（3ページ目）環境に配慮する“マクラーレン”のハイブリッド・スーパーカー『アルトゥーラ』で避暑地のオーベルジュへ

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「静」と「動」、シーンによって走行モードを変えられる

さて、クルマに話しを戻そう。

大きなパワーを持つスーパーカーでありながら、EVの静音走行を持ち合わせることは、私のドライバーシートへの距離をグッと縮めた。ホテルを出発する朝も、大きなエンジン音で他のビジターを驚かせてしまうこともなさそうだ。お子さんも遊ぶこの場所を排気ガスで汚してしまうこともない。

「帰り道は、私もちょっと運転してみようかな」

クルマの奥は焚き火エリア。アルコールドリンクや焼きマシュマロなどを楽しめる。EV走行なら、騒音もなく、空気を汚さずに走れるのが嬉しい。

ホテルの駐車場に設置されたEVチャージャー。2時間半の充電で80%まで充電できるそう。

跳ね上げ式のドアを開けて緊張しながらドライバーシートに乗り込んでみたものの、運転は思いの外、難しくなかった。EVとエンジンの切り替えも、ステアリングをはなすことなく指を伸ばすだけで操作が可能だ。ガラス面が広く、視界が明るく開けているので、車両感覚も掴みやすい。

私のハンドリングで、スーッと静かに『アルトゥーラ』は走り出した。本当に静か。

幹線道路に出る前に運転席を夫に返そうと思っていたが、欲が出た。スーパーカーはレーシングカーのように敷居の高いものだと思っていたけれど、EV走行からエンジン走行に切り替わっても問題なく運転できる。そして高速道路へ。エンジン音に胸を弾ませながらステアリングを握る。少し夫の気持ちがわかる気がした。ワクワクする高揚感は人を前向きにさせる。

疲れにくく運転しやすい。運転免許があれば、特別なライセンスは不要で最高水準のドライビング体験を楽しむことができる。もちろん女性でも。

途中のサービスエリアで、旅の締めくくりの運転は夫に託す。エンジン＋モーターの包容力の大きいパワートレインに走りを委ねる夫の横顔は、とても充実感に満ちている。価値あるクルマを自ら操作する楽しさに加えて、スーパーカー特有のエンジン音はいくつになっても男の胸を高鳴らせるのだろう。これが明日の活力になるのなら実益を兼ねた良い趣味なのかもしれない。そうそう、これだけは夫に確認しておかなければ。

「ガレージとクルマのキー、私の分もあるわよね？」

主要諸元	McLaren Artura
エンジン	V6エンジンツインターボ
	電動ハイブリッド
最高出力	680ps／7500rpm
全長×全幅×全高	4539×1913mm×1193mm
車両重量	1395kg
車両本体価格	￥30,700,000