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魚のすり身に豆腐や調味料を加えて成形し、素揚げしたのが鹿児島県の「つけあげ」。琉球料理の「チキアーギ」が伝わり、発音が転じた説や、薩摩藩主の島津斉彬が紀州の「はんぺん」に着想を得て考案したなどの説がある。

ほかの地域では「さつまあげ」「あげかまぼこ」などと呼ばれるのが、鹿児島県の「つけあげ」。魚のすり身や調味料を、なんらかのつなぎと混ぜ合わせて揚げるこの料理、つなぎになるのは、豆腐・片栗粉・卵白・大和芋など。魚のすり身は、旬の魚を使い、鹿児島では、アジやサバ、イワシ、サメ、トビウオを使うことが多いそう。今回、その作り方を教わったのは「つけあげ」発祥の地と言われている、鹿児島県いちき串木野市在住の松㟢敦子さん。作り方はいたって簡単で、魚のすり身に、木綿豆腐と卵を合わせ、ころ合いよく揚げるだけ。タネがとてもやわらかいため、“もどし”というヘラにのせて、タネをすべらせながら油に入れるのがコツだ。
早速作ってみると、市販のさつまあげとは違う、ふわふわの食感。この感動的なほどふわふわの「つけあげ」に秋らしさとパンチをプラスするなら?
まず、アジがメインのすり身に、ひと晩水切りした木綿豆腐と卵、塩を加えて、手でよく混ぜ合わせる。それを3等分し、ひとつにはかぼちゃを電子レンジでやわ らかくしてペースト状にしたもの、ひとつには焼きなすをすりつぶしたものとすり胡麻、もうひとつにはニンジンを粗くおろし、パクチーとクミンとともに混ぜる。スプーンを使ってつくねを作るように成形し、中温の油に落とし、色よく揚げて完成。3種それぞれに個性が出て、来客のときのおつまみにもよさそう。敦子さん、よかったらいちど試してみてください。

材料
〈A〉
アジのすり身 300g
木綿豆腐 300g
卵 1個
【かぼちゃ】
〈A〉 100g
かぼちゃのペースト 50g
塩 小さじ¼
【焼きなす】
〈A〉 100g
焼きなすのすりつぶし 50g
すり胡麻 小さじ1
塩 小さじ¼
【ニンジン】
〈A〉 100g
ニンジンのすりおろし 50g
パクチーのみじん切り (お好みで)1枝分
クミンパウダー 少々
こしょう 少々
塩 小さじ¼
揚げ油

かん農園を営んでいる敦子さんは、嫁いだころから地域の生活研究グループに参加し、そこで地元の人たちと定期的に味噌や麺つゆ作りをしてきた。今は40人くらいのメンバーだが、昔は100人ほどいて、かまどを使って料理講習などを行っていたそう。敦子さんは、そこで習ったレシピを家庭用にアレンジし、自宅では天ぷらなどの揚げ物とともに、大人も子供も食べやすい「つけあげ」を作る。「みんながみんな、魚好きなわけじゃないからね(笑)」。すり身にする魚はいつも、漁業をしている友人からもらった新鮮なものを使う。タネを3つに分け、ひとつはそのまま、ひとつには細切りにしたニンジン、ひとつには刻んだニラを加えるのだとか。コツはそのときに食べる分だけを、その都度作ること。「やっぱり揚げたてがいちばんおいしいから」
※「食のお宝探し」は今回が最終回になります。ご愛読ありがとうございました。
広告や雑誌などでフードスタイリングを手がける。写真の上に食品をのせ、撮影するシリーズ作品「Food On A Photograph」プロジェクトではN.Y.と東京の2都市で展示を開催した。
初出:2023年9月30日発行『AdvancedTime』18号。掲載内容は原則的に初出時のものです。
STAFF
Photo & Text: KAORU
Editor: Yuko Saito
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