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日本に住まう人々にとっては遠く、欧州に暮らす人にとっては、実は比較的身近なディスティネーション、アフリカ大陸。とはいえ、比較的手軽な目的地は、距離的にもモロッコやエジプトなど北アフリカに位置する国々となり、サハラ以南の地域は、いまなお、旅慣れた人たちの憧れの地だ。そんなアフリカ大陸、主要観光国の見取り図から少しだけ視点をずらすと多様で興味深いアフリカ大陸の国々が射程に入ってくるのだが、今回は南アフリカの北側に位置するサブサハラの一国、ナミビアのラグジュアリー・ロッジを紹介する。
アジアから見ると、東アフリカに位置するケニア、南部の南アフリカなどが主要な目的地となり、アクセスもそれなりに良好で、例えばケニアなら、ハネムーナーが一生に一度の思い出を作りにサファリへ、南アフリカなら、アフリカ随一のワインカントリーとして、南半球ワインを楽しむ旅へと誘われる。

1990年に南アフリカから独立した若い国、ナミビアについての知識もつ人はどのくらいいるだろう。ナミビアの面積は日本の約2.2倍、人口は約260万人で、人口密度は100倍もの差があり、国土のほとんどは無人地帯と言える。旅慣れたヨーロピアンを中心に、この国でしか体験できない静謐なる砂漠の風景を求めて、乾季にあたる5~10月のバケーションシーズンには、多くの外国人が訪れる。

ナミビアの最大の観光資源は、国土の90%近くを占める砂漠だ。砂漠というと、隊商が駱駝と共に旅をするといった、サハラ砂漠のような茫漠たる砂の海をイメージしがちだが実際の砂漠は多種多様だ。大きく分けてアフリカ大陸の内陸部にあたる東部には草や低木が点在するカラハリ砂漠、大西洋沿岸の西部には、数千万年前から形成された、地球上で最も古いといわれるナミブ砂漠が広がっている。ナミビアにあこがれる多くの旅人が目指すのは、この、ナミブ砂漠である。

ただ、中心地域へのアクセスは容易ではない。航空機で入国する場合、首都のウイントフークからナミブ砂漠のハイライトであるソススフレイ訪問の玄関口、セスリエムまではセルフドライブ(レンタカー)で、片道350㎞。かつそのほとんどが未舗装道路で、運転に自信があっても、注意を要する道程だ。年間数十隻の寄港実績のある国際クルーズ船で入国する場合、大西洋岸の中心都市、スワコプムントに近いウォルビスベイからとなるが、ここからも同様の距離。この、難易度の高いアクセスも、このナミブ砂漠を神秘たらしめている理由のひとつだ。

さて、そのナミブ砂漠だが、ソススフレイ付近の最大の特徴は、鉄分を多量に含んだ、赤い砂漠であることだ。砂に含まれる鉄分が、長い年月を経て酸化するなどのためで、大西洋岸の気象条件によって、何百万年に渡って堆積してきた。いわば、地学的な地球の歴史を一望できる環境なのだ。

このように、知識を背景にするとより興味深く感じられるすナミブ砂漠の光景だが、実際に風景を目の当たりにすると、そんな理屈が消し飛んでしまうような、圧倒的な砂の存在感に言葉を失う。夜明けと共に黄道を渡り始める太陽に従い、刻々と変化していく砂丘群のカラーバランスに、だれもが思わず息をのみ、感嘆を漏らす。雪山のごとく、音を感じさせない、粛然した空間が立ち現れてくる。地球の自転が生み出す風が、毎夜、描き上げている、たおやかな曲線をまとった砂の山。世界にふたつとないといわれる光景は数あれど、ナミブ砂漠の深奥部には、なにものをも寄せ付けない、この星が創りだし続ける美しさがある。

さて、そのナミブ砂漠を堪能するための、スーパー・ラグジュアリーなロッジが、ソススフレイのプライベート・プロパティに位置する『リトル・クララ』である。
一般の観光客はセスリエムでキャンプやロッジに宿泊し、早朝にオープンする国立公園のゲートを通過して、ナミブ砂漠深奥部へとクルマを走らせるのだが、『リトル・クララ』は国立公園に隣接した私有地に構えているため、先んじて、人気の『デューン45』や標高300mを越える『ビッグ・ダディ』など、いずれも、頂上部まで登攀可能な砂丘へアクセスできる。

記者は、ウォルビスベイに寄港したクルーズ船から離脱して、この『リトル・クララ』へとセルフドライブで訪問した。前述の通り、道程の90%以上が未舗装路で、途中の給油個所は1か所のみ。交通量も極めて少なく、遥か彼方に認める砂塵で、先行車の存在を時折認識する程度だ。灯火もないため、移動は日中でないと危険だ。

ただし、運転そのものを楽しみたい向きには、これほどエキサイティングなルートもないだろう。視界に入るのはすべて砂漠で、時折、ダチョウやオリックスの群れなどが道を横切り、ウィルダネスドライブの楽しさを味わわせてくれる。ここまで長距離のダートコースなど日本には存在しないため、クルマ好きにとっては得難い体験だった。

『リトル・クララ』に到着後、ウエルカムドリンクと、敷地内に出没するジャッカルの出迎えを受けながら、簡単なファシリティの説明を聞く。オールインクルーシブで、滞在中のほとんどの飲食、ランドリーサービス、朝・夕のサファリツアーなどが料金に含まれている。宿泊施設は全て独立したコテージになっていて、自室ですべての食事を摂ることも可能。コテージごとに、屋上のオブザベーションデッキ、バルコニー、プール、シャワー、レストルームを含め、すべてのファシリティが完備されているが、特筆すべきはベッドだ。屋内とコテージの広いベランダそれぞれにフルサイズのダブルベッドが設えられているので、星空の下で眠りにつくこともできる。ベランダのベッドは室内のものと同一で、日中はシェードの下に配されているのだが、毎夜引き出され、遮るもののない星空の下で夢を見られるという、実にラグジュアリーなプレゼンテーションだ。これも年間を通して、ほとんど降雨のない地域だからこそ、である。

STAFF
Photography and text by KAMIYAMA Atsuyuki
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