タブロイドマガジンAdvancedTimeをお手元に
有名ブランドの新作をチェックするのもいいが、まだ知られていない時計ブランドを見る機会があることも大規模イベントの魅力だ。今年から日本への導入が決まった新しいブランドをチェックする。
ウォッチズ&ワンダーズのような大規模展示会に行くと、まだ日本で知られていない時計ブランドが数多く存在する。
例えば、ドクサやブレモンといった、長い歴史を持ちながら、日本では正規展開されてこなかったブランドだ。海外ではすでに時計愛好家に知られ、独自の技術や哲学で評価を築いてきた。しかし流通や市場環境、ブランドの戦略によって、日本の時計ファンにその存在を知る機会は限られていた。
あるいは、ジャン マルク フュルーリーやアコールという、独創的な思想と技術を携えて誕生した新進気鋭のブランド。伝統的な時計作りを再解釈するもの、革新的な構造に挑戦するもの、少量生産だから実現できる表現を追求するものなど、成熟した時計産業に新しい視座を与えてくれる存在だ。
こうしたブランドが、いよいよ日本市場へ届けられる時代を迎えた。時計の世界には、新旧を問わず、まだまだ紹介されるべき物語が多く残されているのだ。
では、これまで日本に展開がなかったのが不思議だった老舗ブランドのドクサから見ていこう。
ドクサは1889年にスイスのル・ロックルで創業した老舗ブランド。その名を世界に広めたのは、1960年代、スキューバダイビングの普及に合わせて開発したプロフェッショナルダイバーズウォッチ「SUB」だった。開発には海洋学者として有名なジャック=イヴ・クストーやダイバーのクロード・ウェスリーらも参加していた。そこから生まれたのが、浅い海から中深度で高い視認性を示すオレンジ文字盤や、外周の潜水時間、内周の深度の二重スケールによる減圧計算用ベゼルの装備だ。減圧計算用ベゼルは現在でも極めて個性的な仕様として知られる。最新作では、機能面で現代的にアップデートしながら、オレンジ文字盤と独特のクッションケース、ポリッシュ仕上げのライス・ビーズブレスレットを受け継ぎ、ヴィンテージテイストに仕上げた。これまで培ってきたヘリテージのある意匠を忠実に守り、かつコストパフォーマンスが良いのが魅力だ。

現在、高級機械式時計の中心地はスイスだが、トーマス・マッジによるレバー脱進機の発明、ジョン・ハリソンによる航海用クロノメーターの開発など、近代時計技術の多くは18~19世紀のイギリスで発展した。2002年に創業した、英国発のブレモンは「英国時計産業の復興」を理念に掲げ、空・陸・海・宇宙での過酷な環境でも機能するタイムピースを追求した機械式時計ブランドだ。904Lステンレススティールやグレード2チタンなど高品質な素材を採用している点からも、その本気度はうかがえる。創業者兄弟がパイロットであったことから航空業界と結びつきが強く、英国空軍とも共同開発をしている。今回取り上げるモデルも、英国のジェット戦闘機から着想を得たチタン製パイロットウォッチで、ケース内部に軟鉄製リングを装備することで耐磁性能を高めた。また“ネクストスタンダードラグジュアリー”を掲げ、上質なクラフツマンシップを適正価格で提供する姿勢も嬉しい。

ジャン マルク フュルーリーは、ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ会場に隣接して開催されたタイム トゥ ウォッチズ 2026で出展されたブランド。創業者は、パテック フィリップで製造部門の責任者を務めた実力派で、2020年に自らの名を冠して独立を果たした。特徴は何と言っても、名機レマニア2310を現代的に再設計し、それを搭載するクロノグラフだ。レマニア2310は、オメガをはじめパテック フィリップ、ヴァシュロン コンスタンタン、ブレゲなどに採用されてきた伝説的なクロノグラフキャリバーとして知られる。パテック フィリップがクロノグラフを自社製に切り替えたのが2009年なので、フュルーリー氏はパテック フィリップ在籍中にレマニア2310を徹底的に研究したのは想像に難くない。独立後、ムーブメントのオリジナルの27mmから現代的な32.5mmへと仕立て直し、ポインターデイトやデイ&ナイト機能を組み込んで再構築した。そのムーブメントを搭載したクロノグラフに、今年は文字盤側もオープンワークを施したモデルを追加。文字盤側からもパーツの重なり合う立体感を楽しめるが、ハイライトはクロノグラフの動きを鑑賞できる裏側だ。各パーツには入念な仕上げを施し、水平クラッチにコラムホイールを持つ古典的なクロノグラフに、レマニア2310を象徴するY字型のウィッシュボーンブリッジにNACコーティングを施した。ここにもジャン マルク フュルーリーらしい現代的なエッセンスが加えられている。


