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東京・銀座の並木通りに店を構えるフレンチレストラン「ロオジエ」は、今年50周年を迎える。料理のみならず、空間のインテリアやアート、スタッフのサービスまでトータルに「美しい食文化」を次世代につなぐレストランである。エグゼクティブシェフ、オリヴィエ・シニョン氏は、これまでの伝統とフランス料理の本質をまもりつつ、最大限に価値を高めた革新的な料理を創り出す。日本の食材を積極的に取り入れていることでも知られているが、近年は、「マイクロバイオーム・ガストロノミー」を提唱。その取り組みとこれからのヴィジョンを伺った。
――日本の食材とフランス料理を融合させた繊細な料理が印象的です。厳選された食材を使い、ガストロノミーと、サステナブルの両立は可能なのでしょうか。
「サステナブルな視点としては、まず、メインの食材として使わない部分はだしに利用するなど元々、フランス料理には食材を丸ごと使うという思想があります。
ロオジエは、「美しい環境を守らなければ、美しい食材を得ることができず、美しい食文化も次世代に残せない」という危機感を持ちながら、SDGsを希求しています。
日本の食材については大いに関心があり、「よりよい食材を求め」て、時間を見つけては日本国内の産地や生産者を訪れておりました。ですが、コロナ禍という厳しい状況下にあって、日本の食材に対する思いが高まり、より知識を深め、さらに多くの日本食材を使うようになりました。
例えば、肉だけでも蝦夷鹿、青森の鴨や山形の豚肉、鳥取の夏鹿、対馬地鶏、熊本のあか牛、ヨロンのホロホロチョウの卵など、多くの日本の食材を使っています。もちろん、魚介や野菜についても同様です」
――「春の特別コース」にも、愛媛県産のシマアジや佐賀産のサフラン「AKAITO(アカイト)」などを使われていますね。
「そうですね。今は、全国を巡ってよりよい食材を追い求めるのではなく、環境問題に向き合い、できるだけ環境にダメージのない生産・収獲方法に着目して食材選びを行っています。
持続可能な漁を実践している漁師さんからの一本釣りの魚や、環境に配慮した養鶏場からの地鶏・卵、有機栽培の畑からの野菜などを使っています。千葉県で稚貝を育てて海に戻す活動をしている漁師さんのアワビや、自然に近い生育方法で育てられた和歌山県産のバラなども届きます」
「私自身、まだまだ進化したいと考えています。お客様のために何ができるかなと考えたときに、“料理は皿の上だけではない、食材やそれを供給してくださるみなさん、土壌のために何かしなくてはならない″」と。そのために、現在は『マイクロバイオーム農法』と、その農法で作られた食材を使う『マイクロバイオーム・ガストロノミー』を推進しています」
――マイクロバイオーム・ガストロノミーとは?
200種のラクトバチルス属乳酸菌の中から厳選して作られた乳酸菌と、その代謝物を使って土壌を改良しながら行うのが「マイクロバイオーム農法」です。野菜の場合は代謝物を土壌に撒くことで独自の微生物の生態系が生まれ、化学肥料や農薬を使わなくとも、害虫を寄せ付けない有機農業ができるという仕組みです。
マイクロバイオーム農法で作られた食材はビタミン・ミネラル等の栄養価を豊富に含みます。この農法で作られた食材を最大限に使って調理することにより、健康と長寿を可能にする『マイクロバイオーム・ガストロノミー』が生まれると考えております。
例えば、仕入れ先の一つである、長崎県の竹田かたつむり農園に参画していいただいています。宮崎ではカカオプロジェクトを進めており、ロオジエ直営のポタジエ(野菜栽培の温室)ができることになりました。マイクロバイオーム農法で土壌作りから始め、有機無農薬で育てます。この農法は安全なうえに、栄養価も上がる点も好ましいですね。
今までのように、「この地域のこの食材が美味しいから選ぶ」から、協力してくれるモチベーションの高い生産者を応援し、ともによりよいシステムを作り上げることが目標です。将来的には、ロオジエだけでなく日本全体、さらには世界に広めていくこと、地球のためになるように働きかけたいのです。
もちろん、最終的にはレストランで『お客様においしく栄養価の高い料理をおいしく食べていただきたい』という想いがあります。美味しいものを食べれば、栄養価も上がりますしね。
プロジェクトとしては、生産者や私たちだけでなく、消費者(=食べる側)までをすべて巻き込み、いい循環を作っていけるようなシステムを構築していきたい。現在、すでに多くのプロジェクトが進行中です。
そして、マイクロバイオーム農法で作られた食材も、ロオジエの料理にも少しずつですが取り入れています。砂糖は沖縄の契約農場で採れるサトウキビから作ったものを使っていますし、佐賀県の養鶏場では、乳酸菌とその代謝物をブレンドしたプロダクト(アクアバイオータ)を餌に加えて育てた鶏の卵も登場しています。
さまざまに現在進行中ではありますが、CO2対策やフードマイレージ削減のために、東京近郊の生産者さんとも協働していきたいですね」
STAFF
Photo: Miya Igarashi
Writer: Fukuko Hamada
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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