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モデルとして活躍し、インテリア・料理・植物の世話など、日々の暮らしを発信する大人の女性の憧れの存在、桐島かれんさん。この度、共著で自叙伝を上梓した、母である作家・桐島洋子さんへの思いを語っていただいた。
20代前半でモデルとしてデビュー。広告や雑誌の世界だけに留まらず、音楽活動や女優など、幅広く活躍してきた桐島かれんさん。28歳で結婚してからは、4人の子どもの母となった。家庭が中心の生活を送る中、30代半ばで、世界を旅して集めた伝統工芸品や手仕事を紹介する店「ハウス オブ ロータス」を始めた。
「住んでいた自宅の洋館の一部で、不定期に開いていた気まぐれなお店でしたが、自分の世界観を表現できたことは大きかったと思います。結婚したときには、ゆっくりと絵を描きたいと思っていたのですが、いざ子どもが生まれると、自分だけの時間は、ほぼ皆無。4人の子育てで腕の中に赤ん坊がいる状態が、12年間続きました。絵は描けなかったけれど、自分が好きなもの、美しいと思うものを集めたお店をつくることで、自分のクリエイティビティを築いていくことができました。世界中の玉石混淆の品々から物を選ぶ審美眼は、幼いころから母と一緒に海外を旅して、さまざまな文化に触れてきたことで鍛えられました。市場での値段の交渉術も母仕込みです(笑)」
かれんさんの母である作家・桐島洋子さんは、アメリカ人男性と恋に落ち、未婚でかれんさんと妹のノエルさん、弟のローランドさんを出産。仕事に恋に旅に、情熱的な生き方は’60年代から’70年代にかけて“自立した女性”の先駆けとなった。
「知的でありながら自由奔放。大胆不敵な行動力で“翔んでる女性”とも言われて、多くの女性たちに支持されましたが、良妻賢母の女性たちからは、かなり反発も受けたようです。それでも怯むことなく、堂々と前を向いて、母は生きてきました。人生は一度きり。自分の人生を、自分で責任をもち、全力で働いて、全力で楽しむのが母らしさです」
桐島洋子さんは6年前に雑誌で自叙伝の連載をスタートさせたが、認知症の診断を受け、1年余りで書き続けることができなくなった。長く眠っていた自叙伝の続きを、かれんさん、ノエルさん、ローランドさんが書きつなぎ、二世代で“桐島洋子という生き方”を伝える新刊『ペガサスの記憶』にまとまった。
「あらためて母の文章を読み直して、80歳を過ぎても、なんと瑞々しく、気品ある力強い言葉なのだろうと驚きました。そして、男尊女卑があたりまえだった昭和の時代に、こんなにも果敢に、自由に、自分の人生を謳歌した女性がいたことを残しておかなければ、と思ったのです。母はいつでも仕事優先で自分が原稿を書いている間、ホテルのロビーやプールに子どもだった私たちを野放しにしたり、学校の運動会や授業参観には来たことがなかったり、放任主義のエピソードは枚挙にいとまがありません。私たちも子どもなりに複雑な思いがありましたが、だからこそ妹や弟との結束が強まったともいえます」
桐島洋子さんの著書を読んだ若いシングルマザーの女性からは、今でも「子育て中に勇気をもらいました」と言われることがよくあるという。「母は初めて会う人でも、どのような環境にある人でも、対等に心を開き、接してきました。冷静に物事を観察し、フェアであった母の生き様を『ペガサスの記憶』で伝えることができたらうれしいです」
桐島洋子さんの痛快な青春時代、昭和の時代を動かした男性たちとの出会いや恋愛、作家である母のもとで育った子どもたちの素直な心情も綴られる。
1964年神奈川県生まれ。学生時代にモデルの仕事を始め、女優・歌手・ラジオパーソナリティなどマルチに活躍。写真家・上田義彦氏と結婚後は4人の子どもを育てながら日々の暮らしを提案し、現在、ファッションブランド「ハウス オブ ロータス」のクリエイティブディレクターも務める。著書に『ホーム スイート ホーム』(アノニマ・スタジオ)、『ラブ オブ ライフ』(Gakken)、『KAREN’S』vol.1,vol.2(KADOKAWA)、『桐島かれんの緑のある暮らしLife with Plants』(宝島社)など。今、最も夢中になっているのは、観葉植物や家庭菜園など植物の世話をすること。現在、4人の子どものうち、長女は独立、三女は海外留学中で、写真の愛犬・シュナプーのダリのほか、トイプードルのセザンヌと愛猫のライカも大切な家族。
●掲載商品の価格はすべて、税込み価格です。
初出:2022年7月2日発行『AdvancedTime』12号。掲載内容は原則的に初出時のものです。
STAFF
Model: Karen Kirishima
Photo: HONTANI
Cooperation: Hisae Tanibuchi (Studio Audubon)
Text: Ayako Takahashi
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