ビーツ色のサーモン「うずみ」ファッロ

食のお宝探し vol.06

広島県福山市には江戸時代に倹約政治が行われていた際にできたとされる 「うずみめし」という郷土料理がある。この時期、庶民は倹約を強いられ、贅沢をすることが禁じられていたことから、生まれたといわれている。

LIFESTYLE Nov 16,2022
ビーツ色のサーモン「うずみ」ファッロ
「うずみめし」の画像
皿の下には、魚介や野菜などの 具が隠れており、具材を下に 埋める飯=「うずみめし」が その語源とされている。

広島県福山市に伝わる「うずみめし」について教えてくれたのは、藤原晶子さん。昆布とかつおでだしをとり、薄口醬油と塩で味を調えたものに、豆腐、松茸を入れてひと煮立ち。豆腐、松茸、別にゆでて下味をつけた里芋とえびを椀に盛り、上からごはんをのせたら、ねぎを放った熱いだしをかけて食べる。

ちょっと贅沢な食材を埋める=隠す、というコンセプトがユニークな「うずみめし」に着想を得て作った今回のレシピは、秋色のスープで食べるファッロ。「掘りながら」食べる楽しみを再現した。晶子さんが、実はお米と汁物は別々に食べる方が好き、と話してくださったことから、スープにひたしてもふやけない穀物、ファッロ麦を選んだ。ファッロは、1ℓの水に大さじ1の塩を加え、沸騰したら約15分ゆでてザルへ。サーモンはグリルしておく。沸騰した湯800㎖に塩小さじ1/2とタイムを加え、手で裂いたエリンギ、食べやすい大きさに切ったさつまいも、かぼちゃ、ビーツの順で、火が通るまで煮る(煮汁はとっておく)。器にサーモンと野菜を盛り付け、ファッロをのせたら、食べる直前にきれいなバーガンディ色に染まった煮汁のスープをファッロの周りに注いでできあがり。秋らしい美しい色のスープに、プチプチとした食感のファッロをくずしながら、掘り起こした具材を混ぜ合わせていくうちに、具沢山のスープになるこの料理、晶子さんにも気に入っていただけますように。

ビーツ色のサーモン「うずみ」ファッロの材料の画像

●材料(2人分)
ファッロ 150g
サーモンの切り身 2切れ
エリンギ 1本
さつまいも 約40g
かぼちゃ 約50g
ビーツ 約40g
タイム 2房

KAORU×おばあちゃんの食の往復書簡

晶子さんの画像

晶子さんは60年ほど前に東京の大学を卒業したあと、福山市の大平料理学園という料理学校で、この料理を教わった。学校では料理の基本から、おもてなし料理、お菓子、和洋中などを勉強したそうで、当時の講師であった大平氏は、若い人に「料理を楽しく作って、みんなで食べる、そんな幸せな家庭を築いてほしい」がモットーだったとのこと。「花嫁修業という形で2年間通いました」と晶子さん。「うずみめし」は、秋の郷土食として教わり、自身の母親にもふるまったことがあるとか。「うずみめし」の主な具である松茸は、昔は秋になると豊富にとれる食材で、現在のような貴重なイメージは少なかった。秋えび、里芋などとともによそい、ごはんをのせて、だしをかけていただく、秋の風物詩のひとつだとか(写真右が晶子さん)。

PROFILE
フードディレクター
KAORU

広告や雑誌などでフードスタイリングを手がける。写真の上に食品をのせ、撮影するシリーズ作品「Food On A Photograph」プロジェクトではN.Y.と東京の2都市で展示を開催した。

初出:2022年9月24日発行『AdvancedTime』13号。掲載内容は原則的に初出時のものです。

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