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BMWのモーターサイクルブランド「BMW Motorrad」が2005年の初開催以降、毎年開催してきたファンミーティング『BMW MOTORRAD DAYS JAPAN』。記念すべき20回目を迎えたこのメモリアルなイベントは9月6日から7日の2日間にわたり、長野県白馬村に5,000名以上のファンを集めて行われた。初めての有料化にも関わらず、これまで以上の大盛況となったのだが、その魅力とは?モーターサイクルが内包する“幸せ”を探るために現地へと向かった。
若い頃の旅には時として、目的地も理由も不要だった。旅に出る行為自体が目的であり理由であった。なにより、そんな無計画さにかすかな背徳感を感じながらも、敢えて旅に出る自分に対して、かすかな陶酔すら覚えていた。そして、そんな旅をいつも支えてくれていたのがモーターサイクルであり、決して快適なキャビンで過ごせるクルマでも、時間どおりに走ってくれる列車でもなかった。もちろんクルマにも列車にもそれぞれの旅情があり、否定はしない。だがモーターサイクルに乗ることは、ある種の自虐であり、それに耐えるからこそのダンディズム、などといった少々の勘違いがカッコ良さの根底にあった。それでも若さがすべの矛盾を納得させてくれた。
しかし、現在はどうだろう。理由があっても旅に出ることを躊躇したり、出来ることなら出掛けずに済む理由まで探し出そうとしている。当然ながら年を経るごとにバイクに跨がることも減った。己を奮い立たせるには理由も目的も必要になってしまったが「背負うものがあるし、若いときとは違う。致し方なし」と、自分自身を納得させている。
そんな日常の中に『BMW MOTORRAD DAYS JAPAN 2025』の情報がもたらされた。BMWオーナーはもちろんのこと、モーターサイクルユーザーにとっても知られたイベント。おまけに今回は20周年という記念回であり、これまで以上に特別な開催となることは説明の必要が無いかもしれない。あのBMW伝統のフラットツインには何度となく乗り、その独特なライディングフィールの心地よさが今もしっかりと体に残っている。ユーザー達の幸せな顔も声も溢れるだろう特別なイベントであり、その開催地は爽やかな空気に包まれているだろう長野県・白馬。
9月とは言え、まだ東京は連日酷暑の中にあった。体にまとわりつくようなじっとりとした空気には辟易としていた。そんな東京を抜け出す理由を探していた。ここで旅に出る目的も目的地も、さらにそこでの素敵な出合いまで、すっかり整っていることに気が付く。これで出掛けないとなれば、さすがに怠慢の謗りを免れないのだ。
東京発ち、白馬に向かうにつれ、空気に含まれる湿気がどんどん少なくなっていく。そんな感触もエアコンの効いたキャビンで移動していたら分からずに過ごすことになる。モーターサイクルならではのライブ感と移動の醍醐味、この感覚を久し振りに味わいながらツーリングは続く。
そして、すっかり東京都とは別世界とも言える風が吹き抜ける地にたどり着いた。初日の空はスッキリと晴れ渡り、それはそれは充足感に満ちたものだった。「このまま帰っても満足だ」とさえ思えるほど充実していた。だが、ここからがイベントの本番である。
今回はイベント初の「有料化」となり、ホスピタリティの充実などを始め、地元へのさらなる還元なども図られたという。事実、ずっと開催地となってきた白馬では白馬村での一大イベントにまで成長していて、多くのBMWオーナーたちも「白馬に集結」がすっかり共通認識になっている。全国から続々集まるライダーや参加者達の笑顔がこの一大イベントの魅力を証明している。2日間にわたり晴天に恵まれたこともあり入場者数は5,000名以上を集めたとのこと。白馬村役場の資料によると2025年8月1日現在の村の人口は8,337人。スキーなどの観光資源に恵まれた白馬村とは言え、これだけの人が集うとなれば重要なイベントとして定着していることも素直に理解できる。
往々にしてこのテのイベントは単に集まっただけ、オーナー同士が触れあうだけ、といったものもある。しかしMotorrad2025には数々のコンテンツが用意され、参加者を飽きさせないようにと腐心していた。
例えば初日の夜には「Saturday Night Biker Party」が開催され、屋台、BBQ、ライブイベント、そして20周年を記念した花火大会や熱気球が用意されていた。ライブイベントにはシャ乱Qのはたけ氏やR.T.Bがゲストとして登場し、盛り上がりを見せていた。
さらにBMWオーナーやモーターサイクルファン注目のニューモデル、BMW「R1300R」と「R1300RS」が国内初公開されるだけでなく、BMWのフルラインアップに触れたり、試乗も可能だったり、用品メーカーブースがあったりと、飽きることがないほどの演出が用意されている。刺激的な内容の数々に参加者が盛り上がりを見せていた。こうして無事に一大イベントを終えて、それぞれが帰路に付くライダー達の後ろ姿を見送っていた。
「祭りのあとの淋しさがいやでもやってくるのなら、祭りのあとの淋しさはたとえば女でまぎらわし、もう帰ろう、もう帰ってしまおう、寝静まった街を抜けて……♪」
思わず吉田拓郎の「祭りのあと」を口ずさんでしまった。だが歌に込められたほどの感傷や寂しさや示唆はなかった。そうさ、来年もまた素直な思いを抱いて白馬に集おう。小さいが、新たな目的を抱くことができた。
AUTHOR
男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。著書「クルマ界歴史の証人」(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。
STAFF
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Writer: Atsushi Sato
Editor&Photos: Atsuyuki Kamiyama
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