J・ボンドが、トム・フォードのオーダースーツに身を包んでいるかのごときスタイル

翌朝、いよいよDBX 707のステアリングを握ることに。ホテルのクルマ寄せで再会した同車は、ベースモデルに対して明らかに迫力を増しているのが印象的だ。

1949年、DB2(プロトタイプ)で初めて採用されたアイコニックなフロントグリルやブレーキ冷却ダクトは、強化されたパワーユニットとブレーキにより多くのエアを送り込むべく拡大。フロントスプリッターやサイドシル、そしてルーフウィングやリアディフューザーといった空力パーツも、ハイパフォーマンス化に伴い大型化されている。

張り出した前後フェンダーや大径タイヤなど、スーパースポーツの定石を踏まえつつも、DBシリーズの流れを汲むエレガントなクーペフォルムで、ある種の“凄み”を包み込んだ佇まい。それは、まさにダニエル・クレイグ演じる筋骨隆々のジェームズ・ボンドが、スタイリッシュなトム・フォードのオーダースーツに身を包んでいる姿を思い起こさせる。シックなラグジュアリーリゾートのクルマ寄せにも、素敵にマッチしていた。

昨日は叶わなかったドライバーズシートに収まる。SUVにカテゴライズされるモデルゆえ、座面は少々高めだが、タイトな着座感やポジションはスポーツカーそのもの。DBX 707が、紛れもなくアストンマーティンのDNAを継承していることを感じさせる。

インテリアに目を向けると、シートやインストルメントパネルにはセミアニリンレザーがあしらわれ、丁寧に施された精緻なステッチが、英国製高級紳士靴のごときクラフツマンシップを感じさせる。

その一方で、センターコンソールに配されたカーボンパネルは、レースにも傾注してきた名門スポーツカーブランドならではのスポーティな雰囲気を醸成している。オーデマピゲのロイヤルオークをはじめ、機械式時計の世界では「ラグジュアリースポーツ」なるカテゴリーが人気だが、そんな言葉がマッチするインテリアだ。

インストルメントパネル中央のスターターボタンを押すと、4リッターV8ツインターボが目覚め、低く抑えられながらも力強いビートをドライバーに伝える。

このパワーユニットは、ベースとなるDBX V8を157PSと200Nmも上回る707PSの最高出力と、900Nmもの最大トルクを発生。2,245kgと決して軽くないボディを、スタートからたった3.3秒で100km/hまで加速させ、最高速度は310km/hに達する。

ハイパワー化に合わせて、9速ATは一般的なトルクコンバーターからレーシングカー由来の湿式クラッチ式に。ストッピングパワーにも磨きを掛けるべく、軽量で優れた制動力を誇るカーボンセラミック製ディスクを採用したブレーキを装備。これによりばね下重量を40.5kg削減することにも成功した。

加えて、ハンドリングのカギを握るエアサスペンションシステムや電子制御アクティブロールコントロールシステムも、DBX 707に合わせてチューニングを最適化したという。

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英国紳士的な品位を感じさせる走り

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