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今日は家で寛ぎながら飲みたい――そんな気分の時は、調理の手間がかからないおつまみに手が伸びるもの。今回は、RTE(Ready To Eat)で、オーセンティックバーや料亭気分を味わえる逸品をご紹介。全て1,000円以下というのも、日々の晩酌に嬉しいポイントだ。ブレンデッドのスコッチウイスキーから、プレミアムバーボン、ジャパニーズウイスキー、気分に合わせたペアリングで、明日への英気を養って欲しい。

ブレンデッドウイスキーをロックで飲みながら、フレーバーがほどけていくのを愉しむ方も多いことだろう。『ジョニーウォーカー』のラインナップのなかで、ひと際フルーティーさが印象的な『ジョニーウォーカー 18年』も、ロックで飲むと、熟したリンゴのようなフルーティーさから、バニラのクリーミーな甘味、タンジェリンの心地良い渋み、そして、上品に広がるスモーキーな余韻へと展開が愉しめる。
『ジョニーウォーカー 18年』のキーモルトには、エレガントな甘味が特徴的な『グレンエルギン』と『オスロスク』や、モルティーなクリーミーさをもたらす『カードゥ』といった、スペイサイド地方のシングルモルトがふんだんに使われている。そこに、ハイランド地方の『ブレアアソール』を加えることでスパイシーさが加わり、フルーティーさに奥行きを出しているのだ。アイラインズモルトを絶妙にブレンドすることで、上品なスモーキーさをまとわせ、『ジョニーウォーカー』らしい仕上がりにすることも忘れない。
ロックの『ジョニーウォーカー 18年』に燻製したイチジクを合わせると、多層的なフレーバーがより明確に感じられる。燻製の銘店『横浜燻製工房』では、下味からこだわっている。ブランデーを贅沢に用いて下味を付けているのだ。その後、風乾してから60℃の温燻を施すことで、イチジクの甘味がグッと増すという。内側から溢れるような甘味が、スモーキーさを引き立ててくれる。
燻材も、オークと楢、クルミ、桜、そして少量のピートをブレンドしており、スモーキーさに深みがあるのが特徴だ。「燻製することで食材の風味をより豊かにするために、燻材のブレンドを研究した」と職人の栗生聡氏。ブレンドは食材ごとに異なるオリジナルレシピだ。
幾重ものスモーキーなヴェールに包まれたイチジクを味わいながら、ロックの『ジョニーウォーカー 18年』を飲みすすめると、桜のようなフローラルなスモーキーさ、クルミのような甘いスモーキーさ、そしてピート特有のスモーキーさを感じることができるだろう。スモーキーなヴェールが1枚1枚ほどけていく時、疲れた心も、ほぐれていく気がする。

バーボンウイスキーと相性の良い肉料理。プレミアムバーボンと呼ばれる、洗練されたバーボンウイスキーのフレーバーを存分に味わいたい時は、繊細な食感のコンビーフがおすすめだ。
1775年に端を発するバッファロー・トレース蒸留所は、アメリカ最古の蒸留所のひとつで、アメリカ合衆国の国指定歴史建造物に登録されている。バーボンウイスキーは、原料の穀物のうち、トウモロコシを51%以上用いることが法律で義務づけられており、他にライ麦や小麦、大麦麦芽を混合し、その混合比率をマッシュビルという。バッファロー・トレース蒸留所では、3種類のマッシュビルを使い分け、10種類以上のバーボンウイスキーを展開している。
小麦を多く用いたマッシュビルで造られるウィーテッドバーボン『パピー ヴァン ウィンクル』は、“バーボンウイスキー界のロマネ・コンティ”と評される逸品。2023年のサザビーズのスピリッツ部門の銘柄別の落札金額では、マッカランや山崎に続き、『パピー ヴァン ウィンクル』が第5位にランクインしている。2021年にはネットフリックスで、バッファロー・トレース蒸留所が舞台となった事件のドキュメンタリーが配信されるなど、世界が注目する蒸留所なのだ。
バッファロー・トレース蒸留所の伝統的なマッシュビルである、ライ麦を多く用いたマッシュビル造られる『イーグル・レア』は、1975年に誕生した銘柄。『イーグル・レア 10年』は、寒暖差の激しいケンタッキー州で10年以上の熟成を経ており、1本1本、手作業でボトリングするほど希少なのだ。アメリカ国内では限定出荷品となっており、店頭で買える機会の少ないプレミアムバーボンが、日本では通常品として愉しめるのも嬉しい。
フレーバーは、アプリコットのようなフルーティーさとトフィーの甘さを、オレンジピールを思わせる綺麗な渋みが引き締めている。アメリカの国鳥であるイーグル(白頭鷲)を冠しているだけあり、優美な印象のプレミアムバーボンだ。
ハイボールにすると、イーグルが大空へ羽ばたくように、アプリコットのようなフルーティーさがダイナミックに立ちのぼる。スパイシーな味付けのコンビーフを合わせると、より『イーグル・レア 10年』のフレッシュなフルーティーさが際立つだろう。そのフルーティーさがコンビーフから溢れる牛肉の旨味を、そして、その旨味が『イーグル・レア 10年』のトフィーの濃厚な甘みを引き出してくれる。缶詰と侮るなかれ。思わず常備したくなるペアリングだ。

