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国産ぶどうのみを原料とし、日本国内で製造された“日本ワイン”。日本の伝統的な料理と同じく、繊細な味わいが特徴だ。外苑前の路地裏に佇む『JULIA』は、国産食材とのペアリングで、“日本ワイン”の魅力に気付かせてくれる、と海外からのゲストにも支持されている。外苑前にいながら、“日本ワイン”で、日本各地を巡る旅にいざなわれてみてはいかがだろうか。
キラー通りから路地に入ってすぐ、右手に、控え目に配された『JULIA』の文字が目に留まる。奥に見える、黒い階段のファザードに向かって進み、ベルを鳴らすと、ヴィンテージ家具の配されたラウンジに通される。天井が高く、黒を基調とした空間には、オーナーソムリエの本橋健一郎氏のご両親の写真が飾られ、洗練されていながらも温かい雰囲気。本橋氏は、母親が料理で人を幸せにする姿を見て育ったという。母親の愛称がジュリアだったことから、「母のように愛のあるレストランにしたい」と、『JULIA』と名付けたレストランを2017年にオープン。2023年11月に現在の場所に移転した。
『ミシュランガイド東京』にはセレクテッドレストランとして2年連続で掲載、『ゴ・エ・ミヨ』には3トックとして2年連続で掲載されており、海外からのゲストも多く、英語でのサービスにも対応している。
メニューは、スナックやデザートを含む「OMAKASEコース」のみ。 1階で食前酒とスナック3種類を愉しみ、2階に移動する仕掛けだ。“スナック”といっても、春の彩りを凝縮した1品1品は芸術品のよう!菜の花のソースで頂く蛤にはディルが添えられ、春の草原にいる気分にしてくれる。鮪のタルタルのタルトは、紅芯大根でお花を咲かせて。チュロスには酒粕が隠し味に用いられ、雲丹の食感と溶け合う。ペアリングは、岩手県の『くずまきワイン』からリースリングリオンのスパークリングワインを。伝統的な瓶内二次発酵法で醸造されていて、辛口ながらも旨味がしっかりとあるのが印象的だ。
2階のダイニングに上がると、テーブルにはメニューの入った封筒が。ペアリングに用いたワイナリーが日本地図に記されており、日本各地にワイナリーがあることに驚かされる。合わせる国産食材も、生産者を“TEAM”として紹介。本橋氏の出身地である茨城県の食材を中心に、シェフのnao氏が旅をして触れ合った、日本各地の自然と生産者からインスピレーションを得て、料理を生み出しているという。
春メニューのスペシャリテは、和歌山県から届く柑橘に、アオリイカ、イカ墨と昆布のピュレ、カルダモンを合わせて。アオリイカは、丁寧な仕事が施され繊細な食感に昇華されている。合わせるのは、広島県の『福山わいん工房』のロゼワイン。日本固有種のマスカット・ベーリーAを樽発酵で造ったロゼワインは、フレッシュでありながら奥行きがり、イカ墨と昆布、カルダモンがアクセントになった一皿との相性の良さを感じさせる。
オリジナルの柑橘醤油で漬けにした寒鰤のカルパッチョは、スモークしたクリームを包んで。ペアリングは奈良県の『木谷ワイン』のオレンジワインで、柑橘の季節を堪能する。
帆立のフリットには、蕗の薹とほうれん草を添えて。旬の野菜のエネルギッシュさはありつつも春野菜特有の苦味は全くなく、青リンゴのように爽やかな白ワインを合わせると、新緑のハーモニーが広がっていく。白ワインは、新潟県の『ワインファームとちお』の自社畑で育てたケルナーを100%使用しており、テロワールをダイレクトに味わえる一本だ。
甘鯛の鱗揚げには、菜の花とグリーンピースを添えて。林檎と白ワインのソースは甘やかな香りが心地よい。ペアリングは、長野県の小諸市にある『ジオヒルズワイナリー』のシャルドネ。樽熟成により、バニラやシトラスの香りをまとった白ワインは、鱗揚げとクリーミーなソースのボリュームをしっかりと受け止めてくれる。
デザートには、アイスに見立てたチーズケーキに、茨城県の『森島酒造』の日本酒を熱燗で。クリーミーなチーズを、吟醸香で溶かしていくのが愉しい。ミニャルディーズも充実。特に、茨城県のほうじ茶を用いたガトーオペラは香ばしく、秀逸だ。
“日本ワイン”の繊細さに、寄り添い、引き立て、共鳴する、フルーツを多用した水彩画のように美しい料理は、女子ウケ抜群。今回、ご紹介したのは春のランチライトコース。ランチ、ディナー共に7皿のライトコースと10皿のフルコースがあり、ペアリングは、アルコールとノンアルコールから選べるのが嬉しい。オーナーソムリエの本橋氏によると、『JULIA』のペアリングは、ワインから料理を組み立てているという。ワインの在庫が無くなるタイミングで、シェフのnao氏とチューニング。約1か月ごとにマイナーチェンジし、3か月かけてメニュー変わっていくイメージだ。柑橘を取り入れた春メニューは5月23日まで。日本各地のテロワールと四季を感じられる、贅沢な食体験。日本の魅力を再発見しに行ってみてはいかがだろうか。
AUTHOR
慶應義塾大学を卒業後、ラグジュアリーブランドに総合職として入社。『東京カレンダーWEB』にてライター・デビュー。エッセイスト&オーナーバーマンの島地勝彦氏に師事し、ウイスキーに魅了され、蒸留所の立ち上げに参画。ウイスキープロフェッショナルを保有し、酒類コンペティションの審査員も務める。公社)日本観光振興協会 日本酒蔵ツーリズム推進協議会 会員。
STAFF
Writer: Arisa Magoshi
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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