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世界のキッチンを知り抜くジャーナリストがキッチンやインテリアを彩るマテリアルの世界を紹介
スーツやドレスは服地から選ぶテーラーメイドが当たり前。家具やキッチンもマテリアルからオーダーするスタイルが始まりつつあります。キッチンで個性を出したいなら、マテリアル選びがいままで以上に重要です。特に注目したいのはアートマテリアルと言われる、極上の質感を持つ素材たち。
インテリアキッチンはいま、こんなに美しいマテリアルが選べるようになっています。ワークトップやキッチンパネル、扉材など、使える範囲も幅広くなりました。水まわりや料理の油や汚れに耐え、お手入れもしやすいマテリアルの進化で、いまの時代のキッチンはよりインテリアの中で美しい存在になっています。
その背景には、天然石の美しさが再評価されてきたことや、精緻な色柄を再現できる印刷技術の発展で、より自由に色柄を選べるようになったことがあります。宝石や高級時計にも劣らないマテリアルの質感。日本でこんなにキッチンマテリアルへの関心が高まるなんて、10年前は想像できませんでした。
自然界に存在するさまざまな鉱物や水晶を砕いて樹脂でかためたエンジニアードストーンや、大判セラミックタイル、人工大理石など、私たちユーザーが望めば、実際に使いやすく天然石のように美しいキッチンマテリアルが採用できます。何億年もかけて培われてきた天然石資源の枯渇を防ぐオルタネイティブとして、フェイクではなく、サステナブル素材としての認識の高まりがあります。
ここでは日本で実際に買えるキッチンマテルアルから、最新トレンド、極上のテクスチュアを厳選してお目にかけましょう。
デクトンは自然界に存在する20種類以上の鉱物からなる素材です。この柄「アウェィク」はオニリカシリーズの一つで、赤さび色からゴールドへ変わる大きな筋が走る、幻想的な色です。最大サイズ3200×1400mm。(コセンティーノ・ジャパン)
大判セラミックタイルのブランドでは、もっともエレガントな柄が充実しているのがイタリアのマラッツィ。この大判スラブタイルもグリーンがかった大理石柄が左右対称に開いた絵画のような表現。宮殿のような空間にも映えそうなキッチン素材です。石に比べて熱に強くお手入れが簡単、家具から内装まで使える耐久性のある素材です。大半の種類にアンチバクテリア技術「Puro」を施して雑菌の繁殖を抑えるため、キッチンや洗面でも衛生的に使うことができます。(マラッツィ・ジャパン)
「シーザーストーン」はエンジニアードストーンのブランドとして、日本では長く知られています。キッチンのワークトップの人気素材で、特にファッションや車など、仕立てや素材感、機能に意識の高い人から人気があります。吸水率が低いので、雑菌が繁殖しにくく、直接、生地や粉を打っても使えるほど衛生的です。標準サイズは1400×3000mm、ジャンボサイズ(1600×3300mm)対応柄もあります。(コンフォート)
多くの人が、キッチンのショールームで、薦められるキッチンマテリアルが「コーリアン」でしょう。加工性が良く、日本の家庭でも多く使われるキッチンマテリアルで、57色のバリエーションをラインナップしています。無地のホワイトは不動の人気ですが、一方で最近では表現がより多様に。漆喰や鏝仕上げふうの「コテトテ」や、「ユラギ」シリーズの「カームベージュ」(写真)や「カームダークブラウン」は、色がにじみ、流れるような表現で日本的な風合いやアンティークな雰囲気も醸し出します。オリジナルフォルムのカウンターのオーダーキッチンなど、さまざまな現場で活躍中。キッチンデザインの自由度を広げる素材を、日本由来のシックカラーで使いこなしてみてください。(デュポン・MCC)
キッチンにタイル。誰でも憧れるキッチンの仕上げです。以前、タイルと言えば、カントリー風や果物柄しかない、目地の汚れが気になるなどの意識がありましたが、今は全く事情が変わっています。まずモダンでシックな柄の輸入タイルが増え、見ているだけでも楽しい。本物の素材感や経年変化が味わいになる。目地材の技術が進化したなど、タイルはキッチンで積極的に使われる素材に。この「ラメット」は異なる色の土を組み合わせて個性的な柄を施しました。ヘリンボーンや市松模様など、貼り方でも楽しめるモザイクです。(平田タイル)
本間美紀(インテリア・キッチンジャーナリスト)
インテリア視点からのキッチン、家具、住まい、家電、キッチンツールまで、デザインのある暮らしの取材を得意とし、 デザインやインテリアと暮らしを両立させたハイエンド住宅取材は300件以上。住み手とつくり手、 両サイドからのインタビューを重視し、ドイツ、イタリア、北欧など海外取材も多い。著書は『人生を変えるINTERIOR KITCHEN』など。
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