「カルティエ、時の結晶」に見る現代と過去を結ぶ特別な瞬間 

ディレクター
アルノー・カレズ

カルティエ インターナショナル・マーケティング&コミュニケーション ディレクターである、アルノー・カレズ氏に東京・六本木の国立新美術館で開催中の展覧会『カルティエ、時の結晶』について伺いました。

FASHION Dec 4,2021
「カルティエ、時の結晶」に見る現代と過去を結ぶ特別な瞬間 

現在、東京・六本木の国立新美術館で開催中の展覧会『カルティエ、時の結晶』。トップジュエラーとして世界を牽引してきたカルティエの、1970年代以降の現代作品を中心に約300点を、杉本博司氏と榊田倫之氏による「新素材研究所」の会場構成で展示し、話題を呼んでいる。同社のインターナショナル・マーケティング&コミュニケーション ディレクターである、アルノー・カレズ氏によれば、「170年というメゾンの歴史の中でハイジュエリーを見てみると、いつの時代も創造性の限界を押し広げ、技術をさらに高めてきていますが、これまで開催してきた展覧会の中で、現代の作品と歴史的なアーカイヴ作品を合わせて展示するのは、カルティエとして初の試みでした」。

展示されているジュエリーや時計は個人所蔵のものが約半数で、世界中から集められている。「ユニークな展示作品の中でもひときわ私の興味を引くのが、写真のクロコダイルのネックレスです。メキシコの女優マリア・フェリックスが、パリのカルティエ本店でオーダーしたのですが、なんと彼女は実際に2匹のワニを連れて来店されました。そして、“このワニ達が大きくならないうちに早く仕上げてほしい!”と笑。熟練した職人の技で無事に彼女の夢が叶えられた訳ですが。実際の作品はワニの硬い皮膚の感じが見事に表現されています。それに比して、実際の着け心地はとてもよく、なめらかにフィットするのです」

パリのカルティエ現代美術館の初の回顧展を開催したのは日本。「日本とは、とても強く、情感があり、お互いに共鳴しあえる関係を続けています。美やクラフツマンシップに対する理解が深く、洗練されていて…、<時>の概念が重要視されています。既にたくさんの人に足を運んでいただいていますが、この展覧会はメゾンとしての創造性、そして多様性を表現しています。一貫性のあるカルティエのスタイルと、創造性への飽くなき欲望が創り出した世界はぜひ、何度でもご覧いただきたいです」

女優マリア・フェリックスがオーダーした≪「クロコダイル」ネックレス≫ (カルティエ パリ、特注品、1975年、カルティエ コレクション)。

Nils Herrmann ©Cartier「カルティエ 、時の結晶」は12月16日(月)まで、東京、六本木の国立新美術館で開催中。
展覧会ホームページhttps://Cartier2019.exhn.jp

PROFILE
ディレクター アルノー・カレズ
ディレクター
アルノー・カレズ

カルティエ インターナショナル・マーケティング&コミュニケーション ディレクター。2009年、東京国立博物館で開催されたカルティエ展の指揮をとる他、日本でのEコマースサイトの立ち上げも手がける。

初出:2019年11月23日発行『AdvancedTime』03号。掲載内容は原則的に初出時のものです。

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