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国内7店目となる直営店を、京都・新門前通りにオープンした“ジョンロブ”。町屋を改装した店舗の佇まいは独特な存在感があり、オープンを記念した各プロジェクトとともに、長い歴史を誇るシューズブランドと古都との、真剣勝負にも似た相互作用を感じさせる。
国内外から多くの観光客が集まり、活況を呈する京都。ただ、そうしたステレオタイプを裏切る意外性に出合える街もまた、京都かもしれない。一例を挙げるなら、晴天時、京都の市中で見上げた際に感じる、空の存在感。高さ制限ゆえに高層建築物が少ないことがその理由だが、路上に立ってみて(場所にもよるが)初めて実感できるものといえる。そしてその空と、京町家の格子奥や軒下のほの暗さが織りなすコントラストは、この街ならでは感興をもたらしてくれる。
祇園・新門前通というと、近接する花街の風情を感じさせつつ、骨董店やギャラリーなどが軒を連ねる通りとして知られる。京町家の街並みも残るこのエリアに4月末にオープンしたのが、高級紳士靴で知られる“ジョンロブ”の京都店である。
築100年以上という町家をリノベーションした店舗の外観は、街並みに溶け込みつつ、暖簾と格子戸から漏れる光が、京都らしい余韻を感じさせる。店内に入るとうってかわって、乳白色の壁面やフロアが、明るく柔らかな印象。店内の一部は吹き抜けになっていて、自然光が入る構造になっている。
この京都店の空間プロデュースを担当した柳原照弘氏は、京都という土地柄、ファサードで個性を出すことは難しいため、道路から覗き見える部分に期待感を持たせるようなレイアウトを心がけた。その一方、内部の豊かさで差別化を図るべく、インテリアのディテールまでオリジナリティを追求したという。天井、内壁、庭の壁を同素材の左官で仕上げ、内壁の棚部分は左官職人による研ぎ出しによるもの。さらに床には日本製のウールカーペットが配されて、日本の職人技術によって、モダンながらもナチュラルな空気感が生み出されている。
店内では、コンセプトストアとして、“ジョンロブ”の定番モデルから新作、スニーカーまで揃うほか、レザーグッズなども展開される。またバイリクエストオーダーや、ビスポーク(注文靴)も取り扱っている。京都は技巧と贅を凝らした工芸が集積し、目利きが集う場所でもある。素材から製作過程に至るまでクラフツマンシップが貫かれている“ジョンロブ”の靴の真価を伝える上で、格好の舞台といえるだろう。
そして京都と“ジョンロブ”の親和性を感じさせるものとして、今回の京都店オープンを記念して用意されたのが、限定商品の「ZOORI(草履)」。明治28年創業の創作京履物“伊と忠”との協業でつくられた特別な草履は、熟練職人によるしっかりと目の詰まった畳表を使い、 “ジョンロブ”のグレインレザーが鼻緒と台座側面に組み合わされている。専用ボックスのほか、“ジョンロブ”ロゴが入った草履袋も付属していて、旅行などに携行するのもいいかもしれない。
さらに今回の京都出店にあわせて、“ジョンロブ”では映画監督の是枝裕和氏をモデルに起用し、「JOHN LOBB×KORE-EDA」キャンペーンを展開している。このキャンペーンでは、是枝氏の初監督作品『幻の光』で衣装を担当し、同作のヴィジュアルイメージにも大きな影響を与えたスタイリスト・北村道子氏がスタイリングを手がけ、フランスのファッションマガジン『PURPLE』などで活躍するフォトグラファー・鈴木親氏が撮影を担当した。日本の叙情性を、現代の日常から切り取るような写真で知られる鈴木氏は、京都の陰影から浮かび上がったような、ブラックのダブルモンクストラップ「ウィリアム」と鮮やかなロングホーズとの組み合わせを捉えている。デニムとスリーピース、それぞれの装いと「ウィリアム」とのスタイリングは、“ジョンロブ”を象徴するとともに、クラシックとモダン、ドレスとカジュアル、そして和と洋をブリッジするような存在感が表現されている。
ジョンロブ京都店と、同店にまつわるこれらのプロジェクトは、いずれも京都という土地と密接に関わる形で、成立している。そしてそれらは、シューズブランドの新店とそのプロモーション、という域を超えて、京都自体と“ジョンロブ”とのコラボレーションともいえるような、独自性と奥行きを感じさせるものになっている。これもまた京都のなせる業、京都の力が意外な形で表れた一例なのかもしれない。
STAFF
Writer: Yukihiro Sugawara
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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