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小ぶりサイズのトレンドがいっそう加速した2026年。ジェンダーレスの流れを取り込んだ時計業界だが、そのサイズ感に合わせてケースだけでなく、ムーブメントも外装の完成度も着実に高めている。
腕時計はサイズがたった数ミリ違うだけで、見た目の印象と装着感がガラリと変わってくるもの。そのためケースサイズは時計選びの重要なポイントだ。
今年も小径モデルが多く登場し、そのトレンドはいっそう鮮明になってきている。ジェンダーレスという考え方が時計業界にも浸透してきて、もっとも大きな影響を及ぼしているのがサイズ感だ。45mm以上や、30mm以下といった、どちらかの性別をターゲットにしたモデルではなく、34mm~38mmというどちらの性別でも着けられるサイズ感の時計だ。パートナーと共有できる「シェアウォッチ」という楽しみも広がっている。
また昨今の物価高騰も無関係ではない。日本のスーパーでも価格を据え置いて容量を少し減らす商品をステルス値上げと呼ぶことがあるが、原材料が高価な時計もサイズダウンして材料費を少しでも軽減したいという思惑もあるだろう。ゴールドモデルはその影響が大きいはずだ。
さらに小径モデルは、単にサイズを縮小するだけというわけではない。小さなケースサイズに収納する、小型で薄いムーブメントを開発する技術力も必要だ。一過性のトレンドにとどまらず、ブランドの技術力を示す動きとしても注目できる。
そうしたいろいろな要因が混ざり合って加速する小径モデル。アイコンモデルのタイムオンリーから、複雑機構搭載モデルまで幅広いラインナップが揃った。その中から注目の新作を見ていこう。
ブルガリの「オクト フィニッシモ」は、薄さをとことん追求した時計だった。トゥールビヨン、ミニッツリピーター、自動巻き、クロノグラフGMT、永久カレンダーなど、ほぼ毎年世界最薄を更新してきた。これらの分野で確かな実績を築いたブルガリが、今度は精度や防水性能といった日常使いを意識した時計に向かうのは自然な流れだ。今年は従来の40mm径から小径化した、装着感に優れる37mmサイズのスマートなモデルを発表。小径化に合わせ、3年かけて開発したマイクロローター式の新型自動巻きキャリバーBVF100を搭載する。直径31mm、厚さわずか2.35mmの薄型設計だ。体積を約20%削減しながら香箱を拡大、パワーリザーブは60時間から72時間へと伸ばし、実用性も高めている。小ぶりなサイズ感で装着感を高め、スペックまで向上させた。フルゴールドモデルは40mmサイズと37mmサイズは同額だが、新開発のムーブメントにはそれだけの価値がある。

ショパールがマニュファクチュールブランドとして、フルリエで工房を設立したのは1996年。今年でちょうど30周年の節目を迎えた。それを祝したのが、30周年モデル「L.U.C 1860」だ。このドレスウォッチは直径36.5mmの小径モデルだが、小径モデルを集めたこのコーナーでは異質だ。もともと初代モデルは36.5mmで登場したが、時代のトレンドに乗ってケースは大型化していった。そして30年目に再び36.5mmサイズを発表したということは、サイズダウンというよりも原点回帰という言葉のほうがしっくりとくる。記念モデルとして、文字盤には工房近くを流れるアリューズ川から着想を得たブルーを採用。またブランドロゴから放射状に広がるギョーシェ彫りは、初代モデルと同じく文字盤専業メーカーのメタレム社が手掛けたもので、ホワイトゴールド製の文字盤を100年前のギョーシェマシンで彫ったものだ。搭載されるCal.L.U.C 96.40-Lは初代のCal.1.96の直系後継にあたり、22Kゴールドのマイクロローター、ツインバレル、COSC、ジュネーブ・シールといったショパールの技術を集約したムーブメントといえる。

アニュアルカレンダー(年次カレンダー)とは、2月の末日を除いて、手動での調整の必要のないカレンダー機構のこと。いわば、パーペチュアルカレンダーの簡易版だ。A.ランゲ&ゾーネは、2010年に「サクソニア・アニュアルカレンダー」を発表。ケース径は38.5mmだった。今年はそのサクソニア・アニュアルカレンダーが、ケース径36mmとなって復活を果たした。12時位置のアウトサイズデイトや、6時位置のスモールセコンドとムーンフェイズを備えたインダイヤルなどの基本デザインは変わらない。アップデートされたのは搭載される新開発ムーブメントのCal.L207.1だ。これは従来機のようにケースサイドのコレクターで曜日、月、ムーンフェイズ表示をそれぞれ個別に調整できるのに加え、10時位置の大型プッシュボタンで一括送りできるようになった。パワーリザーブも60時間へと延長させた。ケースは小型化しながら、スペック面でも大きな進歩を遂げた1本だ。


回転する都市名リングを12時位置にセットし、その後、時分針でその都市の時刻を合わせると、24時間リングが連動して世界各都市の時刻が同時に分かるワールドタイマー。新型ムーブメント、FC-719に置き換えられたフレデリック・コンスタントのワールドタイマーは、リューズによる操作性は継承しつつ、先代機よりもケースサイズが2mmコンパクトになった新世代モデル。パワーリザーブは主ゼンマイの素材を見直し、より長いものを採用したことで約38時間から約72時間へと大幅にスペックアップ。ダイヤルは6時位置にポインター式の日付表示が備わっていたのを廃止して、中央に施される世界地図がよりダイナミックに映えるようになった。レザーストラップに加え、ブレスレットモデルも初めてラインナップに加わったのも朗報だ。

ダイバーズウォッチは防水性能を高めるため、ムーブメントを堅牢なケースで覆い、その結果ケースサイズはどうしても大きくなってしまう。グランドセイコーのスプリングドライブ・ダイバーもそのひとつで、ケース径44mm前後が主流だった。その中で今年登場した「Evolution9 Collection スプリングドライブ U.F.A. Ushio 300 Diver」は、グランドセイコーのダイバーウォッチとして最小サイズとなるケース径40.8mm、厚さ12.9mmを実現。デイリーでも使いやすいサイズ感となった。「Ushio(潮)」の名の通り、文字盤には日本を取り巻く潮流の躍動感が表現されており、ブルーダイヤルには広大な海の海流を型打ちで立体的に表現した。着脱と微調整を容易にしたブレスレットも実用性が高い。搭載するムーブメントは、2025年に発表された年差±20秒を誇る「スプリングドライブU.F.A.」のCal.9RB2をベースとして日付表示を省いたCal.9RB1が搭載している。

STAFF
Writer: Katsumi Takahashi
Editor: Kyoko Seko
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