爽やかでキレのあるピート香は、『白州』ならではのフレーバーと言って良いだろう。まるで森林浴をしているような気分になれるのは、南アルプスの山々の麓でつくられているからだろうか。そう、白州蒸溜所は、約82万㎡もの広大な森にいだかれているのだ。標高約700mに位置する“森の中の蒸溜所”は、世界的にも珍しいという。
仕込水は、雨雪が大地にしみこみ、約20年かけて花崗岩層で磨かれた南アルプスの地下天然水。サントリーの2代目の社長である佐治敬三と、初代チーフブレンダーの大西為雄氏が理想の水を求めて数年かけて全国を調査し、適度なミネラル分を含んだ軟水に恵まれた、白州の地に辿り着いた。
発酵槽は、昔ながらの木桶発酵槽を使用。管理は難しいが、木桶独自の乳酸菌や微生物などの働きが、奥深いフレーバーを生成してくれるという。
蒸溜は銅製のポットスチルで2回行っており、初溜のみ、世界でも数少なくなったガス直火を採用している。ポットスチルの底からガスで直接加熱する方法は、1,000℃以上の高温に達するため火力のコントロールが難しいが、もろみがトーストされることで香ばしく力強い酒質になるのだ。
貯蔵庫は、広大な森に点在する形で18棟が建てられている。その高低差は約50m。澄みわたった空気に育まれながら、『白州』ならではのフレーバーをまとっていく。
こうしてできた『白州12年』は、フレッシュな青リンゴのようなフルーティーさと、ジャスミンの甘やかな香り、そして柔らかなピート香が印象的。繊細なスモーキーさは、山小屋から見る朝靄を想い起こさせる。
合わせるのは、山椒の効いたちりめん。山椒は古事記にも登場する、日本伝統のスパイスだ。山椒の栽培は湿度や日光の加減が難しく、「深山にかぎる」といわれるほど。実の収穫までに数年を要するが、木々の声に耳を傾けながら育くむ姿は、『白州』のウイスキーづくりと通じるものを感じる。ちりめんは、小さいながらも立派な尾頭つき。大鍋をふりながら強火で炊いていき、最後は汁気がなくなってふっくらしっとりしてきたところで仕上げている。
森の恵みで育まれた『白州12年』とちりめん山椒を合わせると、まるで、鳥のさえずりが聞こえてくるような、爽やかなフレーバーが心地良く広がっていく。ちりめん山椒をつまみながら『白州12年』をストレートで味わっても良いし、ご飯やパスタにちりめん山椒を加えると、熱で山椒の香りがフワッと広がる。そこに『白州12年』ハイボールを合わせるのも、より香りを堪能したい時におすすめだ。
トム・ディクソン東京

ロンドンを拠点に活躍するデザイナーTom Dixon(トム・ディクソン)氏によるインテリアブランドのショールーム。トム氏は、デザイン界への多大な貢献が認められ、2001年にエリザベス女王から大英帝国勲章(OBE)を受章。カフェも併設されており、トム・ディクソンの家具で時間を過ごすことができる。
東京都港区南青山6-13-1 南青山IDEALビル1F
営業時間:11:00~18:00
定休日:水・日曜日、一部の祝日,夏季、年末年始
TEL 03-6421-0846
https://www.tomdixon.tokyo/
ファン・ダイニング・チェア

17世紀後半に英国で生まれた伝統的なウィンザーチェアを現代風デザインへとアレンジした『FAN (ファン)』シリーズ。孔雀の羽根をモチーフにした英国の伝統的なウィンザーチェアのデザインを、モダンなシルエットに昇華させた。ウィンザーチェアは、1720年代には米国で親しまれるように。日本では、1960年代の百貨店での英国関連のイベントがきっかけとなり、富裕層を中心に広まっていったといわれている。トム・ディクソン氏によるウィンザーチェアは、空間に透明感を与えながらも華やかな印象を残すデザイン。ナチュラルとブラックの2色展開。希望小売価格207,900円。より構築的なフォルムのチェアや、サイドテーブルもある。
メルト・ポータブル

『トム・ディクソン』のアイコンともいえる『MELT(メルト)』シリーズのポータブル・ライト。高温で溶け落ちるガラス、溶けていく氷河、また無限に拡がる宇宙の光景などから着想点を得て作り上げられたデザイン。メルトシリーズ特有の「物体が融解するような」有機的なデザインをポータブル・ライトで再現した。写真のコッパーほか、全4色展開。希望小売価格49,500円。※価格は色により異なります。
タンク・ウイスキーグラス

手作りのガラス・コレクション『TANK(タンク)』。綺麗なグラデーションがテーブルトップをスタイリッシュに演出するブラックシリーズ。写真のブラックほか、コッパーで彩られたシリーズも展開。2個セット。希望小売価格13,200円。
タンク・ハイボールグラス

手作りのガラス・コレクション『TANK(タンク)』。コッパーが上品に輝き、ポットスチルを連想させる。写真のコッパーほか、ブラックも展開。2個セット。希望小売価格15,400円。
●掲載商品の価格はすべて、税込み価格です。
AUTHOR
慶應義塾大学を卒業後、ラグジュアリーブランドに総合職として入社。『東京カレンダーWEB』にてライター・デビュー。エッセイスト&オーナーバーマンの島地勝彦氏に師事し、ウイスキーに魅了され、蒸留所の立ち上げに参画。ウイスキープロフェッショナルを保有し、酒類コンペティションの審査員も務める。公社)日本観光振興協会 日本酒蔵ツーリズム推進協議会 会員。
STAFF
Photos: Yuichiro Ogura
Writer: Arisa Magoshi
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