ボヘミアンスタイルから発想した“T-マイケル”のコレクション

コートの画像
T・マイケル氏自身のブランド“T-マイケル”の2024秋冬コレクションより。ヘビーウェイトなドイツ製モールスキン生地を使ったラペルレスのコート。Vゾーンは風雨が入らないようなディテールになっているなど、旧いワークウエアの要素が盛り込まれている。
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こちらはベルギー製の重量感あるリネン生地を使ったジャケット。ピークドラペルのテーラードなスタイルながら、着丈を短めに設定して、ボックスシルエットで独特なバランスに仕上がっている。

“ノルウェージャン・レイン”とともにT・マイケル氏自身のブランド“T/MICHAEL(T-マイケル)”の2024年秋冬コレクションも発表されていた。20世紀初頭のヨーロッパのボヘミアンライフに着想を得たという。重量感あるドイツ製のモールスキンファブリックを使ったコートや、秋冬でも着用できそうなこちらもヘビーなベルジャンリネンを使ったジャケット、しっかりと織り込まれたコットン生地を使ったシャツなど、いずれも堅牢感があり、エイジングが楽しめそうなアイテムが展開されていた。「ワークウエアから発想したものが多いですね。往時のボヘミアンだったアーティストたちは、決して装いを追求していた人たちではありませんでした。モールスキンは、デニム以前の素材という位置づけで、今回選んでいます」とT・マイケル氏。

東京を深く知って選んだ、神田という場所

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東京・神田の『ノルウェージャン・レイン&T-マイケル』店舗外観。
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古い建物の構造を維持しつつリノベーションした店内。一部家具なども以前この建物内で使われていたものを残している。フローリングにはカナダの橋の古材を使っているという。
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『ノルウェージャン・レイン&T-マイケル』店舗2階奥にあるバースペース。畳敷きで、靴を脱いで利用する形。家具類はノルウェーのモダンファニチャーが選ばれている。

今回の“ノルウェージャン・レイン”と“T-マイケル”の2024秋冬コレクション展示会は、東京・神田にある『ノルウェージャン・レイン&T-マイケル』のショップで行われた。第二次大戦前からこの場所にあったというガラス店の建物をリノベーションした店内は、2層のショップスペースに、さらにバーも併設されている。それにしても、なぜ神田という場所を選んだのだろうか。T・マイケル氏はその理由を次のように語った。「東京の東側は、かつてこの都市の中心部だったところで、周囲には古くから営業している飲食店が数多くあります。でも、私たちがここに初めて訪れた時、ファッション(の店)はありませんでした。当時、日本の方もファッションのお店を神田に出そうとはあまり考えなかったでしょう。でも私としてはそれがいいなと思ったのです。それに、一度このお店に来ていただけたなら、長くご滞在いただけるのではとも思いました。そこでバースペースも設けて、ウイスキーやクラフトジンなどを飲みつつ、ゆっくり過ごしていただけたらと考えたわけです」。

ブランケットとジャケットの画像
ノルウェー中部の世界遺産の村ロロスでつくられる「ロロス・ツイード」とコラボレーションしたブランケットと、そのブランケットを使ったジャケット。『ノルウェージャン・レイン&T-マイケル』5周年記念アイテムとして展開される予定。
ボタニカルジンBAREKSTENの画像
ノルウェーの蒸留家シュティグ・バレクステン氏が手がけるボタニカルジン“BAREKSTEN(バレクステン)”。『ノルウェージャン・レイン&T-マイケル』の5周年を記念したコラボレーションが実現。ラベルにはヘレ氏とT・マイケル氏の横顔が描かれている。

この4月で開店5周年を迎えるという『ノルウェージャン・レイン&T-マイケル』。それを記念して、T-マイケル氏とヘレ氏の顔を織り込んだノルウェー製のブランケット生地を使ったアイテムなど、記念のアイテムがいくつか展開される。また、バーではノルウェーの名ディスティラーとコラボレーションしたオリジナルのクラフトジンも用意されるという。

時折開店する、「地獄」という名のバーとは

キャバレー・ド・ランフェールのエントランスの画像
19世紀後半から20世紀前半に、パリ・ピガールに存在した『キャバレー・ド・ランフェール』のエントランス。
(photo:Eugène Atget、パブリックドメイン)

ところで、この『ノルウェージャン・レイン&T-マイケル』のバーには、また別の顔がある。週に1日、「BAR L’ENFER(バー・ランフェール)」として開店するのだ。フランス語で「地獄」という意の店名を聞いて頷く方は、かなりのパリ通かもしれない。パリの歓楽街ピガールに19世紀末に開店した『Cabaret de L’Enfer(キャバレー・ド・ランフェール)』、まもなくクリシー通りに移転し、隣の『Cabaret du Ciel(キャバレー・ドゥ・シエル=天国のキャバレー)』とともに、紳士淑女の社交場として、ベルエポック~レ・ザネ・フォル(ジャズエイジ)時代のパリを彩ったといわれる。そこはまたアンドレ・ブルトンほかシュルレアリストたちが集った、文化の発信地でもあった。1950年代に消滅したこの「キャバレー・ド・ランフェール」の存在に着目し、そのムードを現代の日本に蘇らせようという試みが、この「バー・ランフェール」である。ピガールという街を愛し、蒸留酒アブサンに造詣が深いファッション・ジャーナリスト、増田海治郎氏がバーテンダーを務めている。増田氏が選んだアブサンはもちろん、ヴァンナチュールや山口県の日本酒が供され、神田の和菓子や煎餅とのマリアージュが楽しめるという。そして何より、長年ファッションの世界で活躍する増田氏の深い見識と彼が生み出すシーンこそ、美酒をひきたてる最高の肴といえるだろう。東京の夜とファッションを盛り上げる、楽しくもディープな「地獄」。覗いてみてはいかがだろうか。

お問い合わせ先
Norwegian Rain & T/MICHAEL TOKYO STORE
東京都千代田区神田須田町1-12-6
03-3527-1766
https://norwegianrain.jp/

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