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地球上の様々な問題を人まかせにする時代はもう終わり。 これからは個人の選択と行動が、環境をより良い方向へと変えていく。 愉しみと貢献が両立するファッションは、持続可能な未来への希望だ。
目次
このところ、様々なメディアで目にすることの多くなった「SDGs(持続可能な開発目標)」という言葉。地球上の誰一人として取り残さず、多様性と包摂性のある持続可能な社会を実現するための国際目標だが、2015年に制定されて以来、世界中の国や民間企業が積極的な取り組みをみせ、今や大きなムーヴメントとなりつつある。
ゴールとして定められている17の目標の中には、貧困撲滅や飢餓ゼロといった発展途上国向けの目標のほかに、気候変動への対策や労働者の働きがい、クリーンエネルギーへの転換など、先進国に住む我々がふだんの生活から意識して取り組むべきアジェンダが数多くラインナップされている。
ファッションの世界も同様に、SDGsへ取り組みが大きなうねりとなっており、多くのラグジュアリーブランドが「エシカル」「アップサイクル」「サステイナビリティ」をキーワードに様々な取り組みに挑戦し、成果を上げている。そうなると次に問われるべきは、アイテムを選択し身につける我々の意識だ。装いを愉しみながら「未来」に思いを馳せ、サステイナビリティに貢献する。この秋、まずはその第一歩から始めてみようではないか。
2020年3月までイタリア・フィレンツェで開催されている展覧会「Sustainable Thinking(サステイナブルな思考)」では、使用する素材に焦点を当て、リサイクルや環境に優しい技法などへの取り組みをみせているサルヴァトーレ フェラガモ。早くからサステイナビリティに取り組んだ開拓者サルヴァトーレの精神はコレクションにも大いに反映されており、秋冬のウイメンズコレクションでは、カシミヤとシルクを再生し、フリースにしたコートのルックをお披露目。ショールカラーのコートはたっぷりのボリュームでありながら軽く、ふんわりと暖か。カシミヤの幅広ベルトがリッチなアクセントとしてスタイリングを上品に整えているのも見事だ。
認証済みのオーガニックコットンや再生カシミヤを使用するなど、ブランド創設以来、動物愛護や環境への観点から、コレクションに用いる生地から小物に至るまで徹底した信念を貫いてきたパイオニア。深いグリーンのヴィスコースドレスの胸元を彩るのは、コレクションの残布を巧みに組み合わせ、フォークロア調に仕上げた逸品。コンパクトなボクシーシルエットがカジュアルながらも端正な表情を生むメンズのブルゾンは、動物由来の素材や加工を用いないオルターナッパ製。なめし工程でも植物性油を使用してるので、環境への負荷を軽減している。
シャープなシルエットと計算され尽くしたカッティングで、袖を通した瞬間にスタイルがきまるスモーキングジャケット。サンローランは、ブランドアイコンともいえるアイテムに、化学肥料を使わず3年以上健康な状態を保っている牧草地で飼育された羊から取れたオーガニックウールを使用。ほかにも、素材の再利用や、ショップが建築の環境性能を評価する国際的な指針であるLEED認証を取得するなど、ブランド全体で積極的な取り組みをみせている。エッジィで華やかなコレクションを披露するブランドならではのクールな姿勢に脱帽。
ファーフリーを宣言し、世界環境デーにあわせてサイトを立ち上げるなど、ラグジュアリーとサステイナビリティが充分に両立できることを証明してみせたグッチ。球体のフォルムがチャーミングなGGパターンのバッグは、コットンとポリエステルの布地をコーティングしたもの。この素材は職人工芸の原則に従った環境に優しい生地であり、製造工程で出た廃棄物は一部リサイクルが可能。さらには環境に負荷のかかる溶剤を使用せず簡単に処分できるなど、サステイナビリティが徹底されているのも大きなポイントに。地球環境への貢献を、バッグなどから取り入れてみるのもいいかもしれない。
ブランド・シグネチャーのイントレチャートや、巧みなレザーの加工など、ボッテガ・ヴェネタのコレクションには、すべてに職人技が不可欠だ。ブランドの財産ともいえる職人たち。その労働環境を第一に考え、コレクションを生み出すイタリア・ヴィチェンツァ近郊のアトリエは、世界一厳しいといわれるLEED認証を取得。さらにその中でも、最高位のプラチナ認証を得ているというから徹底している。ほかにも、ISO環境認証やSA8000といった評価基準を取得し、素材や製造工程のトレーサビリティ(追跡可能性)も厳守。上質で繊細なコレクションのすべてが、サステイナブルな環境から生みだされているというわけだ。
STAFF
Photos: Makoto Nakagawa(CUBISM)〈model〉, Asa Sato〈still〉
Styling: Fusae Hamada
Hair: Yuji Okuda(3rd)
Make-up: Masayo Tsuda(mod’s hair)
Models: Miyako Koda, Miki Ehara, Hideki Asahina
Edit: Satoko Hatakeyama
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