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続いて、2024年展開のVBCの生地から、“ポール・スチュアート”がメイド・トゥ・メジャーなどで推薦している4つについて、まずランディ氏が解説した。
「ここにあるのは“VBC”の中核を成す、4つのファブリックです。まずスーパー110の生地、これは私たちとしてもベストバリューと認識しているもので、顧客の大半が、この生地を好んでいます。次は先述の21マイクロンウールを使ったもので、平織りの4プライです。これは通常の2プライの糸を掛け合わせるのではなく、4本の糸を一度に撚ってつくっています。当社の全コレクションの中でも、もっとも機能性に富んだ生地で、コンストラクションがしっかりしているので仕立て栄えも良好です。3つめはこれは私たちにとって革命的な、ナチュラルなストレッチ性がある、非常にフレキシブルな生地です。COVID-19流行によるステイホーム環境で、人々は快適さを求めるようになりました。そして現在もその傾向は変わっていません。そこで快適性を重視した生地をつくったのです。これはSUPERSONICというコレクションで、超音速で世界を旅するトラベラーをイメージした生地でもあります。そしてウール&リネン、先ほど鴨志田さんにご紹介いただいたセットアップと同じ生地です。リネンのフレッシュさと夏らしさに、ウールの機能性を盛り込んでいます」



このランディ氏の解説ののち、会場では鴨志田氏による各生地とシャツやネクタイとのコーディネイト提案が実演された。その際に鴨志田氏の目に留まったのが、この日ランディ氏が着用していたスーツの生地。
「これは“VBC”の新しいコレクションです。OFFLIMITSというコレクションで、85%はウール、そして残りは特別なナイロン素材です。両者の混紡により、自然なシワ感のある生地になります。アイロンプレスなどを経ても、そのテクスチャーは失われません。テーラードのスーツを、モダンな、新しい感覚で着るにはどうしたらいいかということは、皆さん追求されているところだと思いますが、こういった生地や着方も、ひとつの解答ではないでしょうか」

このように説明したランディ氏の言葉を受けて、鴨志田氏は次のように語った。
「服というのはやはり生地、どんなにつくりが良かったとしても、良質な生地じゃないと良い服にはならないと思います。そして服の歴史の中でエポックメイキングだったのは、ジョルジオ アルマーニが70年代にスタイルとともに生地を開発したことで、そこでメンズファッションは大きく変わりました。それ以前の堅苦しい生地から、ヴィスコース素材を入れた生地など、さまざまなテクニックを使って、メンズのスーツを革新していったんです。こうした刺激は大切で、そうしないと進化しません。今はまた、何か刺激を与えることで、マーケットが活性化して、次に進んでいくような時期に来ているように思えます。ブルーノが着ているような生地を、何らかの形で取り入れて、次に向けて動き出したい気分です」

トークショー終盤、先日開催された生地の見本市「ミラノ・ウニカ」に関して、話が及んだ。
「2025年春夏の“VBC”のテーマは『サタデー・ナイト・フィーバー』です。その理由は、ひとつにはCOVID-19の流行がひと段落し、みなさんがどんどん外に出て、エキサイティングな盛り上がりを見せようとしているときに、1970年代という時代が、よく合っているように思えたからです。そしてなぜパーティやイベントといったことに私たちが着目したかというと、COVID-19流行の後に、人々は各種のオケージョンにあわせて装うということに、再び楽しみを見出すようになりました。例えば本日のイベントのように、みなさまと一緒にタイドアップしたり、“ボランジェ”のような素敵なシャンパーニュを味わったりといった場合に、その時を楽しむための装いというものを、再び考えるようになったのです」
ランディ氏の説明に対して、トークの結びとして、鴨志田氏は次のようにコメントした。
「『サタデー・ナイト・フィーバー』はすごくアグレッシブなテーマではあるのですが、いま、モードの世界も含めて、装いの気分として、70年代や80年代が注目されています。自分自身としては、70年代がすごく気になっています。ワイドラペルのジャケットや、裾幅21センチではまだ細いと思うくらいの太いパンツは、やっぱりかっこいいなと。そこで、70年代をもう一度おさらいして、次に向けて新しいスタイルを出していきたいと考えていたところでした。そんな中、“VBC”がそうしたテーマを打ち出していたのを見て、自分は間違っていないとも思えました。今は“VBC”のコレクションをいろいろと見せてもらっているところです」
STAFF
Writer: Yukihiro Sugawara
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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