パテック フィリップの美と技術のすべてが東京に集結

ヒストリカルピースからスイス時計の至宝を見逃すな。最新の複雑モデルまで珠玉の約500点をお披露目。

この夏、ジュネーブの街と「パテック フィリップ・ミュージアム」「ジュネーブ本店サロン」をそのまま再現したようなパテック フィリップのエキシビションが東京で開催される。何故、世界最高峰の時計ブランドと称されるのか、その理由がわかる数々の“時計遺産”や超絶時計がやってくる。入場は無料で、予約も不要なので、この機会にパテック フィリップの絶技を堪能してほしい。

FASHION Apr 28,2023
パテック フィリップの美と技術のすべてが東京に集結

歴史に刻まれてきた技術革新

パテック フィリップ・ミュージアムの画像
ジュネーブにあるパテック フィリップ・ミュージアム。

パテック フィリップが時計界で頂点を極めた大きな要因は、ブランドの継続と積み重ねてきた歴史にあると言っても過言ではない。ジュネーブにある「パテック フィリップ・ミュージアム」に所蔵されたタイムピースたちは、その歴史の雄弁な語り部となっている。

そのひとつがパテック フィリップが1851年のロンドン万国博覧会で英国ヴィクトリア女王に献上した時計だ。それにはのちに創業者でポーランドから亡命してきたアントワーヌ・ノルベール・ド・パテックの片腕として、共同経営者となるフランス人時計師のジャン・アドリアン・フィリップが考案した世界初のリューズ機構が備わっていた。現在の機械式時計でも当たり前のように使われているリューズによるゼンマイの巻き上げと時刻合わせの機構だ。その後も各地で行われた万国博覧会で名声を確立し、王侯貴族や芸術家たちから追い求められるようになる。

とりわけ時計製造における技術の進化は、革新の連続が欠かせない。前述のリューズ機構をはじめ、ミニット・リピーター、永久カレンダー、ワールドタイムといった複雑機構から、時計の精度を調整する独自パーツなど100件以上もの技術特許を有する。その技術の集大成が1989年に発表された最も多くの複雑機構を搭載した携帯時計「キャリバー89」だった。

一方で、七宝細密画、クロワゾネ七宝、木象嵌などの伝統工芸を消滅の危機から救うために希少なハンドクラフトのタイムピースも積極的に展開。現在では愛好家たち垂涎のコレクターズアイテムとなっている。

愚直なまでに革新すべきことと守るべきことを追求してきたパテック フィリップ。時計界の至高の存在となった現在も、その進化は止まらない。

資料の画像
上/レマン湖畔のローヌ通りにあるパテック フィリップの社屋。 下/ジュネーブの本社に保管される販売台帳。創業以来販売されてきた時計や顧客が 記録され、歴史の重みが凝縮されている。

パテック フィリップの華麗なる歴史

1839年

アントワーヌ・ノルベール・ド・パテックとフランソワ・チャペックがジュネーブでパテック,チャペック社を創業。チャペックは6年後に退く。

1844年

パリ博覧会でパテックとジャン・アドリアン・フィリップが出会う。

1845年

フィリップが共同経営者となる。

アントワーヌ・ノルベール・ド・パテックとジャン・アドリアン・フィリップの画像

ミニット・リピーター付き懐中時計を発表。リューズ巻き上げ・時刻合わせ式時計の特許を取得。

1851年

社名をパテック フィリップと改称。ロンドン万国博覧会でリューズ巻き上げ式懐中時計を出品。英ヴィクトリア女王の賞賛を受けた。

時計の画像
1851年のロンドン万国博覧会でパテック フィリップが金賞を獲得。この博覧会でヴィクトリア女王に献上されたのが、このペンダント・ウォッチ。裏蓋にはブルーエナメルとゴールドの細工が施され、中央にはローズカットダイヤモンドによる花の細工が施されている。当時は英国が時計産業をリードしており、この時計で女王のお墨付きを得たかっこうとなった。

1868年

ハンガリーのコスコヴィッチ伯爵夫人のためにスイスで最初の腕時計を製作。

時計の画像
パテック フィリップが1868年に製作したスイスで最初の腕時計。ハンガリーのコスコヴィッチ伯爵夫人に販売されたもので、ダイヤモンド付きのカバーを開けると文字盤が現れるシークレット時計。

1889年

懐中時計用永久カレンダー機構の特許を取得。

1902年

スプリット秒針クロノグラフ機構の特許を取得。

1910年

ウェストミンスター寺院の鐘を再現する超複雑懐中時計「レグラ公」を製作。

1923年

最初のスプリット秒針クロノグラフ付き腕時計を発表。

1925年

最初の永久カレンダー付き腕時計を発表。

時計の画像
懐中時計で永久カレンダーの特許をすでに取得していたパテック フィリップは、その技術を1925年に世界で初めて腕時計で実現。ダイヤル外周に日付表示を備えるポインターデイト式で、ムーンフェイズも備えた。

1927年

天文表示懐中時計「パッカード」を製作。

1932年

スターン兄弟文字盤製作会社のオーナーだったシャルルとジャン・スターン兄弟が経営権を取得。カラトラバ・モデルを発表。

1933年

アメリカの大富豪ヘンリー・グレーブス・ ジュニアのために当時、世界で最も複雑なタイムピースを製作。

1941年

永久カレンダー搭載腕時計のシリーズ生産を開始。

1944年

第1回ジュネーブ天文台計時精度コンクールで1位を獲得。

1949年

ジャイロマックス・テンプの特許を取得。

1953年

自動巻き機構の特許を取得。

1959年

ワールドタイム機構の特許を取得。

時計の画像

1976年

ノーチラス・モデルを発表。

1989年

創業150周年を記念して 世界で最も複雑な時計 「キャリバー89」が完成。

時計の画像
創業150周年を記念して1989年に製作されたグランド・コンプリケーション。トゥールビヨン、スプリットセコンド、ミニット・リピーターなど、計33の複雑機能を有し、部品の点数は1728個に及ぶ世界で最も複雑な携帯時計。完成までに9年の歳月を要した現代の最高傑作時計のひとつだ。

1996年

ジュネーブ郊外に本社新ファクトリーを開設。年次カレンダー機構の特許を取得。

2000年

「スターキャリバー2000」を発表。

2001年

ジュネーブにパテック フィリップ・ミュージアムがオープン。

2006年

シリコン・ベースの髭ぜんまいを発表。

2014年

創業175周年を記念し、数々のタイムピースを発表。

2023年

ウォッチアート・グランド・エキシビションを東京で開催。

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