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ラジオやTVから流れる、落ち着いた声に思わず耳を傾けた人も多いはず。 とっておきの音楽や社会に関する深い見識を、優しくも率直な語りとともに私たちに提示してくれる「ブロードキャスター」。 みずみずしい感性を維持しながら、成熟した大人として振る舞うその秘訣は、無理をしない、自由でしなやかな姿勢にありました。
その柔和かつ率直な語り口で、長らくドキュメンタリー番組の顔を務め、現在もTVやラジオで多岐に活躍しているブロードキャスター、ピーター・バラカン。
「あえてブロードキャスターと自称しています。英語でbroadcasterというと、電波媒体で表現活動する人を指しますが、タレントやパーソナリティとはちょっと違って、それを日本語で表現する言葉はないのです。『CBSドキュメント』に出演し始めた30年前ぐらいから、この呼称を使っています」
彼はまた、幅広い知識と経験に基づいた、ロックなどポピュラーミュージックの紹介者としても知られている。
「ただ、僕は音楽評論家と名乗ったことはありません。それは、趣味で音楽を紹介しているから。自分の好きなものを、情熱をもって人に言いふらしているだけです」
英国・ロンドン大学で日本語を学び来日。20代後半にラジオの番組と関わるようになってから40年近く、他番組であまり扱わないような、実はこんないい音楽がある、というものを選び紹介してきたという。
「リスナーに対して、誠意を持つこと。噓をつかない、偉そうな態度をとらない。そしてひとりひとりが本当に自分はこれがいい、と思うものを伝えることがいいんじゃないかな」
そう音楽や放送への姿勢を語る一方で、次のように続ける。
「僕は、どんなことでも無理をしないタイプです。例えば、毎朝近くの公園を歩いていて、走ったほうがいいと言われたりもしましたが、急にドキドキするのは嫌なので、走りません(笑)。音楽も無理して聴いたり紹介しようとしていると、〝仕事〟になって、楽しくなくなってしまいます」
さらに、新譜を何枚紹介する、といったノルマ設定は、数字という見せかけのための無理で、良くないとも。こうした姿勢こそ、音楽に対して新鮮な感覚を保ち、その魅力を生き生きと紹介し続ける秘訣かもしれない。そんな彼が近年取り組んでいるのが、今年で6回目の『LIVE MAGIC!』という音楽イベント。もともと頼まれて監修を引き受けたが、「自分が正直に聴いてほしいと言えるアーティストじゃないと、宣伝するのは難しい」と、広く知られてはいないが、クオリティが保証できるアーティストを国内外から選び招聘している。今回はニューヨーク拠点の、5カ国出身の女性たちによるマリアッチ・グループが面白いですよと、楽しげに語ってくれた。
さらに本誌が追求する大人ということ、今号のテーマであるサステイナビリティについても話が及んだ。
「SNSなどの匿名ではなくて、自分の顔が見えているところで責任をもって発言することは大事だと思います。ただ日本にはしこりを残さず意見を述べ合う文化があまりない。本来敵をつくる必要はないはずで、そこをどう乗り越えるか。そこで、政治などではなく、生活に直接関わるような、サステイナビリティや健康などについて話すことは、自ずとその人の生き方も表れてくるし、似た価値観を持つ仲間を見つけることがたぶんできると思います」
そして、音楽とサステイナビリティに関して。
「古い音楽をよくかけます。録音技術ができて140年以上になりますが、その間に無数の優れた音楽が世界中でつくられてきました、それらを聴かずに新しいものだけを聴くのは、あまりにもったいない。限られた僕の好みの範囲かもしれませんが、少しでもそれらを知ってほしいと思っています。いい音楽に触れたとき、世代にかかわらず人の心はやはり動くものですから」
シンコー・ミュージック勤務時代より執筆活動やラジオ番組への出演などを開始し独立。
現在は『バラカン・ビート』(Inter-FM)他のラジオ番組や『ジャパノロジー・プラス』(NHK BS1)等のTV番組に出演している。
また、2014年より東京・恵比寿ガーデンプレイスにて開催される都市型音楽フェスティヴァル『LIVE MAGIC!』を監修。
2019年は10月19日、20日に開催。
https://www.livemagic.jp
初出:2019年09月23日発行『AdvancedTime』02号。掲載内容は原則的に初出時のものです。
STAFF
Photos: Makoto Nakagawa(CUBISM)
Composition: Yukihiro Sugawara
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