機能もデザインもキリリと光る個性派ブランド4選

【ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2025 新作時計レビュー Vol.11】

誰もが知るビッグブランドだけでなく、自分好みの知る人ぞ知る時計を見て回るのもウォッチズ&ワンダーズの面白さ。渾身の新作ウォッチでさらなる飛躍を狙う個性派ブランドをご紹介。

FASHION Sep 2,2025
機能もデザインもキリリと光る個性派ブランド4選

新作時計レビューもいよいよ大詰め。これまでテーマごとに時計を取り上げてきたが、紹介しきれていないブランドがまだまだある。ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブは、会場を年々拡張させており、今年は過去最大となる60ブランドの出展となった。AdvancedTime取材班は、その中から37ブランドを厳選して取材を行い、日本で知られているブランドはほとんど回った。もちろん日本に上陸していない時計ブランドもあるし、会場外でも独自開催しているブランドもあるので、時間はいくらあっても足りない。

今回は会場で目に留まったどうしても紹介しておきたい時計を取り上げる。機能性で個性を主張しながら、クラシックな色合いの文字盤カラーでまとめたモデルから、ルーツを感じさせるクロノグラフウォッチまで、ほどよく存在感があってストーリーも兼ね備えた時計は見逃せない。

まずは手に取りやすいコンプリケーションモデルを発表したフレデリック・コンスタントから見ていこう。

FREDERIQUE CONSTANT

新型の自社製ムーブメントを搭載して高スペック化。クラシックなデザインも好印象

FREDERIQUE CONSTANTの腕時計の画像
「クラシック パーペチュアルカレンダー マニュファクチュール」。自動巻き。ステンレススティールケース。ケースサイズ40mm。¥1,760,000。

“スイス製の高品質な時計を適正価格で、より多くの人に届ける”をコンセプトにして、本格的な機械式ムーブメントを搭載するフレデリック・コンスタント。複雑機構の一角である永久カレンダーもアフォーダブルな価格でラインナップするが、今年は自社製キャリバーをブラッシュアップさせ、より実用的な永久カレンダーウォッチを発表した。

新作は2016年に発表の初代モデルを、40mmサイズへと小径化し、よりスリムなラグでスタイリッシュに進化。新型の自社製自動巻キャリバーFC-776に置き換えることで、パワーリザーブは約38時間から約72時間へと大幅にスペックを向上させた。文字盤はカレンダー表示にムーンフェイズ表示を備えるオーソドックスなデザイン。クラシックな印象を与えるサーモンピンクにモダンなソレイユ仕上げを施し、楔型インデックスやドーフィン型の時分針に変更することでドレス感を高めている。

3つのインダイヤルからなるカレンダー表示は、何重にも円を描くサーキュラーグレイン仕上げを施し、ダイヤルとのコントラストを演出。6時位置にムーンフェイズを配置して、バランスのとれた文字盤デザインにまとめ上げた。価格はいつもながら戦略的なので、初めての複雑時計にも安心。長く使用しても飽きがこないクラシックなデザインは、永久カレンダーウォッチには重要な要素だ。

ARNOLD & SON

希少な琥珀を文字盤に採用したシンプルデザイン

ARNOLD & SONの腕時計の画像
「HM スチール アンバー」。手巻き。ステンレススティールケース。ケースサイズ39.5mm。世界限定38本。¥3,740,000。

アーノルド&サンの創業者であるジョン・アーノルドは、時計の歴史を200年早めたと言われる天才時計アブラアム-ルイ・ブレゲとも親交のあった時計界の偉人。そのため復活を果たした現代でも複雑機構を搭載したコレクションが目立つが、本作は希少なアンバーの素材感を生かした、シンプルなデザインが印象的だ。

