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前回ご紹介した手巻きのドレスウォッチが古典的なスタイルとすると、自動巻き仕様はより実用性を高めた現代的なドレスウォッチといえる。今回はモダンに進化した自動巻きドレスウォッチ4本ご紹介する。
今年、数多く発表されたドレスウォッチ。
前回はデイトなし、手巻きの正統派を取り上げた。
今回はケースが薄くて上品だけれども、デイト表示や自動巻き機構など、もう少し現代社会にフィットした実用性を備えるドレスウォッチをご紹介。
モダンなドレスウォッチは、古典的なディテールを備えながら、サンレイ加工を施したり、仕上げを使い分ける文字盤でモダンさをプラスするのが特徴。デイト表示を備えるものもあったりと、日常使いにはこちらのほうが便利だろう。今回は登場しないが、現代的なケース素材であるチタンケースやセラミックケースもありだ。ケースは装着性を高めるため、マイクロローター式の自動巻きを採用することで薄さにこだわるブランドも多い。
まずはモダンなドレスウォッチで今年を象徴するパテック フィリップの「ゴールデン・エリプス 5738/1」からだ。
パテック フィリップの中でも、最もドレスウォッチ然としたゴールデン・エリプスに最新の特許取得のチェーンスタイルのブレスレットモデルが登場。このブレスレットは、一見すると金属の線材を編み込んで製作するミラネーゼブレスレットのように見えるが違う。コマをピンで留めて組み立てていくという手法で、300個以上のコマを手作業で組み立ててブレスレットを完成させた。腕に吸い付くようにしなやかで、コマによる組み立てなのでミラネーゼブレスレットとは違い、長さを調整できるのが利点となっている。さらに折り畳み式バックルにも3つの調整ポジションが備わっているので、ブレスレットの長さ調整に関する技術的な欠点は克服したといえるだろう。
ケースの厚さ5.9mmに収まるのは、極薄自動巻きムーブメントのキャリバー 240。マイクロローター式の自動巻き機構によって、薄型ケースを実現し、パテック フィリップの現行コレクションの中でも最も薄い時計となっている。
特徴的な円と長方形の中間のオリジナルの楕円形ケースは、黄金分割からインスピレーションを得たプロポーションでドレスウォッチの極みだ。エボニーブラック・ソレイユ文字盤に、ゴールド製のスリムなシュヴー型の時分針とバトン型のアワーマーカーが良く映える。
COSCやジュネーブシールといった時計の品質規格があるが、ショパールが品質検査を行うカリテフルリエもそのひとつ。精度だけでなく、耐衝撃性、耐磁性など最も厳格な認証機関といわれている。
ふたつの同心円を備えるダイヤルは、アワーマーカーで区分されたいわゆる「セクターダイヤル」デザインで、一見するとクラシカルな印象を与える。しかし目を凝らすと、文字盤中央、チャプターリング、スモールセコンドとパートによって仕上げが異なり、繊細でモダンさが光るデザインだ。ケースは80%がリサイクルスティールからなるショパール独自のルーセントスティール™を採用。溶接で取り付けられたダイナミックなラグはヴィンテージの雰囲気を漂わす。
搭載される自動巻きムーブメントは、香箱を2つ備えることでパワーリザーブも約65時間と実用的だ。マイクロローター式の自動巻きなのでスリムなケースで装着性にも優れている。
精度の高い懐中時計ムーブメントを搭載して大型ウォッチに仕立てたポルトギーゼ。そのスモールセコンド仕様の3針モデルがアップデートを果たした。
アプライドのアラビア数字インデックス、リーフ針、レイウェイミニッツトラックの文字盤デザインはそのままに、新たに黒曜石を意味する「オプシディアン」と名付けた夜空を思わせるブラック文字盤が登場。この艶やかさを実現するために、サンバースト仕上げを施したベースに15層ものラッカーを塗布して、その表面を磨き上げることで光沢感をアップ。進化する透明なラッカーは、不純物がないため発色も鮮やかだ。レッドゴールドケースとの組み合わせでクラシカルな印象を与えるが、現代的な技術の賜物なのである。
さらにダイヤル側とケースバックのサファイアクリスタルには厚みのあるボックスタイプを採用。文字盤の繊細な装飾とカラーをよりクリアに視認できる効果を演出する。またケースバックからは、IWCの独自機構であるペラトン自動巻きを搭載した自社製ムーブメントを鑑賞できようになっている。
毎年のように自社製ムーブメントを発表するフレデリック・コンスタント。今年は32番目となるマニュファクチュールムーブメントFC-706を搭載した「クラシック デイト マニュファクチュール」を発表。先代機の42mmから40mmへとケースサイズをコンパクトにして、ダイヤルにはサーモンカラーの新色を追加。デイトはディスクによる小窓表示ではなく、サブダイヤルで指針式のデイト表示がクラシカルな印象を引き立てる。
新キャリバーは先代機と90%以上同じ部品を使用しながら、香箱を拡大して31%長くしたゼンマイを収めることで、パワーリザーブは従来の約38時間から約72時間へと大幅なスペックアップを実現した。シースルーバックから見えるムーブメントは、これまでのサークル状のペルラージュ装飾から扇状のコート・ド・ジュネーブに変更。インデックスや時分針はダイヤモンドファセット加工を施すなど、ディテールもブラッシュアップし、メリハリの利いたモダンな印象に仕上げている。さらにこれまで2年間の国際保証期間が、5年間に延長された。
STAFF
Writer: Katsumi Takahashi
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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