へ寄付される。この意欲的なプロジェクトの全貌を紹介しよう。
〝THE 8 X JEFF KOONS〟は新型BMW M850i x Drive グラン クーペをベースに、ジェフ・クーンズとコラボレーションした世界でもわずか99台の特別限定車だ。
エクステリアにはブルー、シルバー、イエロー、ブラックなど11種類のボディカラーが使用され、ジェフ・クーンズの特徴であるメタリックやポップな色彩感覚が表現されている。ボディの両サイドには「POP!」の文字と前から後ろに向かって爆発する蒸気推進力のデザインエレメントが用いられ、リヤのカラーラインは2010年にクーンズが手がけたBMWのアートカー「M3 GT2」へのオマージュとなっている。
アーティストのジェフ・クーンズ氏自身はこのコラボレーションのテーマを、「BMW8シリーズは、私の夢が詰まったクルマです。スポーティで華やかでありながら、ミニマリストでコンセプチュアルでもあります。ブルーは果てしない大宇宙を想像させますが、グローバル・カーであるという、このクルマのアイデアが私は気に入っています。大切なのは、人と人との関係性や、自分を取り巻くすべてのものへの意識です。ドライバーと同乗者全員の喜びが高まっていくようなクルマを目指しました」と語っている。
〝THE 8 X JEFF KOONS〟は通常の店舗、およびオンラインでは販売せず、オークション方式で購入者を決定する。6月16日から6月27日まで専用のオークション・サイトにて入札を行い、最高額入札者は〝THE 8 X JEFF KOONS〟購入の権利を得る。この落札価格の全額が、難病を患う子供の夢を叶える活動を展開する非営利ボランティア団体「メイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパン」に寄付される。
BMWブランド・マネジメント・ディヴィジョンのプロダクト・マネージャー 御館康成氏は、今回のコラボレーションと既存のアートカーには大きな違いがあると言う。
「アートカーと言えば、アーティストが車体にペイントするワンオフ車を思い浮かべる方も多いと思います。しかし、この〝THE 8 X JEFF KOONS〟は、アートとしてのクオリティは担保しながらも、現代社会のテクノロジーを用いて量産基準に適った、公道で運転を楽しめるアートカーです。アメリカンヒーローを想起させる内装デザインは、クーンズ氏のテーマカラーでもある赤や青を使用し、これは同時にBMWの伝統的なレースブランドBMW MのMブルーとMレッドでもあります。特別限定車の証として、センターコンソールにジェフ・クーンズ氏のサインが入っていますが、こちらもBMWを象徴するバーバリアンブルーを使用しています。V8エンジンを搭載した最上車種M850iを選んだのはBMWのエンジニアリングへのリスペクトです。この計画の構想は2019年から始まりましたが、クーンズ氏とはそれ以前の2010年にアートカーを製造して以来、BMWのデザインスタッフとの関係性は続いています。ぜひ、この車が街中を走る姿を一人でも多くの方に見ていただきたいと思います」
なぜBMWはジェフ・クーンズ氏をパートナーに選んだのだろうか?また今回あえてアートオークションで販売する、その意味は何なのだろう?その理由をBMWブランド・マネジメント・ディヴィジョン本部長の遠藤克之輔氏はこう語る。
「実は、私たちはこれを車だと思っていません。日本に一台しかないアートピースだと思っています。ジェフ・クーンズ氏を選んだのは、2010年からアートカーでコラボレーションしていること、さらに彼の既存の枠組みに対して挑戦するスピリットがBMWと共通していることからです。もちろん、伝統、信頼、安心はBMWの基本哲学ですが、例えば1972年のミュンヘンオリンピックで、マラソン競技の先導車用に電気自動車を世界に先駆けて作ったのはBMWでした。このようにBMWには自社の先進性により、世の中に新鮮な驚きを伝える企業姿勢があるのです。過去にBMWでは19台のアートカーを作成しているのもその表れです。今回はデザインだけでなく、インテリア、エクステリアも含めて、ジェフ・クーンズ氏のチームがBMW本社の生産チームと一緒に何ヶ月も協議を重ね、制作を行なった結果、より深いレベルでのコラボレーションになっています。
私個人の解釈としては、今回のアートカーは、ジェフ・クーンズ氏の思想、アートは誰もが共有し楽しめるものでなくてはならない、つまり権威主義へのチャレンジであるように感じています。このコラボレーションではドライバーが公道で乗って楽しむことで、同時にこのアートピースを通じて、BMWのメッセージを広くお客様にお伝えすることができるでしょう。さらにチャリティオークションによって子供達にも夢を届けることができるのです。ノブリス・オブリージュ(社会的地位の高い者には責任が伴うと言った意味)という言葉もあるように、社会に還元する仕組みが重要です。それにはアートは最適の手段と考えています」
CSRを通じて地域社会に貢献するというBMWの企業理念が生んだ新たな挑戦。公道でこのアートカーを発見する日が待ち遠しい。
STAFF
Writer: Yoshimi Hasegawa
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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