アコールは、2025年にジュネーブ・ウォッチ・デイズでデビューしたばかりの新興ブランド。もともとムーブメントのパーツサプライヤーとして時計業界を陰で支えてきたが、自社ブランドを立ち上げて表舞台へと打って出た。今年はデビュー作、ルタン・エキリブルのバリエーションを追加。文字盤は浮遊する上部文字盤との間を通り先端のみを見せる時分針と、中央をダイナミックに回転する秒針によって、空間を感じさせる構築的なデザインに仕上げた。またパーツサプライヤーを母体に持ち機械式時計を熟知したブランドらしく、搭載する自社製キャリバーのAK10は、COSC認定とジュネーブ・シールを取得しており、デビュー作とは思えない完成度を誇る。シースルーバックからは、ジュネーブ伝統のフィンガーブリッジや放射状に広がるコート・ド・ジュネーブ装飾など、美しい仕上げを鑑賞できる。

STAFF
Writer: Katsumi Takahashi
Editor: Kyoko Seko
『AdvancedTime』は、自由でしなやかに生きるハイエンドな大人達におくる、スペシャルイシュー満載のメディア。
高感度なファッション、カルチャーに溺愛、未知の幅広い教養を求め、今までの人生で積んだ経験、知見を余裕をもって楽しみながら、進化するソーシャルに寄り添いたい。
何かに縛られていた時間から解き放たれつつある世代のライフスタイルを豊かに彩る『AdvancedTime』が発信する情報をさらに充実し、より速やかに、活用できる「AdvancedClub」会員組織を設けました。
「AdvancedClub」会員に登録すると、プレゼント応募情報の一覧、プレミアムな会員限定イベント、ブランドのエクスクルーシブアイテムの紹介など、特別なコンテンツ情報をメールマガジンでお届け致します。更に『AdvancedTime』のタブロイドマガジンのご案内もあり、送付手数料のみをご負担いただくことでお手元で『AdvancedTime』をお楽しみいただけます。
登録は無料です。
一緒に『AdvancedTime』を楽しみましょう!

vol.031

vol.030

vol.029

Special Issue.AdvancedTime×AQ

vol.028

vol.027

Special Issue.AdvancedTime×AQ

vol.026

vol.025

vol.024

vol.023

vol.022

vol.021

vol.020

vol.019

vol.018

vol.017

vol.016

vol.015

vol.014

vol.013

Special Issue.AdvancedTime×HARRY WINSTON

vol.012

vol.011

vol.010

Special Issue.AdvancedTime×GRAFF

vol.009

vol.008

vol.007

vol.006

vol.005

vol.004

vol.003

vol.002

Special Issue.01

vol.001

vol.000
ボルドー5大シャトーの樽を使った超レアなアイテムも!台湾のラグジュアリーウイスキー「カバラン」の神髄
「風のマジム」の純沖縄産ラム酒を追いかけて、美酒佳肴の誇りに出会う旅へ
カンヌ、モナコ、ドバイ、ロンドン、ニューヨーク…世界のアートシーンが注目する異色のデジタルアーティスト 赤松裕介とは
華やかな面とシリアスな面…多面的に世界を知れた『ル・ロゼ』での3年間―
感性を揺さぶる空間演出のデザートバーで新感覚の没入体験。「コンラッド大阪」でサマーエスケープ