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リニューアルオープンした「ブリオーニ銀座」

銀座通りに面した、明るくも品格ある空間

2月初めにリニューアルオープンした「ブリオーニ銀座」。「スローラグジュアリー」の精神が具体化された空間はイタリアと日本の感性が巧みにミックスし、独自の落ち着きと、居心地の良さがある

FASHION Feb 10,2025

2月7日（金）にリニューアルオープンした「ブリオーニ銀座」。それまでの銀座6丁目、並木通り近くの一角のインティメイトな印象の空間とはうって変わって、銀座通りに面した1丁目に移転し、よりオープンなスタンスで、同ブランド独自の落ち着いたラグジュアリーを展開している。

イタリアと日本、過去と現在、創造性と職人性が交錯する場所

ブリオーニ銀座の画像 — 「ブリオーニ銀座」のファサード。重厚なマーブルが印象的。その一方で、銀座通りに面していて、開放感がある。

マーブル模様が印象的なファサードは、近年界隈に増えているブランドショップと比べても、より重厚感があり、オーセンティックな雰囲気。その一方で、ショーウインドーに配されたトルソーは、近年の“ブリオーニ”が追求するモダンなテイストのカジュアルシックなスタイリングで、そのコントラストとミックス感こそ現在の“ブリオーニ”の魅力ともいえるだろう。

ブリオーニ銀座の店内の画像 — エントランス正面に配されているのは、花房壽夫氏による一枚板のテーブル。敷かれているのはM.I.T.A.のタペストリー。そしてエントランスを入って右側には、銀座限定である“ブリオーニ”のウィメンズコレクション「La Donna」が並ぶ。

店内は、白っぽい天井と床、外光とモダンな照明が生み出す明るさの中、インテリアに多く配された木材の質感が印象的。エントランスに置かれた一枚板を使ったテーブルは、ニューヨークで活躍するアーティストであり、障子などのインテリアを手がける『MIYA SHOJI』のオーナーでもある花房壽夫氏によるもの。その日本的でオーガニックな存在感は、店舗空間の基調を成すものともいえる。

店内にはイコ・パリージ、フランコ・アルビニ、フランカ・ヘルグ、アントニオ・ピヴァら著名デザイナーによる、1950年代～70年代のイタリアンヴィンテージ家具が配されている。クラフツマンシップとモダニズムが融合したそれらの家具には、“ブリオーニ”の各アイテムとも共鳴するような存在感がある。さらに昨年リニューアルオープンした「ブリオーニ阪急メンズ大阪店」に続いて、ミッドセンチュリーに人気を博したM.I.T.A.(Manifattura Italiana Tappeti Artistici)の、リクリエイトされたタペストリーが使われている。イタリア語で「港」を意味する「RADA」と名付けられたこの作品は、かつて銀座に広がっていた堀や運河に着想を得てセレクトされたという。

この銀座という街、その歴史との繋がりが端的に表現されているのが、店内奥のソファのある空間に配されたウォールタペストリー。「ブリオーニ銀座」から数ブロック離れた場所に店舗を構える森岡書店の店主・森岡督行氏が、江戸時代の地図『寛永江戸図』をもとに描いたイラストを拡大し使っている。サインペン調のタッチでポップに描かれた古地図は、現代と過去を巧みに連関させたものといえるだろう。

こうした繊細かつ多岐にわたるクリエイティヴィティが盛り込まれ、“ブリオーニ”が提唱する「スローラグジュアリー」が表現された空間で、ビスポークサービスをはじめ、フォーマルウェア、レジャーウェア、レザーグッズ、シューズ、アクセサリー、フレグランスなど、幅広いメンズアイテムが揃う。さらにウィメンズコレクション「La Donna」が、日本国内ではこの銀座店限定で展開されている。昨年にはイタリアのアブルッツォ州ペンネにテーラーリング（仕立て技術）の学校も設立したという“ブリオーニ”。同ブランドの、静かながら確固たるものづくりへの意思は、こうした店舗空間にも、確実に息づいている。