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かつて、2002年のサッカーワールドカップで日本代表を監督として率いたフィリップ・トルシエさん。いまは母国フランスでワイナリーを運営している。今回、そのワインが日本に上陸するのに合わせて、トルシエさんが来日。北海道のワイン生産者たちとの意見交換会で、注目のワインを試飲した。
もう四半世紀以上前のことになるが、日韓共催だったサッカーワールドカップで、日本代表がベスト16に進んだのは画期的で、監督だったトルシエさんに注目が集まった。あれから時を経て、トルシエさんは母国フランスでワイナリーを運営している。場所は、銘醸地ボルドーの中でも世遺文化遺産として有名なサン・テミリオンだ。
サン・テミリオンで有名なワインといえば、シャトー・シュヴァル・ブランやシャトー・フィジャック、シャトー・パヴィなど、力強く、20年以上寝かしてから真価を発揮するものも多い。
使用される葡萄品種はメルローが主体。ワインに詳しくない方でも、カベルネソーヴィニヨンやシャルドネと同様に、名前は聞いたことがあるという人は多いだろう。日本では、90年代に世界を驚かせたシャトー・メルシャンの桔梗ヶ原メルローが契機になり、広く知られるようになった。今では全国各地でメルローを使ったワインが造られている。
今回は、北海道のワイン産地・仁木町で、メルローのワインを造る生産者たちとの意見交換ということで、トルシエさんのワインと仁木町のいくつかのワインを試飲するというイベントが開催された。


「私はサン・テミリオンで愛と情熱をもってワイン造りを始めました」と話し始めたトルシエさん。ワイン造りを始めたのは、約10年前。仕事柄、長年にわたり世界中を旅して、各地の文化やグルメに触れたことが影響した。トルシエさんが所有する畑は3.5ヘクタールで、それぞれ土地の個性があるという。
「モザイクのように点在する畑は、土壌も違えば、日照の角度なども違う。サン・テミリオンでは葡萄はメルローが8割ですが、古木もあり、様々な種類のワインを造っています。サッカーの監督としては、選手の個性を引き出したうえでバランスを取っていく必要があるけれど、なかなか100%できるものではないのです。ワイン造りも同様かもしれません」


トルシエさんがプロデュースするワインは全5種類あるが、今回はその中から3種類を試飲。そして、北海道・仁木町のワイナリーもDomaine Bless、North Creek Farm、NIKI Hills Wineryの3軒から、それぞれメルローのワインが供され試飲する。
まずは、前座的にトルシエさんの白ワイン「EXTRA TIME Bordeaux Blanc 2023」から。爽やかな香りだが、ボルドーらしく濃密な味わい。ネーミングが意味深(笑)
続いて、メルローを90%使用した赤ワイン「FLAT3 by KANTOKU 2023」。“バイ監督”って(笑) これは今回のメインアイテムらしい。ボルドーらしい濃いルビーの色合い、口にすると滑らかでタンニンは柔らか、じつにエレガントな赤ワインだ。


そして、仁木町のワイナリー、Domaine Blessの「Your Story Merlot2023」「Ito~糸~2023」、North Creek Farmの「Merlot 2024」、NIKI Hills Wineryの「Merlot 2023」が続く。サン・テミリオンと比較すると、同じメルローでも全く別物に感じられるが、仁木町の3つのワイナリーでそれぞれ異なる個性がある。Domaine Blessは豊かな果実感、North Creek Farmは重心の思い濃厚さ、NIKI Hills Wineryは滑らかでバランスが良い(以上、個人の感想です)など、トルシエさんも強調していた“テロワール”が仁木町にもしっかり存在することを実感できる。
最後は、トルシエさんの「SOL BENI 2019」(メルロー80%使用)。これは年数を経ていることもあるが、トルシエ・プロデュースの中でもプレミアムなアイテム。ジャミ―な香りと深く、長い余韻と奥行きのある味わいに脱帽だった。


トルシエさんは自身の経歴から、ワインについてもサッカーに例えることが多いようだ。プロデュースするワインのラインナップを、サッカーのポジショニングに例えて位置づけしている(写真参照)。
さらに、面白いのは具体的な選手に例えるところ。
「FLAT3は“ドウアン”、SOL BENIは“ミナミノ”、EXTRA TIMEは“クボ”ですね」
今回、試飲はなかったが、最上位キュヴェである「COUP DU CHAPEAU」は、ハットトリックという意味だそう。良い年にのみメルロー100%で造り、ガストロノミ―レストランで提供することを想定しているとのこと。
今回、仁木町を初めて訪れたトルシエさんは、サン・テミリオンとの違いを感じたというよりも、多くの発見があったと北海道のポテンシャルに目を輝かせていた。
サッカーワールドカップの開催も迫ってきたが、今年はトルシエさんのワインを飲みながら観戦というのも楽しいかもしれない。

STAFF
Writer:Indy Fujita
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