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昨今のアウトドアブームを追い風に、屋外でバーベキューグリルを囲み、食べて飲んで語らう特別な時間を過ごす人が増えている。食の楽しみ方は十人十色だが、調理器具としてひと際目をひくのが、アイコニックな球体型のフォルムをもつ、米国のバーベキューグリルブランド「Weber」が生んだ蓋つきグリル「ケトルグリル」だ。
今年で創業70周年を迎えたWeberは、アメリカのバーベキュー文化に幾度となく革新のマイルストーンを打ち込んできた。「ケトルグリル」をベースに進化した機能性に富むWeberのプロダクツは、ステイタスグリルと呼ぶにふさわしい逸品がそろう。歴史とともに、Weberグリルの魅力を今一度振り返ってみた。
裏庭を利用したバックヤード・バーベキューは、アメリカで目にする日常的な風景であり、ホストが「ピットマスター」となってバーベキューを調理しゲストにふるまうホームパーティスタイルのバーベキューも定番となっている。
日本人が驚くのは、総じてピットマスターのバーベキューにかける意識が高いことだ。単に肉の塊をダイナミックに調理しているわけではなく、火加減・焼き加減に目を光らせながら自分流の妙味へと仕上げていく。職種や年齢を問わず、アメリカの一家の主は誰もがバーベキューに並々ならぬこだわりを持っているのである。
1952年にWeberを興した創業者のジョージ・スティーブンもまたバーベキューを愛してやまない典型的なアメリカンダッズの一人。12人の子供の父親である彼は、ファミリーや友人たちに美味しいステーキを提供することに至福を感じていたという。
調理にはレンガ造りの手作り暖炉を使っていたが、彼の大きな悩みは火力コントロールができないことだった。時には大きく燃え上がった火によって肉が焦げ、パーティを断念することもあったという。こうした体験を糧に、何度も試行錯誤を重ね、自分が理想とするバーベキューコンロの新しいアイディア出しに情熱を傾けていた。
ジョージはそのヒントを身近なところで発見する。当時、彼はシカゴ港湾に浮かぶ航路標識「海洋ブイ」を製造する地元企業「ウェーバー・ブラザーズ・メタルワークス」の工場で働いていた。2つの半球を溶接して作られた海洋ブイにインスピレーションを受けて画期的なグリルを思い立つ。球体の半分を炭受けや焼き網をセットする本体に使用し、空気を循環させる空気弁と、腰を屈めずに調理ができる脚を追加して、世界初の蓋つきグリル「ケトルグリル」を生み出した。
最大の特徴は蓋にある。蓋が付いたことでグリル全体の火力調整ができスモークも可能になり、肉の塊のみならず、魚介類や野菜も美味しく焼きあがった。
しかも蓋があることで中の熱が逃げず効率よく対流するため、熱が肉全体を包み込み、食材の香りを封じ込めたまま、表面はカリッと、中はふっくら、肉汁を逃さずに焼き上げることができる。均一に食材に火を通すことができるので、一部だけ焦がすという悩みも解消された。直火で焼くよりも食材から出る脂が火に落ちにくいため、フラットオープンのグリルに比べて煙の発生を防ぐ効果もあった。
もともと自分用として開発したものであったが、周囲のバーベキュー好きはジョージの「蓋つきバーベキューグリル」に一方ならぬ興味を示し、料理を味わった誰もがこの発明の虜となった。評判のよさを受けて製品化に踏み切ったジョージは、ピックアップトラックに商品を積んで全米各地で販売を行い大きな成功を収めると、Weberのグリルはアメリカが誇るバーべキューグリルの代名詞となっていった。
それから70年、ジョージのケトルは、ダンパーや蓋、ハンドルなどを改良しながら進化。同時にバーベキューグリルのステイタスブランドとなったWeberは、高品質で高性能な木炭やガス、電気、ウッドペレット、スマートグリルの業界標準を創造し続けてきた。
キャンプ場にも気軽に持ち運べるコンパクトな「スモーキージョー」、ガーデン用としてシニア世代に人気のガスグリル「ジェネシスシリーズ」、毎回パーフェクトなバーベキューを簡単に調理できる電気グリル「PULSEシリーズ」など、初心者やシニアでも美味しいバーベキューを作れる器具が開発されている。
庭先やキャンプサイト、ベランダなど好きな場所で屋外バーベキューを楽しんでみてはいかがだろうか。
世界シェアトップクラスの米国バーベキューグリルブランド「Weber」が、創業70周年を記念して、創業当時にバーベキュー文化に革新を起こした「Weber®オリジナルケトル®」のアニバーサリーコレクションを発表した。
アメリカの1950年代をイメージしたノスタルジックかつユニークなカラーとこだわりのディテールが特徴で、オーナメント付の蓋用温度計、ホワイトウォールの車輪、ウッド調のナイロンハンドル、頑丈な収納用ユーティリティトレイを備える。1950年代のアメリカの「黄金時代」を彷彿とさせるネーミングが付けられた4カラーをラインナップする。
左上から時計回りに、ホットロッドイエロー、ダイナーグリーン、ハリウッドグレイ、ロックンロールブルー。本体直径57cm、全体サイズ(蓋閉) H107×W65.5×D75cm。6万9900円。
STAFF
Writer: Masahiro Ando
Editor: Kaori Sakurai
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