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AdvancedClub 好評に終わった京都・町家エリアでの「長く愛せる家具と季節を感じるデザート」イベントをレポート!
1926 年、スウェーデンに誕生したボルボ。以来、同社における車開発の根幹には「常に安全でなければならない」という理念が置かれてきた。対クルマ、対人間、対物、さらに対動物など、あらゆる状況において優先されるのは人命であり、その強い思いは、時にメーカーという枠をも越えた。1959 年、世界初の「3点式シートベルト」を発明し、特許を取得するも「安全は独占されるべきではない」として、無償で公開。これにより、3点式シートベルトは世界中の自動車に使用され、100万人を超える人命が救われたともいわれている。現在のクルマ社会においては至極当然の「安全の理念」を、創生期から、わずかなブレもなく育み、そして未来へと繋げていこうとしているボルボ。もちろんその思いは、内外装のデザインや搭載テクノロジーをアップデートしたフラッグシップモデル「XC90」へと受け継がれている。そこにあるのは新たな『ボルボ神話』の予感だった。
2003年、ボルボ初のSUVとして登場した「XC90」。プレミアムSUVが世界的にも支持され、初代モデルはアメリカでもっとも人気のあるボルボ車となり、一時は売上の約25%を占めた。その登場したばかりの「XC90」を、ボルボの母国、スウェーデンでテストドライブする機会を得た。だがしかし、その季節は極寒の2月だった。
試乗のベースとなったのはスウェーデンのもっとも北に位置する都市「キールナ」から車で20分ほどのところに建つ「アイスホテル」。聞けば「人生で一度は泊まりたいホテルのひとつ」と言われるところだとか。確かに氷や雪でつくられた館内と客室、そして氷に彫られた彫刻や家具がキラキラと輝く様子は神秘的であった。一方で「もし、この氷の世界に無防備で放り出されたらどうなるだろうか」という、ある種の恐怖を感じたのだ。
実はチェックインするまで私たちは、雪と氷が交互に現れる雪道を「XC90」でひたすら走り、極寒での走行性などを体感していた。さすがにボルボ流AWDの安定性は高く、市街地から郊外路、さらに高速走行などを難なくこなし、無事にホテルに到着した。だが、そこで私がもっとも印象深かったのは「無事に到着できたこと」だった。
テスト走行中、同乗したエンジニアがことあるごとに「こんな雪の世界の真ん中で、もしクルマが止まったら……、もしエンジンが止まったら死に直結することもある。だから動けなることはもちろん、例えクルマが動けなくともエンジンだけは停止しないようにしなければいけない」と口にしていた。確かに日本のように街と街の距離が近かったり、人通りもあれば、北海道を除いてという事になるが、雪原にぽつりと取り残されることは多くはないはず。
だが北欧は違った。針葉樹の林と点在する氷が張りつめた湖、そして昼なお暗い景色の中を走りながら「何ごともなく走れる安堵感」が精神にとって何よりの支えだった。途中、世界最大のシカであり森の王と呼ばれるといわれるヘラジカを何度となく見かけた。本来ならば旅情のひとつかもしれないし、ボルボ自身、このエルクをマスコットキャラクターとして採用している。
だがその体長は2.5mから3m以上、体重は200~825kgといわれる。もしこれが突然目の前に現れたら、ボディへの影響は甚大……。それに対してもボルボは250kg以上の衝突に耐えられるように設計された頑丈なボディ構造を実現することで早くから安全性を確立している。輸入車に乗ることは「その国の文化に乗ること」と言われるが、最新の「XC90」に限らずボルボを名乗るモデルは、スウェーデンが育んだブランドということになる。
そのウインターテストから4年後、ボルボは「Vision 2020」という目標をボルボ・カーズの社長兼CEOである「ホーカン・サムエルソン」が宣言した。その内容は「2020年までに、新しいボルボ車に搭乗中の事故による死亡者、そして重傷者をゼロにする」というもの。もちろん「死傷者0」は非常に高い目標であり、簡単に実現できるものではないことも分かっている。だが、それでもボルボが宣言することによって世界は追従することになるだろう。
