タブロイドマガジンAdvancedTimeをお手元に
島根県の隠岐諸島への旅は、単なる自然豊かな離島巡りとは異なる面白さを秘めている。神々と深く結びついた土地であり、約2億3000万年前からの大地の成り立ちを知り、生命の神秘に触れて心身ともにデトックス。大地とそこに暮らす人、もたらされる豊かな食材のパワーをチャージする極上の旅となった。
今回は、空路で東京から隠岐諸島へと向かった。羽田空港から伊丹空港で乗り継ぎ、隠岐世界ジオパーク空港へ。思いのほか乗り継ぎはスムーズで、約2時間半の空の旅で隠岐諸島の玄関口である島後(どうご。隠岐の島町)に降り立つことができた。
隠岐諸島は島根県本州沿岸沖、約60キロの日本海に浮かぶ約180の島々から成る群島。「ユネスコ世界ジオパーク」に認定され、壮大な大地の成り立ち、独自の生態系、人の営みに注目が集まる。
有人島は4つ。西ノ島町(西ノ島)、海士町(中ノ島)、知夫村(知夫里島)の3島を合わせて「島前(どうぜん)」、最も大きな隠岐の島町を「島後」と呼んでいる。
空港からクルマで約10分、島後の航路の玄関口である西郷港へ。まずは、港直結の「隠岐自然館」で、約2億3000万年前の記憶をたどることが、よりよい旅への重要な1歩となる。
.jpg)
隠岐自然館は、約2億3000万年前からはじまる大地の成り立ち、多様な生態系、隠岐の文化についてわかりやすい展示があり、知識を深められる施設。取材時に話を伺うと、パンゲアの話から始まる壮大なストーリーが展開され、興味の沼に引き込まれた。
ドライブして島後を巡りながら、杉とシダが連なる幻想的な樹林のなかで自然と生命の神秘に触れた。
島後の最高峰・大満寺山のシダが生い茂る、神秘的な杉の森の中に佇む「乳房杉(ちちすぎ)」。樹齢約800年という巨木だ。

「乳房杉」の最大の特徴はその姿。主幹から垂れ下がる大小24個もの「下垂根」がまるで乳房にように見えることからその名がつけられたという。岩倉神社の御神木として崇拝されてきた。
地面ではなく大きな岩の上に立っているため、通常のように地中から水分を十分に吸い上げることができず、垂れ下がった乳房状の根(気根)を使って、空気中の水分や霧を吸収して生きていると考えられている。なんとも不思議な巨木である。
周辺の岩の隙間からは地中の冷気が吹き出す「風穴(ふうけつ)」があり、夏でも涼しい風が吹き出ている。常に霧が立ち込めるサンクチュアリとなっている。
島後西部の那久川上流にある2本の滝「壇鏡(だんぎょう)の滝」もまた、「乳房杉」と同じように深い緑に抱かれた、隠岐を代表する神秘的な名瀑。

ダイナミックな岩壁の中央に「壇鏡神社」の社殿が佇み、それを挟むように右側に落差約50mの「雄滝(おだき)」、左側に落差約40mの「雌滝(めだき)」が白糸のように流れ落ちる。

幻想的な滝のパワーを感じながら森林浴を存分に。「全国名水百選」の水を汲んで喉を潤し、癒しのひと時を締めくくった。
「古事記」の国生み神話において、伊弉諾尊(イザナギ)と伊弉冉尊(イザナミ)が淡路島、四国に続く、日本で3番目に生んだ島が「隠伎之三子島(オキノミツゴノシマ)」。つまり、現在の隠岐諸島であるとされ、神々と深く結びついた土地でもある。
隠岐には4つの有人島に100社を超える神社が点在し、古くから“神々の島”として知られてきた。日本最古の全国神社リストとされる「延喜式神名帳(えんぎしき じんみょうちょう)」に記された神社は16社もある。
隠岐国総社として長い歴史を持つ「玉若酢命(たまわかすみこと)神社」を訪れた。境内には樹齢2000年ともいわれるご神木「八百(やお)杉」がそびえ立ち、その圧倒的な存在感に目を奪われる。

寛政5年(1793年)に建てられた本殿は、出雲大社(大社造り)や伊勢神宮(神明造り)といった、日本を代表する神社建築の要素が融合した隠岐独特の「隠岐造り」だ。

この後の島巡りで紹介する西ノ島にある「由良比女(ゆらひめ)神社」もユニークないわれがある。

数十年前まで、毎年冬になると、大量のスルメイカが、浜に押し寄せるという世にも不思議な現象が起きていたという。諸説あるが、由良比女命が海に浸した手にイカが噛みついてしまい、そのお詫びとして毎年イカたちが集まるようになったと伝えられている。地元では今でも深く愛されている聖地だ。

