みかんが香る「さつまサンド」

食のお宝探し vol.08

愛媛県・南予地方一帯には「さつま飯」という郷土料理がある。焼いた白身魚と味噌をすり合わせ、出汁を加えてごはんにかけるこの料理を和洋折衷サンドイッチにアレンジしてみると…?

LIFESTYLE Jun 22,2023
みかんが香る「さつまサンド」

愛媛県の「さつま飯」は、宮崎県の冷や汁とは似て非なる点がある。冷や汁が春や夏に好まれるのに対し、こちらは使う魚を時期によって変えながら、年中食されるそう。教えてくれたのは、宇和島市の隣町にお住まいの岡田やよいさん。義母の嘉子さんが、さつま飯を作るところをよく見ていたそうで、少し手間のかかるこの料理は、もともとはお祝い事のときなどに出すことが多かったのだとか。

さつまサンドの画像

今回はこの料理の要となる、白身魚の身と味噌をすり合わせて焼く工程を簡略化し、さらに麦飯を、バゲットに置き換えてみた。こんにゃくは細切りにしてフライパンでから煎りし、きゅうりは薄い輪切り、ねぎは小口切りにしておく。素焼きにして身をほぐした白身魚は、麦味噌とともにフォークですりつぶしながら混ぜ合わせる。バゲットは半分に切って横に切れ目を入れ、片面に白身味噌を塗りつけて、トースターで約3分。焼き上がったら具材をのせ、すりおろしたみかんの皮を散らし、さっとオリーブオイルをかけてできあがり。リエットのような白身味噌、サクサクのきゅうり、弾力のあるこんにゃく、パリッとしたバゲットの食感の相性が絶妙だ。バゲットが硬く感じる場合は、やわらかいゴマパンなどがおすすめ。残った白身魚のアラは、 出汁をとり、生姜を加えてスープに。ごはんと具を混ぜながらサラサラと食べるさつま飯を、サンドイッチにして持ち歩ける一品に。やよいさん、いかがでしょうか?

さつまサンドの材料の画像

●材料(2人分)
チダイなどの白身魚 1尾(焼いてほぐした身が約230gほど)
こんにゃく 約30g
きゅうり 1/2本
麦味噌 35g
バゲット 1本
ねぎ 適量(季節によりレモン、ゆずなどでも可)
みかんの皮 適量
オリーブオイル 適量

KAORU×おばあちゃんの食の往復書簡

岡田やよいさんの画像

よいさんが嫁いだのは、北宇和郡松野町で江戸時代から続く「岡清商店」。義母の嘉子さんから「これが岡清流のおさつまよ」と教えられたさつま飯の作り方がある。まず麦飯を炊いておく。白身魚は素焼きにして身を外し、アラで出汁をとり、冷ます。やよいさんは鯛を使うが、エソやアジを使う家庭もあるそうだ。身はすり鉢に入れ、麦味噌を加えてよくすり混ぜる。1/3ほどの量を鉢の底から上辺まで塗りつけ、コンロの上で鉢を逆さにし、軽く焼き目をつける。これを3回繰り返したら、出汁を少しずつ加え、のばしておく。みかんの皮をワタを取ってから細かく刻み、きゅうりは薄く輪切りに。こんにゃくは細切りにしてフライパンでから煎りにし、ねぎは薄切りにする。丼に麦飯を盛り、上から具材をそれぞれこんもりとのせ、出汁をかけてからいただくのだそう。

PROFILE
フードディレクター
KAORU

広告や雑誌などでフードスタイリングを手がける。写真の上に食品をのせ、撮影するシリーズ作品「Food On A Photograph」プロジェクトではN.Y.と東京の2都市で展示を開催した。

初出:2023年4月15日発行『AdvancedTime』15号。掲載内容は原則的に初出時のものです。

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