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今季の“ポール・スチュアート”は、“ヴィターレ・バルベリス・カノニコ(VBC)”の機能性素材「オフリミッツ」とコラボレーション。紳士服としての正統な美を備えつつ、現代の着心地を実現したスーツとは。担い手たちの言葉から、その実像と価値を知る。
“ヴィターレ・バルベリス・カノニコ(VBC)”の機能性生地「オフリミッツ」にて別注したチョークストライプの生地を使ったセットアップ。17.5マイクロンの高品質なウール素材が97%、2%ナイロン、1%エラスティックという組成で、ウールの上品な表情はそのままに、適度な伸縮性や堅牢性が備わっている。また芯材などを可能な限り少なくし、裏地をなくした一枚仕立てで軽快な着心地を実現。
こちらも“VBC”「オフリミッツ」の生地を使った、ハウンズトゥース(千鳥格子)のモデル。生地の組成はチョークストライプと同様。内部は上写真のように袖部分以外は裏地がなく、芯地なども最少限にして、軽い着心地を実現している。ニットなどを合わせて、カジュアルシックな着こなしも可能だ。
こちらは別の「オフリミッツ」生地を使ったもの。リサイクルポリエステルを49%、21マイクロンウールを25%、さらにレーヨンとエラスティックを使った生地は、機能性と軽さを備えている。
右より、“ポール・スチュアート”ディレクターの鴨志田康人氏、“ポール・スチュアート”のスーツなどを手がけるサンヨーソーイングの永野孝志社長、“ヴィターレ・バルベリス・カノニコ(VBC)”PR&マーケティングアドバイザーの長谷川喜美氏。日本とイタリア、双方の文化で培われたクラフツマンシップと美意識が融合した、今回のエクスクルーシブモデルについて、三者三様の見解が交わされた。
─“ポール・スチュアート”では、スーツの上着やジャケットなどをサンヨーソーイング福島ファクトリーが手がけています。ブランドディレクターである鴨志田さんが感じられたファクトリーの個性とは、どういったことでしょうか。
鴨志田:ひとことで言えば、真面目な服づくりです。いい意味で特徴やクセを感じさせない、まっとうなスーツ、ジャケットです。これ見よがしなものはなくて、着心地がよく、そして飽きがこない。トラディショナルで、クラシックな印象です。
─福島ファクトリーに長年関わられてきた永野社長から見た、その特色をお聞かせください。
永野:立体的なシルエットには、ずっとこだわってきました。着たままでいられるというか、肩が凝らず、疲れない着用感を常に意識しています。より具体的には、服全体が横に広がらず、前に動く感じです。前肩、前向きな肩の形状により、立体的に仕上がります。パターンメイキングから縫製の最初のダーツ処理、修整など、全ての工程においてそれを目指して作っています。
─今、テーラードウエアに求められていることは、何でしょうか。
鴨志田:やはり軽さと快適性でしょう。今回展開するスーツ(セットアップ)は、そのニーズに応えるものです。イタリアの生地メーカー“ヴィターレ・バルベリス・カノニコ(VBC)”とは、これまで嗜好性が高くこだわった生地に取り組んできたのですが、今回は現代のニーズに対応した“ポール・スチュアート”らしさとして、あえて機能性のあるスーツ素材を採用しています。このような正統派の雰囲気と機能を兼ね備えた生地は意外に少ないのです。
長谷川:弊社“VBC”はクラシックで良質なものを作るという共通の哲学のもと“ポール・スチュアート”と長年協業してきました。今回はポール・スチュアート青山本店5周年記念として、「オフリミッツ」という機能性に特化したレンジを取り上げていただいています。そしてハウンズトゥースチェックとチョークストライプという、クラシックなメンズウエアを象徴するような生地を、「オフリミッツ」で作りました。
永野:ウール97%の生地は、触感がよく、ストレッチ性もあって軽く、そして縫いやすい。もう一方のリサイクルポリエステルを使った生地は、独特な風合いですが、意外に仕立て映えしました。適度な柔らかさがあり、バランスがよい生地です。
鴨志田:“VBC”は素材の組み合わせや織りなどがもたらす効果を熟知しているんですよね。昨今の合繊系の生地では、こうしたテーラードスタイルのものは作れなかったりします。その点において、(今回の生地は)全く似て非なるものですね。
永野:あと、構造としては一枚仕立てですが、肩だけに芯地が入っていて、軽くしながらも、しっかり構築感を出しています。そのあたりは技術者のこだわりを反映しています。
長谷川:今回は生地も相まって、“ポール・スチュアート”の中でも軽量であり、なおかつ構築的な服が実現しました。
鴨志田:さらにオーセンティックな雰囲気も備えています。
永野:ビジネスシーンにおいても、大いに活躍しそうですね。
水などにも恵まれ、イタリア随一の服地産地として知られるビエッラ地区。同地区の創業1663年の老舗ファブリックメーカーが“ヴィターレ・バルベリス・カノニコ”である。同社は原毛から生地までを一貫して生産。年間約5000種という幅広いバリエーションの生地で知られる同社だが、今回採用している「OFFLIMITS(オフリミッツ)」は、ポリエステル素材の使用や、さまざまな加工により高い機能性を持つ生地を展開する、同社の中でもテクノロジーを強く感じさせるレンジである。
現在、青森と福島にファクトリーを展開するサンヨーソーイング。“ポール・スチュアート”ほか三陽商会各ブランドの服づくりを担っている。福島ファクトリーは、ジャケットなどのテーラードウエアが専門。「元々、総毛芯の本格的な仕立てのジャケットづくりが中心の工場でしたが、現在ではハーフキャンバスやチェストピースだけのもの、または一枚仕立てなど、どのような仕様にも対応しています」と永野社長。熟練した職人たちによる、緻密で高品質な服づくりが追求されている。
5周年記念のエクスクルーシブモデルに因んだ特別なワインなどを楽しむカクテルイベントが、11月7日(金)に青山本店にて開催。詳しくはリンク先をご確認ください。
初出:2025年9月27日発行『AdvancedTime』28号。掲載内容は原則的に初出時のものです。
STAFF
Photos: Toru Oshima, Yuichiro Ogura
Stylist: Tomohiro Saito
Editor: Yukihiro Sugawara
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