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アートを楽しむことで、人生がもっと豊かになる。外に出る機会が減ってしまった今、住まいでアートを楽しむという選択はいかがでしょうか。「SUMUFUMU TERRACE 青山」という積水ハウスのショールーム施設では、自分にとって特別なアートと出合える。
往古来今、アートは人々に感動を与え、気づきを促す存在だ。美術館などで鑑賞するだけでなく、身近な暮らしにアートを置くことは、人生の豊かさにつながっていく。暮らしとアートのヒントを与えてくれる施設が、東京・外苑前にオープンした。
デザイナー佐藤オオキさんが率いるデザインオフィスnendoがデザインした積水ハウスのショールーム施設「SUMUFUMU TERRACE 青山(スムフム テラス アオヤマ)」(港区南青山2)が2022年2月、外苑前駅近くにオープンした。「SUMUFUMU TERRACE 青山」は、人々に暮らしのインスピレーションを提供し、 “理想の住まい”を一層実現するための施設として誕生。住まいをアップグレードさせる素材が並んでおり、 “理想の住まい”を相談できる。また、同施設では、「SEKISUI HOUSE meets ARTISTS」というプログラムを提供し、アートへの感性と想像力を刺激する作品を提案している。
早速、「SUMUFUMU TERRACE 青山」に入っていくと、よくあるショールームとは違った開放感を感じる。ショールーム的な要素を最小限にとどめ、ガラスと植物で仕切られた回廊型の空間にカフェやギャラリー、ラウンジコーナーといったスペースが配置される。全てがひとつに繋がっているようでありながら、緩やかにエリアが分節されている。不思議な感覚を持ちながら移動すると、自分のいる場所がどのカテゴリーのエリアなのか、わかりにくいのだが、これこそ、現代的な多様性を意図した、この施設の特質だ。
さらに、この空間を彩るアートやデザインも目を引く。「SUMUFUMU TERRACE 青山」では、「SEKISUI HOUSE meets ARTISTS」と題して、積水ハウスで家を建築するお客様とアーティストが出合い、住まいに飾るアート作品を受注作成、または展示作品から選ぶことができ、アートとの新たなライフスタイルを提案してくれる。アーティストたちと直接対話することで、住まいに飾る作品への想いや過程を共有し、より特別な作品にすることができる。今回は「SEKISUI HOUSE meets ARTISTS」に参加しているアーティストの作品を紹介しよう。
絵本作家である荒井良二さんのアート作品『百一年の家の絵本』には、扉付きのオリジナルフレームが付いている。家という絵本のなかで、一日一日と、家族の物語が紡がれていく。絵本にも扉があるようにこの作品にも扉がある。さらに荒井良二さんは、「アートは必ずしも心地の良いインテリアじゃない。闇も含んでいる。日常に漫然と開かれているんじゃなくて、見たい時にちゃんと対峙できるよう扉をつけたい」と話す。扉を開けると、穏やかな光が暗闇の中から溢れるように感じる。人々の心や暮らしに寄り添うような暖かい作品は絵本作家だからこそ生まれたアートだ。なお、荒井良二さんの作品は、絵本作家との対話からはじまるオーダーメイドで、自分だけの特別な作品を住まいに飾ることができる。
写真家の石川直樹さんがヒマラヤへの旅で撮影した写真が展示されている。それらの写真は美しくも静謐にそびえたつ、8,000メートル級の山々だ。酸素濃度が地上の1/3しかなく人間が長くはいられないデスゾーン(死の領域)で撮影されている。石川直樹さんの写真からは、自らがその場にいて山を見上げているかのような大自然の雄大さと荒々しさを感じられる。オーダーする写真をセレクトする際には、石川直樹さんが自ら解説するスライドショーも附属するので、より深く、作品への想いを共有することができる。
アートチームの目[mé]の作品は二つの石。思わず通り過ぎてしまいそうになるほど“普通の石”。これも作品なのかと見ているとかすかな違和感が。この二つの石はまったく同じ見た目をしていたのだ。この作品の創作過程は一風変わっている。それは、川べりで理想的な〝普通の石〟を探すところから始まる。〝普通の石〟を、体積や見た目の細部にいたるまでトレースし、砂を硬化させて形作ったものを複数製作。まったく同じ見かけの〝石〟をこの世に複数存在させるのだ。そのうえで、オリジナルと制作した石をシャッフルし、ひとつを川に投げこんでしまう。製作者も、いま手元にあるのがオリジナルか、制作した石なのか分からないのというのが目[mé]の作品。オリジナルかそうではないかを、謎のままにするところがこのアートの真髄だ。芸術の価値というものを考えさせる作品である。
ラグジュアリーな邸宅の価値を高めてくれるのは、インテリアや建築材なども、もちろんだが、感性を刺激するアートもまた、欠かせない存在。経済的な豊かさだけでは、人は満たされない。コロナ禍が終息していない現在、自宅で共に過ごすアートは自分の中にある美意識や、感性、心の豊かさを形にしてくれる存在だ。人生で多くの知見を積んだ成熟世代にとって、その先の人生へと向かう指標としてアートほど必要とされているものはない。
この施設には、その他にも、東京藝術大学の学生たちのアート作品も展示されている。まずは、「SUMUFUMU TERRACE 青山」にコンタクトしてみてほしい。
STAFF
Writer: Madoka Nakaza
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