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日本を代表するウイスキーイベントへと成長した「秩父ウイスキー祭」が、今年もジャパニーズクラフトウイスキーの聖地、秩父市で開かれた。日本国内はもとより、海外からも多くのウイスキー愛好家が参加。終日大いに盛り上がった祭典を、2024年注目の新作を中心にレポートしていこう。
「イチローズモルト」といえば、世界にその名を轟かせるジャパニーズクラフトウイスキーの代名詞ともいえる存在だ。この「イチローズモルト」を製造する「ベンチャーウイスキー 秩父蒸留所」のお膝元で、ウイスキーの文化と愉しみを世界に広げたい。そんな思いのもとに集った有志により、「秩父ウイスキー祭」は2014年に幕を開け、今年で11回目を迎えた。
今回は4000枚用意されたチケットが瞬く間に完売。メーカーや輸入業者90社が試飲ブースを構え、入場者の1割に当たる約400名が海外からの来場者だ。スコットランドから参加したメーカーやゲストも多く、改めて日本のクラフトウイスキーと蒸留所の質の高さを実感することとなった。
試飲ブースは、秩父神社、秩父地場産センター、秩父駅前に設営された大テント会場2か所を加えた全4会場に設置。オープンは11時。西武秩父駅から、大正ロマンを感じるレトロな雰囲気の番場通りを経て、秩父神社へと向かった。
秩父神社には開場の20分前に到着。境内に入ると「秩父グルメフードフェス」が同時開催され、神社周辺は早くもお祭りムード一色。試飲会場の一つ、参集殿に歩いていくと、すでに入場を待つ多くの人の姿が。恒例のオリジナルグラスの引き換え場所にも長蛇の列ができていた。
参集殿には、サントリー、久住蒸留所、三郎丸蒸留所など19社がブースを設置。場内に足を踏み入れると、心が浮き立つようなウイスキーの香りがただよう。会場直後には、ネックストラップに付けたオリジナルグラスに注がれるウイスキーを味わい、思わず「旨いなあ」とつぶやく、ウイスキー愛好家の声があちらこちらから届いてきた。
続いて秩父駅にある地場産センターに移動。ここでは20社以上のブースで試飲を楽しめた。ひときわ長い列を作っていたのが秩父ウイスキーを世に広めたベンチャーウイスキー秩父蒸留所。今年ふるまわれた「イチローズモルト」は、通常バット樽の4分の1サイズの“ちびダル”で、原酒をオリジナル・クオーターカスクで熟成させたシングルモルトウイスキー2種が用意された。
ベンチャーウイスキー秩父蒸留所の隣は、2016年に蒸溜を開始した北海道の厚岸蒸留所のブース。スコットランドのアイラ島に似た気候風土をもつ厚岸に蒸留所をイチから建設し、スコットランドの伝統的製法でアイラモルトのようなウイスキーづくりを目指した。ファーストから高評価を獲得していたが、米国最大級の酒類品評会「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション2021」で、「厚岸シングルモルトウイスキー寒露」などが最優秀金賞を受賞すると、評判は一気に高まった。その人気の高さを物語るように、ベンチャーウイスキー同様、多くのウイスキー愛好家がブースの前に味利きの時を待った。
各ブースの試飲行列が延びる中、会場内のステージに、ベンチャーウイスキーの広報であり、ブランドアンバサダーを務める吉川由美さんが登場。「秩父ウイスキー祭を10倍楽しむウォームアップセミナー!」をスタートした。登壇した来場者にウイスキーにまつわるクイズを出すなど、軽妙なスタイルで愛好家と交流をはかり、場を大いに盛り上げた。
ここまで国内外のウイスキー総覧を端から飲み歩くことに徹していたが、イベントを愉しみながら、このお祭りが、ウイスキーの文化や味わう愉しみを普及させたいという切なる願いに基づいていることに改めて気づかされた。スタッフが様々な方法を用い、ウイスキー愛好家を繋いでいく。この様子を見て、「秩父ウイスキー祭」は日本のウイスキーにとって多大な価値があり、この先、何十年も続いて欲しい良質で実のあるお祭りだと感じた。
地場産センターを後に、駅前に設営された2つの大テント会場に進む。ここではまず、スコットランド・スペイサイド地方を代表する蒸留所『ロングモーン』から、2024年に発売されたばかりのシングルモルト「ロングモーン18年」と「ロングモーン22年」を試飲。フルーティでクリーミーなフィニッシュの18年と、クリーミーとフルーティが複雑に交差する新鮮な味わいの22年を堪能した。
もう一つ、会場で気になったのが、2017年よりウイスキーの製造を始めた鹿児島のクラフトディスティラリー「嘉之助蒸溜所」のシングルモルト「嘉之助」だ。極めて華やかな味わいで、世界的に人気が急伸している理由も納得できる。
毎回秩父ウイスキー祭の実行委員会が厳しいセレクションを行い選定された「秩父ウイスキー祭公式アニバーサリーボトリング」。2024年リリースでは日本とスコットランドから個性豊かな8本のウイスキーが選ばれたのでここに紹介しよう。
右から、
本坊酒造(鹿児島)「ブレンデッドモルト Y.A.(信州&津貫)屋久島エイジング」 度数50%/700ml、小正嘉之助蒸溜所(鹿児島)「嘉之助2018-2024 リチャードカスク」 #18223度数59%/700ml、笹の川酒造(福島)「山桜(YAMAZAKURA) 安積 2019-2024 カベルネ・ソーヴィニョン カスク」 #21243度数62%/700ml、シークレットアイラ(スコットランド) 「2007 15年 シェリーホグスヘッド ハンドライティング」 度数52.3%/700ml、ブレンデッドスコッチ 「1996 27年 ホグスヘッド 秩父ウイスキー祭 バンドラベル」 度数48.5%/700ml、グレンロセス(スコットランド) 「1998 25年 1stフィルオロロソクォーターカスク “BIRD OF CHICHIBU”」 度数49.6%/700ml、リンドーズアビー(スコットランド)「2019-2023 4年 フレッシュバーボンバレル」 度数60.3%/700ml。この他にスコットランド、ドーノッホの「2019-2024 5年 ショートリフィルライカスク」が選ばれた。手に入れることが可能であれば、日本、スコットランドのクラフトディスティラリーが誇る色、香り、味わい、余韻をじっくりと愉しんでいただきたい。
番場通りや駅周辺にはバーや飲み屋も多く見られる。ひと通り会場を回ったあとは秩父神社に近い「秩父の酒場ぶぶすけ」で乾杯。イチローズモルトの「秩父ハイボール」を愉しみながら、次回への期待を語りつつ、この良き日を締めた。
STAFF
Writer: Masahiro Ando
Photo&Editor: Atsuyuki Kamiyama
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