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2024年6月末に惜しまれながらも幕を下ろす「帝国ホテル 東京 タワー館」。40年超の歴史を、さまざまな視点の証言からひもとくことによって、商業施設「帝国ホテルプラザ 東京」そして、「帝国ホテル 東京 タワー館」の足跡を振り返る。
1983年にホテルとオフィス、商業施設を備えた日本初の複合ビルとして開業した、帝国ホテル 東京 タワー館。2024年度から2030年度に予定している建て替えを前に、2024年3月31日をもって、商業施設である帝国ホテルプラザ 東京とオフィス、地下1階のホテルバルや、東京𠮷兆、鮨源、天一、北京がクローズする(他施設や店舗は、2024年6月末に閉店予定)。帝国ホテル 東京 タワー館が開業以来もたらした影響やホスピタリティはどのようなものだったのか。さまざまな方の証言を通じて、その実像を探っていく。
「その当時は、本当に世界の一流ブランドが集まった場所、という感じでした」
インペリアルプラザ東京(後の帝国ホテルプラザ 東京)内のショップに開業1年後の1984年より勤めたという篠﨑恵氏は、当時の印象をそう語った。その後、館内ご案内係(コンシェルジュ)を営業終了まで2年9ヶ月務めた篠﨑氏は、同館に入居していたブランドショップの店長経験もあり、トータルで約18年、帝国ホテルプラザ 東京と関わってきたという。
「お客様にとりましても、この帝国ホテルプラザ 東京は特別感のある場所ではないでしょうか。私は帝国ホテルプラザ 東京以外にも百貨店などで勤務してきましたが、他の商業施設に足を運んでいただくのと、帝国ホテルプラザ 東京にいらしていただくのとは、同じお客様でもお気持ちが違うのかなと感じていました」
その特別感を生み出すのは、重厚感とゆとりのある空間だと、篠﨑氏は言う。
「近年、新しい商業施設も多くできていますが、今日においても、他の施設とは違うタイプのゆとりのある、上品で特別な空間だと思います。そしてお客様にとっては非日常を味わうことができるほか、リフレッシュや気分転換もできる場所になっているのではないでしょうか」
2021年春から2023年の季節催事では、コロナ禍で旅行が制限された時期に、アメリカの郊外やロンドンの風景のジオラマを製作したのだという。
「大人のお客様も、お子様も、『次回はいつどんなジオラマですか?』と私にお尋ねになるくらい、楽しみにされていました。また、ジオラマをご覧になりながら、過去に行った旅行の思い出を語り合うお客様も拝見しました。そんなシーンや空間を演出できたいうことは喜ばしく、この帝国ホテルプラザ 東京だからこその非日常の価値を実感した経験でした」
2018年より、帝国ホテルプラザ 東京 2階で、コンテンポラリーアートのギャラリー『愛でるギャラリー 祝(しゅう)』を運営している高野賢一氏。同ギャラリーでは帝国ホテルプラザ 東京公式イベント「アートセレクション」を、2022年まで実施してきた。もともとレストランやホテルなどのコンサルティングを行なってきた高野氏が、帝国ホテルプラザ 東京に関わったのは2016年からだった。
「帝国ホテルプラザ 東京の35周年企画としてギャラリーを手がけることになりました。なぜギャラリーを提案したかといえば、紹介する作家によって異なる、さまざまなお客様が来館するようになる、と考えたからです。私のギャラリーで扱っているのはコンテンポラリーアートで、若い作家が多いのですが、帝国ホテルは今後も進化していくわけで、その先を見据えて、あえて新たな才能を紹介したいと思っていました」
全世界的なアートマーケットの隆盛も手伝って、『愛でるギャラリー 祝』には、1日で200~300人が来店することもあり、他店舗にも波及効果があったという。その一方で、この場所ならではの特別な性格もあったと、高野氏は振り返る。
「帝国ホテルプラザ 東京内にある以上、お客様は帝国ホテルに来たと思っていらっしゃるので、帝国ホテル同様のサービスを期待されます。ホテルマンのようにはさすがに難しいですが、できる限り丁寧に対応するように心がけました。他方、作家のご両親がわざわざ海外からいらしたりと、帝国ホテルというブランドの恩恵を感じることも多々ありました」
高野氏はまた、アートとホテルとの関係について、次のように感じているという。
「もともとホテルはパブリックな空間と、客室というプライベートな空間の両方を持っている場所です。アートもまた、パブリックアートと個人でコレクションして楽しむものとがあって、ホテルとアート、双方の親和性は高いと思っています。そしていま、インバウンドも含めて、モノよりコトという傾向が強くなっています。従来だと、装飾的に、インテリアに溶け込むようなアートが多かったと思いますが、現代においてはアートの役割は異なっているようにも感じます。例えばお客様が歩いている時に目に留まって、そこから会話や関係性が始まったり、または部屋に入ってアートを目にしたときに元気づけられたり、ホールなどの空間にある大きな作品を見ながら物思いに耽ったり。アートのさまざまな作用が注目され、それをホテルに積極的に取り込む動きが、海外などでは増えていると思います」
そんな高野氏に、帝国ホテルプラザ 東京の好きな場所を聞くと、意外な答えが返ってきた。
「私は個人的にシャンデリアが好きで、帝国ホテルプラザ 東京にあるアール・ヌーボーやアール・デコを感じさせるシャンデリアがすごくいいなと思っています。」
STAFF
Writer: Yukihiro Sugawara
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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