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シンプルな機能とデザインのドレスウォッチが今年は数多く登場。その中でも、有名ブランドから登場した手巻きのドレスウォッチに注目。ミニマムデザインの最前線となる4本ご紹介する。
ここ数年続いたラグジュアリースポーツウォッチの反動もあるだろう。今年は薄くて上品なドレスウォッチの新作が多く目に留まった。ここでいうドレスウォッチとは、2針か3針のシンプルなデザインで、アリゲーターなどのレザーストラップを組み合わせた時計のこと。シンプルなスタイルゆえに、差別化が難しく本当の実力が試されるジャンルでもある。
そんなドレスウォッチは有名ブランドから多く登場していたので2回にわたってご紹介したい。今回は正統派とも原理主義的ともいえる2針及び3針で、機械式手巻きムーブメント、しかもデイト表示なしの文字盤デザインをセレクト。ディテールに目を配り、ムーブメントにも自信ありな有名ブランドの“手巻きドレスウォッチ”はどれも外れはない。
まずはカルティエのプリヴェ 「トーチュ」からだ。
亀の甲羅をモチーフにしたケースデザインの「トーチュ」はオリジナルが1912年に登場した、カルティエでも古いコレクションのひとつ。そのトーチュが「カルティエ プリヴェ」コレクションの第8弾として登場。カルティエ プリヴェとは、歴史的に価値の高いカルティエの名作を甦られた最上級ラインで、単に外見を復刻させるのではなく、現代的にアップデートをされたコレクションだ。
新作の「トーチュ」では、インデックス外周のレイルウェイミニッツトラック、ローマ数字インデックス、ブルーサファイアカボションなどのカルティエらしい意匠を持ちつつ、アップルハンドを採用。そしてオリジナルよりもスリムなケースに収まったのが新作の肝。これはサントス デュモンにも採用されている薄型のキャリバー430MCが搭載されているためだ。
文字盤は以前の「トーチュ」のようにギヨシェなどの装飾が施さず、イエローゴールドのケースと時分針を統一させることで、よりクラシックな印象を強めている。まさにドレスウォッチの王道スタイルとなっている。
270年近く続くヴァシュロン・コンスタンタンとしては意外かもしれないが、正統派のドレスウォッチである「パトリモニー」が20周年を迎えた。1950年代に同社が発表したクラシックでミニマルなスタイルの腕時計からインスピレーションを得て生まれたコレクションだ。
これまでシンプルな2針および、スモールセコンド付き3針の手巻き仕様は、42mm、40mm、36mmのサイズ展開であったが、今年は39mmの新サイズにアンティークシルバーカラーを組み合わせた新作が加わった。オリーブグリーンのアリゲーターレザーストラップと合わせるのも新鮮。微細な変化だが、クラシックな手巻き時計の魅力がグッと凝縮された印象だ。
文字盤はこれまでと同じように、曲線が美しいドーム型となっており、それに合わせてケースはもちろん風防、針、アワーマーカーもゆるやかな曲線を描く。7.72mmという薄型ケースながら、文字盤は2層構造となっていて、下層の文字盤に配された48個のパール状の18Kゴールド製ミニッツトラックからなる突起を、上層の文字盤に開けた穴にはめこむことで、埋め込んだように見せている。シンプルなデザインは、老舗の技術が詰まっている。
機械式手巻き時計は、パワーリザーブと精度の維持が課題だが、それらを飛躍的に向上させたのがグランドセイコーの「エボリューション9 コレクション 手巻メカニカルハイビート36000 80Hours SLGW003」だ。2020年に発表した毎秒10振動、80時間パワーリザーブの機能を備える自動巻きムーブメントの「キャリバー9SA5」の自動巻き機構を省き、40%は新たに設計をし直した手巻きムーブメント「キャリバー9SA4」を搭載。ハイスペックな機能性はそのままに手巻きムーブメントの魅力を追求したモデルだ。
圧倒的に自動巻き時計のほうが便利なのに、あえて手巻き時計にアレンジするにあたり、クラシカルな機械式手巻き時計の魅力を楽しめるようになっている。つまりリューズでゼンマイを巻き上げる行為だ。開発者は触覚、聴覚、視覚にこだわり、巻き上げ機構の部品であるコハゼとコハゼバネの形状を見直した。巻き上げる感触は、軽すぎることもなく適度な重量感を感じ、その際に鳴るカチカチという音が、なんとも小気味よい。そしてケースバックからは時計が製造されるグランドセイコースタジオ雫石の施設内によく訪れるセキレイから着想を得た、角穴車とセキレイに見立てたコハゼが噛み合う動きが鑑賞できる。
またダイヤルは岩手の平庭にある白樺林を思わせる、凹凸ある樹皮を型打模様で表現。ケースにはグランドセイコー独自のブリリアントハードチタンを採用している。
パルミジャーニ・フルリエのファーストコレクションとして知られる「トリック」が復活。古代ギリシア建築に見られる円柱をモチーフに、ベゼルに施したモルタージュ装飾(ローレット加工)が特徴のコレクションだ。復活にあたり、ウォッチメイキングにおけるエレガンスの再定義を行った。ムーブメントは手巻きムーブメントに限定し、ケースはゴールド製かプラチナ製、インデックスや時分針はゴールド製、そしてムーブメントはゴールド製で製造されている。
スモールセコンドを備える3針モデルの「トリック プティ・セコンド」は、文字盤が1960年代に見られたわずかに中央が膨らんだ「シュベダイヤル」と呼ばれるボンベ仕様で、伝統的な技法に従ってグレイン仕上げが施された。このグレイン仕上げとは、ミシェル・パルミジャーニが復活させた技法で、酒石英・粉砕した海塩・銀を脱塩水に混ぜた均質な特性ペーストを細心の注意を払ってダイヤルに塗布したもので、光を分散させたマットな質感を与える。
搭載されるCal.PF780は稀少なローズゴールド製で、ブリッジでしっかりと固定されたふたつの香箱と、調速機構が左右対称に配置された独特な構造をした新型のムーブメント。さらに、これは手巻きムーブメントの醍醐味なのだが、ムーブメント表面の仕上げが見逃せない。ストライプ状のコード・ド・ジュネーブという装飾を応用し、ストライプを交差させたコート・ド・フルリエという独特な装飾で仕上げている。パワーリザーブは約60時間。厚さは8.8mmに抑えられ、古典的でありながら細部まで洗練さが行き届いた1本となった。
STAFF
Writer: Katsumi Takahashi
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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