このアンバー(琥珀)は淡い黄色の輝きを放つバルト海産のもの。針葉樹の樹脂が何千年もかけて化石化しており、軽く脆いため、時計製造でもあまり用いられない素材であった。こちらは時分針を通す文字盤中央に穴を開けるだけのシンプルなデザインにすることで、製品化を実現。アンバーの美しさを存分に楽しめる1本に仕上げた。塗装による着色では表現できない天然素材の色合いは、時計に唯一無二の存在感を与えている。

搭載する自社製ムーブメントは、厚さ2.7mmという超薄型構造で、厚みの必要なアンバーのスライスを採用しながらスリムケースの実現に貢献している。

ANGELUS

音速による距離を割り出すヴィンテージスタイルのクロノグラフ

ANGELUSの腕時計の画像
「クロノグラフ テレメーター」。手巻き。ステンレススティール。ケースサイズ37mm。世界限定25本。¥3,520,000。

クロノグラフの名門として名を馳せてきたアンジェラス。1942年に月・曜日を小窓で表示し、日付をポインター針で示すトルプルカレンダークロノグラフ、「クロノデイト」の開発で知られる実力派だ。近年は歴史的なクロノグラフを復刻する「ラ ファブリック」コレクションが人気となっている。

この「ラ ファブリック」コレクションの第3弾めとなるのが、「クロノグラフ テレメーター」。本作はコレクターの間で「ハンガリアン・エアフォース」と呼ばれる、1948~1950年に製造されたモデルを彷彿とさせるが、タキメーターと45秒計をテレメーターと30分積算計に置き換え、さらにクロノグラフのプッシュボタンはリューズと一体化したモノプッシャーにアレンジされた新作だ。

テレメーターとは、秒速30万kmの光と秒速340mの音の速度差を利用して2つの地点の距離を計測できる目盛りを備えたクロノグラフのこと。もともとは軍事用に開発されたもので、砲弾の発射光と発射音の時間をクロノグラフで計測して敵艦までの距離を測ることができた。雷や花火でも応用できるので、現代でも利用価値がある機能だ。

文字盤は色褪せたようなグレーにグレイン仕上げによる質感でヴィンテージ感を演出。自社製のクロノグラフキャリバーは地板とブリッジに金メッキ処理を施してゴールドの高級感を出した。クロノグラフ機能は1940~70年代に製造されたクロノグラフに倣って、古典的なコラムホイールと水平クラッチを採用する。

LOUIS MOINET

史上初のクロノグラフを現代風に再現した話題作

LOUIS MOINETの腕時計の画像
「1816」。手巻き。チタンケース。ケースサイズ40mm。¥6,930,000。

ブランド名の由来にもなっているルイ・モネは、1816年、天体観測のためにクロノグラフを完成させた伝説の時計師。2017年にはそのクロノグラフが「世界初のクロノグラフ」として正式にギネス認定も受けている。今年はその1816年製の懐中時計にインスピレーションを得た完全新作の腕時計が発表された。

文字盤のインダイヤルの独特なレイアウトは、オリジナルモデルを再現。スモールセコンドと30分積算計を文字盤の上部に配置し、12時間積算計は6時位置に配置される。確認する頻度の少ない12時積算計を6時位置の目立つ位置に配置するのは不合理な気もするが、オリジナルが天体観測のために制作されたクロノグラフであることを考えると納得もいく。

ルイ モネが開発した初のブレスレットは、グレード5チタン製でケースとの一体型デザインに仕上げた。優美に湾曲するワイドリンクの形状は「プロジェクトブリッジ」と名付けられ、サテン仕上げとポリッシュ仕上げで立体感を演出する。

搭載されるのは新たに開発された手巻きクロノグラフキャリバー。コラムホイール式クロノグラフにスワンネック緩急針を備えた古典的なデザインはクロノグラフ愛好家の心をくすぐる。

お問い合わせ先
フレデリック・コンスタント相談室
0570-03-1988
アーノルド&サン相談室(アンジェラスも含む)
0570-03-1764
ジーエムエンターナショナル(ルイ モネ)
03-5828-9080

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