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ジープブランド初のBEV(バッテリーEV)であり、2023年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを獲得したコンパクトSUV「アベンジャー(Jeep Avenger)」。すでに欧州でカタログモデルが発売され、1万台以上のバックオーダーを抱えているほど人気。日本では24年の中頃までにデビュー予定と言われているジープ最小モデルだが、急遽、日本でサプライズ登場! アンベールされたその魅力に、ひと足先に触れてきた。
徳大寺有恒さんをはじめ、小林彰太郎さん、鈴木正文さん、そして映画監督の河毛俊作さんや松任谷正隆さんなど、幸いにしてこれまで仕事でお世話になってきた方々の多くは、自らの個性を引き立てるファッションについてしっかりと理解されている方ばかりだった。そんな皆さんの前では「人は見かけで判断してはいけない」などといった原則論は、当然のごとく笑い飛ばされてしまうわけなのだが、かと言って皆さんの普段着には、なにひとつ無理がなく、ごく自然に洒落者としてのライフスタイルをまっとうされているのだから参るのである。もちろん自らも、かくありたい、と思ってきたが……。
そしていま、宮崎の地で我々の取材に対応していただいているのは、昨年11月にステランティスジャパンの新社長に就任された打越晋(うちこし すすむ)氏である。一見しただけで仕立ての良さが分かるスーツと、ご本人のお気に入りの一品であろうブライトリングが左手首から覗いていた。この人が8つのブランドを抱える新世代ステランティスジャパンを率いるリーダーかぁ、とすぐに納得出来た。
そんな打越社長は今回の主たる目的は、宮崎県で開催されていた「2023ステランティスジャパン ディーラーカンファレンス&2022アワード」という、ステランティスジャパンのイベントへの参加であった。全国から、ジープだけでなく、ステランスジャパンに属するアルファ ロメオ、フィアット、アバルト、シトロエン、DSオートモビル、プジョーといった各ブランドを扱うディーラーの人たちが一堂に会する場で、今後の新たな方針を理解して貰おうという思いがあったのだろう。忙しく立ち回る間を縫って、我々の取材にも真摯に対応していただけたのである。
そして我々、取材陣の目的と言えば、会場となったホテルで、サプライズとして急遽ヨーロッパから日本に持ってきて、披露されることになったジープブランド初のバッテリーEV(BEV)、「アベンジャー」だった。
2022年10月、パリモーターショーの会場で世界初公開された「アベンジャー」は、ひときわ多くの視線を集めていた。BEVであると同時に、その全長はこれまでのジープブランドとして、もっともコンパクトなレネゲードよりも、さら171mmも短い4084mmで、全幅は1776mm。一見して、手頃で扱いやすさが伝わってくるSUVボディは、欧州や日本などの交通事情に最適なサイズ感であった。そして今年に入ってから欧州でカタログモデルの受注を開始すると、あっという間に1万台を越えるオーダーが入ったという。
一方で、日本のユーザーにとっても、ライフスタイルにピタリとはまりそうな魅力的なジープモデルのデビューは、ブランド初のBEVという新鮮さも手伝い、まさに「待望の1台」といってもいい存在として話題となっている。ただし、その正式な日本デビューは「24年の4~6月期には」と、なんとももどかしい状態が、あと少し続きそうだ。
そんなところに入ってきたのが、「アベンジャーが日本に上陸し、サプライズお披露目される」という情報。早速、初対面を果たすため、上陸する宮崎へと向かった。時はまさに野球の世界一を決定する「侍ジャパン」の強化合宿が始まった直後。スーパースター達を出迎える人々でごった返す宮崎空港の混雑をくぐり抜けるようにして、お披露目会場のホテルへと向かった。
ここでひとつ「お披露目はジープのディーラーだけでいいのでは?」という疑問が湧いてくる。しかし、そこには打越社長ならではの緻密な計算があった。
「現在、ジープのディーラー数は現在88店舗。その販売網をさらに充実させるためには、まずは同じグループ内で他のブランドを扱っていただいているディーラー様に、ジープの最新モデルの魅力に触れていただき、参入を検討頂くのもひとつの形かもしれません」と、打越氏。さらに「電動化が進めば、全国にある349店舗(現在)のステランティスのディーラー網による充電サービスの構築や、共通のファイナンス・サービスなどを用意するなど、魅力的なオプションが色々とご提案できます」という。そのためにも「この機会に是非、アベンジャーを皆さんに披露したい」と熱望したことでサプライズが実現したのだ。日産自動車でのエンジニアを皮切りに、30年以上も自動車関連企業で要職にあって、豊富なマネジメント経験をもつ打越社長ならではの構想には「多種多様で豊富な製品ラインナップによって、ナンバーワンインポーターを目指したい」という並々ならぬ強い思いが込められている。
STAFF
Writer: Atsushi Sato
Photos: Koichi Sinohara
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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