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石巻工房は、東日本大震災の直後、建築家・芹沢治氏が中心となり、「暮らしに必要なものを自らつくる」という考えのもと、石巻市民と始めたDIYからスタートした家具ブランド。震災から15年の節目の年に、東京・西麻布「カリモク コモンズ東京」で開催されているのが「15Years After 石巻工房のあゆみと15の家具」展だ。石巻工房のものづくりの思想と、その歩みが、15点のアイコニックな家具とともに紹介されている。家具の美しいデザインが堪能できるのもちろん、地域、人とのつながり、暮らし、サスティナビリティ……社会に対する思考を深めてくれる、またとない展覧会。見逃し厳禁だ。

石巻工房は、2011年3月11日の東日本大震災直後の宮城県石巻市で、建築家・芹沢治氏が中心となり、被災地での暮らしに必要なものを考え、自らの手でつくりだそうと、市民と一緒にものづくりができる公共工房としてスタートした。限られた材料で作られた、実用性と耐久性がある家具、そして被災者とボランティアとの交流を育んだ工房は、被災地の人々の日々の暮らしを支える存在となった。
それから15年。石巻の街と人々は活気を取り戻し、石巻工房は家具ブランドとしての地位を確立。2024年には家具メーカー、カリモク家具と業務提携。シンプルながらも洗練された製品は、長く愛着が持てる家具として好評だ。

「15Years After 石巻工房のあゆみと15の家具」展では、石巻工房のあゆみの中で特に重要な役割を果たしてきた15点のアイコニックな家具が紹介されている。
展示作品は、芦沢啓治、安積朋子、インダストリアル・ファシリティ、スタジオ・アドジェクティヴ、ダニエル・スコフィールド、寺田尚樹、トラフ建築設計事務所、ドリルデザイン、ノーム・アーキテクツ、フィリップ・マロイン、藤森泰司、二俣公一が手がけた15点。
「石巻工房の家具は、被災地に必要なものづくりからスタートして、現在は50種類以上がある。今回15年の節目ということで15個のアイコニック家具を選んだが、それぞれに思い入れがある」と、共同代表で工房長の千葉隆博氏が語るように、それらは、単なる家具には止まらない。石巻を起点に15年の間に広がってきたものづくりの考え方そのものであり、場所や時間、コミュニティとともにつくることの力を刻んだ存在だ。
その中でも、代表的なプロダクツのひとつが「石巻ベンチ」だろう。今回、15のアイコンとともに、15年前につくられたオリジナルの「石巻ベンチ」も展示されており必見だ。

「石巻ベンチ」は、震災直後に石巻市民のために開催された野外映画祭のためのベンチとして、石巻工業高校の生徒たちとともに40台余のベンチが作られたのが始まり。

現在「石巻ベンチ」は、カリモク家具により製品化され販売されている。2011年のオリジナルのベンチよりもグッと洗練された印象だが、素朴で温かく、シンプルで使い勝手がいい、そして頑丈さは、当時とまったく変わらない。現在の「石巻ベンチ」は、なんと7tもの重さに耐えられるという。


石巻工房は石巻ブランドとして石巻に工房を持つ一方で、「メイド イン ローカル」というプロジェクトを通して、ネットワークやコミュニティを世界各地へと広げている。「メイド イン ローカル」プロジェクトは、石巻で生まれたデザインを、その地域の材料を使って、その地域の人の力で製造し、その地域の文化や暮らしの中で使用するという取り組みだ。
利用できる素材の特性を読み取り、使われる状況や人との関係を想い、家具にする。震災の混乱の中で培われたこの考え方は15年経った今も受け継がれ、それぞれの土地に応じた形へと進化している。
代表の芹沢治氏は「初めは震災をきっかけに誕生したと、いつまでも言い続けるのはどうなのかと思っていましたが、震災の記憶は財産なんですよね。私たちには、記憶を継承する必要がある。石巻工房は私たちなりの伝え方です」と語る。石巻工房のものづくりに向き合う姿勢は15年前となんら変わっていないのだ。
本展では、映像作家・Nobu Arakawa氏制作のインタビュー映像も公開されている。登場するのは、石巻の商店街の店主や地域コミュニティ、ものづくりやクリエイティブ、事業創造、人材育成、文化などに関わり、まちづくりを支える石巻の人々。こちらも注目のひとつだ。

会期:2026年3月11日(水)〜4月23日(木)
会場:カリモク コモンズ東京
住所:東京都港区西麻布2-22-5
開場時間:12:00〜18:00
休館日:日曜
入場料:無料
STAFF
TEXT:Hiroko Fujiki
Edit:Kyoko Seko
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