灯籠や拝殿、マンホールなどさまざまな場所にイカの意匠がいくつもあり、探して歩く楽しみも。目の前の青い海とのコントラストが美しく、時を忘れて佇んだ。
約630万年前からの火山活動によって形成された隠岐諸島は、日本で唯一、離島全体がユネスコ世界ジオパークに認定されている。そのダイナミックさを体感しに島巡りへ出かけよう。島後から島前にはフェリーや高速船を利用、島前は島前内航船で巡った。
壮大な自然を象徴するのが、西ノ島町(西ノ島)の「摩天崖(まてんがい)」だ。港から25分ほどのドライブで到着。レンタサイクルを借り自力で向かう旅行者の姿もあった。

360度遮るもののない大パノラマ!海抜257mの断崖が日本海へと切れ落ちる姿は圧巻。目の前には雄大な空と島と海の景色が広がり、隠岐ならではのスケールの大きさを実感した!

知夫里島の「赤ハゲ山」も絶好のビュースポット。山頂付近からは島前カルデラを一望し、火山活動によって生まれた島々の地形を俯瞰できる。
島前カルデラは、約630万年前の火山噴火と陥没によって生まれたと考えられている、世界でも珍しい海に浮かぶ三重構造の地形。陥没を免れた部分が島前3島(外輪山)として残り、凹地には海水が流れ込んで湖のように穏やかな内海を形成している。
周辺には牛が放牧されていて、道中ではキジの声を聞き、タヌキの姿を見かけ、のんびりとした気分に浸った。

続いては、噴火の痕跡を色濃く残す「赤壁」へ。赤褐色の岩肌が約630万年前の火山活動を物語る断崖は、国の天然記念物に指定されている。

幾重にも重なった縞の美しさに見惚れる。遊覧船に乗れば、海からの迫力ある姿を見ることもできる。
隠岐の自然とパワーにどっぷりと浸ってリセットした後は、豊かな海と土地に育まれた食材たっぷりの隠岐グルメを探訪した(後編に続く)。
>海と隠岐の島々が磨きあげた最高峰の食材を、最上の瞬間に。グルマンの心を虜にするローカルガストロノミー/後編はこちら
協力/(一社)隠岐ジオパーク推進機構
STAFF
Writer: Fukuko Hamada
Editor: Kyoko Seko
TAGS
『AdvancedTime』は、自由でしなやかに生きるハイエンドな大人達におくる、スペシャルイシュー満載のメディア。
高感度なファッション、カルチャーに溺愛、未知の幅広い教養を求め、今までの人生で積んだ経験、知見を余裕をもって楽しみながら、進化するソーシャルに寄り添いたい。
何かに縛られていた時間から解き放たれつつある世代のライフスタイルを豊かに彩る『AdvancedTime』が発信する情報をさらに充実し、より速やかに、活用できる「AdvancedClub」会員組織を設けました。
「AdvancedClub」会員に登録すると、プレゼント応募情報の一覧、プレミアムな会員限定イベント、ブランドのエクスクルーシブアイテムの紹介など、特別なコンテンツ情報をメールマガジンでお届け致します。更に『AdvancedTime』のタブロイドマガジンのご案内もあり、送付手数料のみをご負担いただくことでお手元で『AdvancedTime』をお楽しみいただけます。
登録は無料です。
一緒に『AdvancedTime』を楽しみましょう!

vol.032

vol.031

vol.030

vol.029

Special Issue.AdvancedTime×AQ

vol.028

vol.027

Special Issue.AdvancedTime×AQ

vol.026

vol.025

vol.024

vol.023

vol.022

vol.021

vol.020

vol.019

vol.018

vol.017

vol.016

vol.015

vol.014

vol.013

Special Issue.AdvancedTime×HARRY WINSTON

vol.012

vol.011

vol.010

Special Issue.AdvancedTime×GRAFF

vol.009

vol.008

vol.007

vol.006

vol.005

vol.004

vol.003

vol.002

Special Issue.01

vol.001

vol.000
水天一碧の景色と、伊豆山の“氣”に身をゆだねて「熱海・伊豆山 佳ら久」で過ごす癒しのスパ旅へ
“ムードメーカーの妻に、男4人が転がされている、でもそれがいいんです”
海と隠岐の島々が磨きあげた最高峰の食材を、最上の瞬間に。グルマンの心を虜にするローカルガストロノミー/後編
国籍も色もミックスしながらオリジナルの着こなしを追求!
地球の記憶を抱き、神々が集う特別な島。心をほどく隠岐諸島への旅/前編