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白州の森に佇み、肌で感じてこそ育まれたウイスキーの真の味わいがわかる

南アルプス甲斐駒ヶ岳の麓、豊かな森に囲まれた「サントリー白州蒸溜所」。2023年に50周年を迎え、リニューアルオープンした。ウイスキーが育まれる白州の森の中に身を置き、空間を体感し、深い緑に囲まれてウイスキーを楽しむ時間は特別なものとなる。早速、次なる旅の目的地としよう。

LIFESTYLE Jan 16,2024

山梨県北杜市、JR小淵沢駅から車で約20分。南アルプス甲斐駒ヶ岳の麓に位置し、豊かな森に囲まれていることから“森の蒸溜所”とも呼ばれる、「サントリー白州蒸溜所」。

「日本名水百選」に選ばれた尾白川（おじらがわ）渓谷にも近く、ウイスキーの製造に適した良質でまろやかな水が得られることから、1973年（昭和48年）、白州蒸溜所が竣工。2023年に50周年となるのを機に、大規模な改修工事を経てリニューアルオープンした。

同じ敷地内にある「白州蒸溜所」と「サントリー天然水南アルプス白州工場」の両工場共通の玄関としてビジターセンターを設けた。場内の見学や見学ツアーの受付として機能するほか、白州の森全体を表現したジオラマや、自然に関する展示があり、これがまた楽しい。

左／白州の森のジオラマ。　右／ジオラマの中に白州蒸溜所を発見。　下／楽しくめぐりながら森の自然の大切さに改めて気付かされる。

南アルプスの花崗岩層をくぐり抜けることによりミネラルを多く含む水を仕込み水とすることで、ウイスキーに豊潤で華やかな風味が生まれ、すっきり軽やかな味わいに仕上がることも知る。

このように今回のリニューアルでは、人と自然のつながりを体感できるよう、随所に工夫が凝らされているという。

バードサンクチュアリの森の中で時間をかけてつくられる

今回、見学ツアーもリニューアルされた。抽選制の有料の見学ツアーは「白州蒸溜所ものづくりツアー（約90分）」と「白州蒸溜所ものづくりツアープレミアム（約130分）」の2種あり、「白州蒸溜所ものづくりツアー」では、仕込みから発酵、蒸溜、貯蔵という「白州」の製造工程をツアー形式で見学。その後、「白州森香るハイボール」などの試飲ができる。

「白州蒸溜所ものづくりツアープレミアム」では、「白州蒸溜所ものづくりツアー」の内容に加え、貯蔵庫内でのテイスティングという貴重な体験や、これまで未公開だったグレーンウイスキーの製造工程も見学できる。試飲も「白州12年」が含まれるなど、より充実したものとなっている。

最初にサントリーのシングルモルトウイスキーがどのようにしてできるのか、プロジェクションマッピングでわかりやすく解説。

仕込槽や発酵槽が浮かび上がり、麦芽がウイスキーになるまでの工程を知ることができる。

続いては工場内に進み、実際に仕込槽や発酵槽を巡り、工程を知ることができる。

蒸溜の工程では、もろみをポットスチル（蒸溜釜）で２度、蒸溜することで、アルコール濃度の高いウイスキー原酒に。銅製のポットスチルは16機あり、釜の形によって異なる味わいの原酒をつくり出す。

貯蔵庫へ移動し熟成の工程も見学できる。湿り気を感じる貯蔵庫の中に足を踏み入れるとすぐに、華やかなウイスキーの香りが漂う。原酒をオークなどの樽に詰め、長い期間熟成することで樽の成分がウイスキーに溶け込み、バニラやナッツの香りなどに似た熟成香が生まれる。

樽の中での色の変化、そして、熟成の間にウイスキーが樽の木目を通して呼吸し、量が少しずつ減っていく現象「天使の分け前（Angels’ share）」もチェックできる。

森の中で長い時を過ごした白州を実際にテイスティングする

有料の見学ツアーの最後にはそれぞれテイスティングが付くので、ゆっくりと白州を味わおう。また、事前予約（無料・先着順）をすれば、「ウイスキー博物館」の見学や、バードサンクチュアリの散策ができほか、「セントラルハウス」の「テイスティングラウンジ」を訪れれば、「白州」のラインナップに加え、約20種類のウイスキーを味わうことができる（有料。1名1回3杯まで）。