宣言以来、ボルボは安全への哲学を貫き通すために調査、研究、そして開発は現在進行形で行われている。当然ながら1970年に発足したボルボ独自の事故調査チームが活躍している。このチームはボルボ本社が置かれたスウェーデンのイエテボリから「100km圏内」で発生したボルボ車の関係した事故現場へ出向き、詳細な調査や分析を行うことはすでに知られた存在。実際の事故現場から得られた膨大なデータも安全開発に役立てる姿勢は、当然ながら電動化戦略においても進化は続く。
衝突による衝撃から乗員を守るためのパッシブセーフティ技術や、衝突を未然に回避したり、衝突が避けられずとも事前の対処することで被害を可能な限り低減するアクティブセーフティ技術も時代を先行する形で向上。こうした筋金が入ったボルボが醸成してきた最新の安全思想は、当然のごとくプレミアムSUVの「XC90」にも余すことなく反映されている。
その優れた最新の安全思想は全長4,955mmの堂々たるボディの内側に潜み、乗員を優しく見守っている。佇まいを見れば、トールハンマー形状のヘッドライトと、コの字型の分割式テールランプというボルボのアイデンティティを始め、新鮮なディテールが採用され、プレミアムにふさわしい印象を醸し出している。今回のPHEVといった電動化に合わせた改良によって「XC90」のエクステリアにもBEV(ピュアEV)モデルとの、デザイン上の共通項が随所に見られ、未来感はさらに強まった。これならば大都市の車郡の中にあってもボルボとしての存在感を発散できるだろう。
また、刷新されたインテリアは、センターのタッチスクリーンが大型化されるなど実用性が大幅に向上。「EX90」と「EX30」といったピュアEVシリーズから採用された、最新のユーザーエクスペリエンスが、「XC90」にも搭載されている。
スカンジナビアン・コンテンポラリーデザインを追求したキャビンはゆとり十分。ステージ、コンサートホール、ジャズクラブの音響を忠実に再現できる「バウワース・アンド・ウィルキンス(Bowers & Wilkins)製のオーディオシステムから流れる調べに心を委ねながら、シンプルでクリーンなインパネに目をやる。縦型のセンタースクリーンに多くの機能を集約し、操作性は良好。ドライバーの目の前には速度や地図、そしてナビゲーション情報などを表示する小さなモニター、さらにヘッドアップディスプレイなどが備わる。
そんな快適なキャビンに身を置きながら、ゆったりと走り出せば低重心で安定した走りの世界に浸れる。走行感覚はどこまでもスムーズであり、イザとなれば強烈なモーターのパフォーマンスを発揮しながら力強くも走ってくれる。だが、「XC90」のプレミアムの本質は、そうした目に見え、体で感じる“事実”だけではなく、うちに潜む“安全思想”にあることは、その歩みを見れば理解できるだろう。
クルマが世に登場して以来、その存在は「自由の象徴」であり続けてきた。しかし、時が刻まれるに従い、幸福の象徴だったクルマは事故を起こし、人を傷つけ、地球の大気や天候にも変化を与えるような存在になった。そんな悲しい状況をもっとも憂慮している筆頭こそ、ボルボなのかもしれない。だからこそ、来たるべきピュアEV時代へ橋渡し役であるPHEVの「XC90」に乗るということは、「美しき車社会の再構築」の一助になるのだ。
主要諸元 | VOLVO XC90 T8 AWD Plug-in hybrid |
エンジン | 直列4気筒2Lガソリンターボ: 317ps/40.8kgm+電気モーター:フロント 52kW/165Nm、リア:107kW/309Nm |
全長×全幅×全高 | 4955×1960×1775mm |
車両重量 | 2300kg |
車両本体価格 | ¥12,940,000 |
クルマの価値もライフスタイルも急速に変化している今の時代に、更なる楽しみ方を加速度的に増やしてほしいという思いをこめた、知的でアクティブな人のためのライフスタイルメディアが『AQ』です。
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Writer,Editor and Photos : Atsuyuki Kamiyama
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