海と隠岐の島々が磨きあげた最高峰の食材を、最上の瞬間に。グルマンの心を虜にするローカルガストロノミー/後編

四方を日本海に囲まれ、独自の生態系と大自然を持つ隠岐諸島は、まさに食材の宝庫。それは隠岐を旅すべき大きな要素のひとつ。船で島を巡りながら、グルメホッピングするという楽しみだ。大自然の神秘的な風景に溶け込み、絶景を堪能した後に味わう島の恵みは、旅の記憶をよりいっそう深いものにしてくれる。

TRAVEL Nov 2,2026
海と隠岐の島々が磨きあげた最高峰の食材を、最上の瞬間に。グルマンの心を虜にするローカルガストロノミー/後編

魚種が豊富な隠岐の海。雄大な自然、島の環境や食材の魅力に惹かれて移住する人たちも少なくない。なかでも、移り住んだシェフが作り出す、隠岐ならではのイタリアンやフランス料理が味わえると、近頃では食通たちの間でも話題を呼んでいる。

1日1組限定のオーベルジュ「新屋敷」は島の我が家

島後(隠岐の島町)の西郷港から約30分のドライブで到着する「新屋敷」は、オーナーの宮本咲季さんと、シェフの谷口忠広さんが営む、1日1組限定のオーベルジュだ。

「新屋敷」の外観の画像
石州瓦の屋根が島根らしい築120年の民家をリノベーション。

一棟貸しの完全にプライベートな空間で寛いでいると、ディナータイムにはふたりが訪れ、目の前で仕上げる料理とペアリングのワインを楽しむ極上の夕食がスタートする。

プライベートダイニングの画像
プライベートダイニングは特等席。

農薬は使わず、土づくりから行う自家菜園で育てたイタリア野菜やハーブ、隠岐の自然が育んだ山菜や果物、そして、地元の漁師から直接仕入れる鮮魚や貝類といった海からの恵みを受けて作り出される「本日のメニュー」は、お任せのディナーコース。

食事に寄り添うワインは、ソムリエの資格も持つシェフの谷口さんがセレクトしたもの。料理との相性はもちろんのこと、飲み手のペースに合わせてくれるのもありがたい。テーブル越しにシェフたちと料理や食材についてやり取りしながら食べ進めるうちに、隠岐の島の暮らしなどの話にもなり、大いに盛り上がる。

「竹塩米とカラスミ、独活のインサラータ ディ リゾ(米の冷製サラダ)」の画像
「竹塩米とカラスミ、独活のインサラータ ディ リゾ(米の冷製サラダ)」。
「岩牡蠣とレモン 自家菜園蕪のズッパ」の画像
「岩牡蠣とレモン 自家菜園蕪のズッパ」。
「金目鯛の串焼き ほろほろ鳥胸肉のインパデッラ」の画像
「金目鯛の串焼き ほろほろ鳥胸肉のインパデッラ」。

金目鯛の串焼きは、皮のついた金目鯛を串に刺して焼くという地元漁師さんの手法を融合させたひと品。また、前菜のサラダに使われた藤野農園の「竹塩米」のポテンシャルの高さに惚れ込んでいるというシェフ。田んぼに独自の竹塩をまいて栽培され、冷めても強い旨みや腰の強さが特徴だ。翌日の朝食には艶めく炊き立てのご飯と姿を変えて供され、滋味深いおかずとともにゆっくりと味わった。

朝食の画像
地魚の一夜干しを中心に造り、ひじきや隠岐岩海苔、自家菜園サラダなど地産食材満載のおかずが嬉しい。
左/リビングルーム。 右/プライベートな空間の画像
左/居心地のいいリビングルーム。奥にベッドルームや和室がある。 右/プライベートな空間で、なにもしない贅沢な時を過ごせる。
屋外の画像
夜、周辺は真っ暗になり、満天の星空が望めることもある。

食事の後は静かな夜を親しい人とともに。天気のいい晩にはファイヤーピットに薪火が用意され、リクライニングチェアに寝そべって星空を満喫という過ごし方もある。

冬の日本海からの厳しい潮風を防ぐため、シェフ自らが手作りした石垣も見事。敷地内の土蔵も宿泊に活用したいと計画中だ。島の我が家は、日々、進化を遂げている。

古民家をリノベした空間で味わうフランス料理「Chez SAWA」

島前(どうぜん)の知夫村(知夫里島)には信号もコンビニエンスストアもないが、船を乗り継いででも訪れたいフランス料理のレストランはある。

知夫里島を訪れ、ダイナミックな「赤壁」の余韻が冷めやらぬうちに訪れたいのが「Chez SAWA」だ。古民家を改装して生まれたレストランでは隠岐の旬の食材を使ったフランス料理がコースで味わえる。席数が限られるので予約をしてから訪れたい。

フランスで研鑽を積み、国内の高級ホテルでも経験を重ねたオーナーシェフの岡田モミイチさん。世界を巡ってたどり着いたのが、この地。同じく移住者である妻の紗和さんがサービスを担当する。

料理の内容はその日の仕入れによって変わり、訪れた際は岩牡蠣やチカメキントキといった季節の魚介、たっぷりの野菜でもてなしてくれた。

「新玉葱のポタージュ 冷製」と「自家製パン 隠岐の塩とローズマリー」の画像
「新玉葱のポタージュ 冷製」と「自家製パン 隠岐の塩とローズマリー」。
「初夏の野菜 チカメキントキのマリネ」の画像
「初夏の野菜 チカメキントキのマリネ」。
「カサゴのポワレ」の画像
「カサゴのポワレ」。

ほぼ玉葱だけの水分で作られたポタージュなど、素材の魅力を最大限に引き出した料理の数々を堪能した。

慌ただしい旅は、ここには似合わない。元牛舎を改装したオーベルジュもスタートし、ゆっくりと島時間を堪能できるようになった。

お土産も忘れずに。街歩きの楽しみも

島後の玄関口・西郷港からほど近い、八尾川沿いにある商店街をそぞろ歩き、カフェで一服したり、お土産を探すのも楽しい。

「京見屋分店」は、隠岐や島根の特産品や加工品、地元の伝統的な「袖師窯(そでしがま)」の器、暮らしの道具などが揃うセレクトショップ。併設のビアスタンドでクラフトビールやコーヒーを片手に語らう島民の姿もある街の立ち寄り処で、旅の情報も入手できる。

「京見屋分店」の画像
元はお茶屋を営んでいた「京見屋分店」。
島根県内の出西窯や森山窯などの画像
島根県内の出西窯や森山窯などの温もりのある器も。

「やっぱりガツンと海鮮丼も食べたい!」という向きには、西郷港からすぐの「フィッシャーマンズワーフ隠岐」へ。2階のレストランでは、地元の新鮮な海の幸と、隠岐牛を一度に味わえるから、隠岐旅の始めに、あるいは、隠岐グルメの仕上げに立ち寄ってみてはいかが?

「隠岐サザエ丼」の画像
サザエの刺身、煮付け、天ぷらが一度に味わえる名物「隠岐サザエ丼」。

>地球の記憶を抱き、神々が集う特別な島。心をほどく隠岐諸島への旅/前編はこちら

お問い合わせ先
隠岐の島旅
https://www.e-oki.net
新屋敷
080-3063-3473
https://oki-shinyashiki.com/
Chez SAWA
050-8885-0767
https://chezsawa.jp
京見屋分店
08512-2-0425
https://kyomiyabunten.com/
フィッシャーマンズワーフ隠岐
https://www.oki-suehiro.com/fishermans

協力/(一社)隠岐ジオパーク推進機構

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