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“サステナビリティ”は、全6皿のコース仕立て。昨年の「ロスフードメニュー」に続き今回もふーどロスバンクの協力のもと食材の仕入れを行った。なお、メニュー全体を通し、“日本米”“地方(今回は北陸地方)”“フードロス”という3つのサポートをテーマに挙げる。食材ごと、生産者のマインドや環境負荷、調理法など、あらゆる面から“サステナブル”に特化したコースだ。一部を、カルミネ・アマランテ氏のコメント共にお伝えしよう。
アミューズの「高農園のサラダ」は、その日の野菜の入荷により20種類以上、日によっては30種類くらいの野菜が入ることもある。パセリを使った濃い緑の「サルサヴェルデ」で、つまりは野菜を野菜のソースで味わう。「生産者の『NOTO 高農園』は、化学肥料を使わず、伝統野菜をメインに畑に無理のない多品種少量の輪作栽培を行う。野菜の瑞々しさ、美味しさが引き立つ。
「生産者の『NOTO 高農園』は、化学肥料を使わず、伝統野菜をメインに畑に無理のない多品種少量の輪作栽培を行っています。野菜の瑞々しさ、味わいはもちろんですが、箸で野菜を「つまむ」感触の違い、美味しさも堪能してください」(カルミネ・アマランテ氏)
続く前菜は「スモーク ハマチ」。適度に水分を抜いたハマチをごく軽くスモークして旨みを閉じ込め、スライスしたラディッシュで巻き、爽やかなセビーチェソースで。
「各県にはプライドフィッシュという推し魚があることも知りました。福井県のプライドフィッシュであるハマチを夏らしい仕立てにしました。サイズが小さすぎるなどで出回らない未利用魚をできるだけ獲らない工夫がされた漁法で水揚げされたものを使っています」(カルミネ・アマランテ氏)
続いては、最も大きなチャレンジである「スナップえんどうのリゾット」。リゾットにイタリア米ではなく日本米を採用。アルデンテの食感を残すため、さまざまな日本米(新潟県産)を試し、日本米に適した調理法を生み出すことで、見事なアルデンテ食感のリゾットに仕上げている。
リゾットにはオーガニック卵のポーチドエッグをトッピングし、周りにはパルメザンのチーズとスモークしたスナップエンドウを添えた、ナポリの伝統的な「パスタ エ ピゼッリ」と日本の卵かけご飯の融合。ポーチドエッグは卵黄を低温のオリーブオイルの中に入れ、1時間かけて火を通すなどして、リゾットに乗せられる。ゲストが卵黄を割る瞬間に完成する一皿だ。
「日本国内では、米の需要が低下しているため、多くのロスが生まれていると知り、チャレンジしてみました。同時にフードマイレージも短くできますしね。日本米にコースの仕込みで出た野菜の切れ端でとった出汁を加えて作っています。
オーガニック卵を生産するファームにも行ってきました。もし、鶏に生まれたとしたら、ここで暮らしたいと思えるほどいい環境。卵の美味しさもぜひ味わって」(カルミネ・アマランテ氏)
メインはこちらも福井県のプライドフィッシュである鰆。炭火で焼いた後、藁焼きでより香ばしく。
「高知を訪れたときに知った、カツオの藁焼きをヒントにしたひと品です。鰆の下にはグリーンアスパラのスライスを敷いてあります。アスパラガスの仕込みで出た切れ端でとった出汁にエシャロット、ポロネギ、クレソンを合わせ、香り豊かに仕上げたソースと一緒にどうぞ」(カルミネ・アマランテ氏)
この後のデザートには酒粕を使うなど、新たな食材のチャレンジも。マイクロ水力発電の電力を使用して地域と共生している苺を使ってもいる。
苦も無く答えるカルミネ氏であるが、メニューの考案だけでなく、レストランのメニューとして成立させるためには、日々、一定量を仕入れなければならず、仕入れた食材をロスなく使い切るのは容易ではない。
「このコースだけではありませんが、お客様に感想をうかがうと、「さらに日本的になっている」と言われることが増えてきました(笑)。
訪れる人の99%が満足する、食事を通して新鮮な驚きや喜びを与えられるよう、さまざまなチャレンジを続けています。今日より明日、明日より明後日と、自分と自分の料理を常に超えたいと考えています」
100%でも90%でもなく、「99%」というのが、彼の繊細さであり面白さでもある。日々成長を遂げるシェフ、そして進化し続ける料理から今後も目が離せそうにない。
なお、22年春、イタリアの「Gambero Rosso(ガンベロロッソ)による2022年「トップ イタリアン レストラン アワード」にて、銀座の「アルマーニ / リストランテ」は、最高位である3フォークを獲得。さらに、世界で1名のみに贈られる「The chef of the year」をカルミネ・アマランテ氏が獲得するというダブル受賞を成し遂げ、世界的な評価も得ている。
STAFF
Photos: Miya Igarashi
Writer: Fukuko Hamada
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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