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オークションハウス、フィリップスが時計に特化したオークションを開催。目玉となったのは、著名な映画監督とコラボしたF.P.ジュルヌの時計だった。

フランシス・フォード・コッポラは、代表作「ゴッドファーザー」などで知られる映画界の巨匠。同時にナパバレーで最も歴史のあるワイナリーのオーナーであり、数々の受賞歴を誇るアメリカを代表するワイン生産者としても知られる。2009年に妻からプレゼントされたF.P.ジュルヌの時計に魅了され、自身のワイナリーに時計師フランソワ=ポール・ジュルヌを招待。そこから物語は始まった。

すっかり意気投合したふたりは時計について深く語り合う。その時コッポラはジュルヌに人間の手を使って時刻を表現できるかを尋ねた。このアイデアにジュルヌは大いに刺激を受け、5本の指のハンドサインだけで時刻を表示する「FFC」を完成させる。5までは簡単だが、6~12は立てる指を巧みに組み合わせて難題を解決した。
文字盤には16世紀の義手をモチーフとした右手が鎮座する。その指の形で時表示、12時位置に固定された矢印が指す回転するリングの分表示で時刻を示す。正時になると瞬時に指が飛び出す仕組みには、機械式の動力で制御されるルモントワール機構が採用された。

この時計はジュルヌが自身とコッポラのために製作した2本のうちのひとつ。ムーブメントに見られる小さな工具の傷跡がプロトタイプであることを示し、その希少性を物語る。コッポラが私財を投じて製作した映画「メガロポリス」の損失の補塡のため出品された経緯を持つ。こうした一期一会のコレクターズピースがオークションに現れることは、いかに貴重な機会であるかはいうまでもない。結果は予想落札価格1億5500万円をはるかに上回る約16億6700万円で落札された。

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●レートはオークション当時
初出:2026年4月4日発行『AdvancedTime』30号。掲載内容は原則的に初出時のものです。
STAFF
Writer: Katsumi Takahashi
Editor: Hiroshi Katsura
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