やさしい「泡」ならフランチャコルタ

イタリア発、エレガントなスパークリングワインを秋に楽しむ

フランチャコルタという酒は、ミラノから車で一時間ほどの地にあるロンバルディア州フランチャコルタ地域でのみ造られるスパークリングワインです。発泡したワインといえば、同じイタリアのランブルスコやプロセッコ、フランスのシャンパーニュ、スペインのカヴァなどもあり、どう違うのか、はたまた同じなのか、と頭を悩ませる人も多いかもしれません。

しかし、あまたあるスパークリングワインのなかでも、フランチャコルタは 特別な存在と言えるでしょう。その理由は、とにかく造りに手間暇がかかっているのです。とくに瓶内２次発酵方式で造られるのは、現在カヴァ、シャンパーニュ、フランチャコルタのみ。しかも、フランチャコルタの瓶内熟成期間は18～60ヶ月以上と長い（シャンパーニュは15ヶ月〜、カヴァは９ヶ月〜）

また、フランチャコルタのブドウ畑は、62％以上が有機栽培であり、世界的にもオーガニックワインづくりの先駆けとなっています。生産者の感受性と彼らの土地の将来を守りたいという欲求とともに、サステナビリティに対してもリード。大小にかかわらず、多くの 生産者がより幅広い意味で品質を高めることに日々努力を費やしており、優れた香りや味わいだけでなく、高い倫理観もそこには含まれます。この大きな目標に向かう一歩一歩をフランチャコルタ協会は様々な活動やプロジェクトを通してサポートしているのです。

フランチャコルタは118のワイナリー（日本では48ワイナリーが属しています）が厳格で綿密な基準の下で製造し、イタリア最高峰のDOCG（統制保証原産地呼称）に認定され、感度の高いミラネーゼをはじめ、イタリアのクオリティコンシャスなファッション業界、セレブリティから愛されています。上品でやわらかな「泡」に、誰もが魅了されていると言っても過言ではありません。

ちなみに、フランチャコルタには5つの種類があります。「ブリュット」は収穫期から数えて、醸造と熟成に最低25ヶ月を費やし、さわやかな酸味と酵母の香り、ミネラルなどの調和が取れています。「サテン」は、低めのガス圧のため、泡立ちは繊細で、まさにサテンのような飲み心地です。「ロゼ」は、赤ワインを混ぜることなく、黒ブドウ品種の皮と果汁を漬け込むことで生まれます。「ミッレジマート」は、ワインの価値が高まる収穫年度に造られます。 「リゼルヴァ」は、ミッレジマートをベースに、さらに香りと味を際立たせるために酵母の澱（おり）を入れたまま最低5年間熟成させたものです。

“イタリア人は特別な日にはこれを飲みます”

百聞は一飲にしかず。東京・有楽町にある「フランチャコルタ バー」では、 常時10種類以上のフランチャコルタが用意され、それをグラスでオーダー可能。また、ギフトや持ち帰り用に6種類のボトルも用意しています。この秋、 フランチャコルタのやさしい泡を楽しんでみてはいかがでしょうか。

“あえて加糖せずすっきり辛口のドサッジョ ゼロ”

スパークリングワインの酸味とのバランスを取るための糖分添加作業 （ドサッジョ）をあえて行わないことで、ブドウ本来の甘味が感じられる「ドサッジョ・ゼロ」もフランチャコルタの魅力のひとつ。すっきりと爽やかな辛口を楽しめます。「マイオリーニ フランチャコルタ パドセ エムラベル 2014（750㎖）」は、100％シャルドネを使用。

阪急メンズ東京のバーで購入可能なフランチャコルタ

右は低めのガス圧でよりやさしい口当たりのサテン「ferghettina サテン」。中は、カ・デル・ボスコの「キュヴェ･プレステージ」。左は、ミラノ・スカラ座の公式サプライヤーにも選ばれる名門ベラヴィスタの「パス・オペレ」。

※表示の価格は全て税込です。

初出：2020年9月21日発行『AdvancedTime』05号。掲載内容は原則的に初出時のものです。