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詩情の時計と呼ばれる、ヴァン クリーフ&アーペルの時計コレクション。 プレジデント兼CEOのニコラ・ボス氏へのインタビューを通して、尽きない魅力を探る。
時計を手に入れるという喜びがある。ましてやそれが職人の技術の粋を尽くして仕上げられる複雑時計ならなおのこと。ヴァン クリーフ&アーペルは、その喜びにもうひとつ、持ち主の人生を彩る「時」に寄り添うというメゾン独自の要素を付け加えた時計を発表し続けている。それが、今回とりあげた「ポエティック コンプリケーション」と呼ばれる時計たちだ。情緒豊かでポジティブな世界観に基づくロマンや感動、そしてファンタジー。そこにハイジュエラーならではの宝石やテクニックを組み合わせて生み出すコレクションは、世界中で高い支持を集めている。
中でもその象徴といえるのが、橋の上での恋人たちの邂逅を表現した「レディ アーペル ポン デ ザムルー」。エステル・アーペルとアルフレッド・ヴァン クリーフの結婚を機に創業という、「愛」から生まれたメゾンそのものを表すかのような名作時計である。9年前に発表されたが、今回新たに「四季」、「日中」、そしてメンズモデルが加わり、そのストーリーがより広がった。時計づくりというと、まず機構を進化させることからスタートするのではないかと想像するが、ポエティック コンプリケーションはストーリーから始まる。プレジデント兼CEOのニコラ・ボスは、「このような時計の制作にあたっては、なによりそれを着用する方の生活の一部となり、楽しめるものにしたいと思っています」と語る。「“ポン デ ザムルー”は、パリの夜を背景にした時計を最初に発表しましたが、同じデザインのベースで日中、そして四季を表現してはどうかと。なぜこの2パターンかというと、時のビジョンを展開できるからです。たとえば『四季』では、様々なモチーフや色・形を使って、人々が目にする風景が、時間と季節によって変わっていくことを表現しています」。そのストーリーは細部にわたってちりばめられている。「ポン デ ザムルー」では、実は内部のムーブメントにも男女がいるのをご存じだろうか?ダイヤル上のふたりがキスをしているとき、時計の中でもプライベートなキスが交わされているのだ…なんともロマンティック!
コレクションの時計はそれぞれ妖精や宇宙、自然といったコンセプトがあり、それらを包括するのが「ポエトリー オブ タイム(詩情が紡ぎ出す時)」というテーマ。「ポン デ ザムルー」は、現実の人間のラブストーリーも表現している。パリの美しい街並みを背景に、季節や自然に呼応するような、恋人たちの「情感」もまた描かれているのだ。冬の恋人たちの、寒さを感じない熱い心、春の訪れを一緒に感じる喜び…と、持ち主は現実に重ね合わせて思いを馳せることもできる。あるいは、「待ち合わせ」のロマンティックな記憶を思う人もいるかもしれない。永遠に感じるほどの恋焦がれる気持ち、共に過ごす幸せな時間がまるで一瞬に過ぎてしまうような速さ。時間とは、実は極めてプライベートなもの。そのときの状況や気持ちによって、同じ1分でも感じ方が変わるという経験はだれもがあるはず。ポエティック コンプリケーションは、「時」とそこにまつわる気持ちをも表現していて、まるで持ち主の人生にそっと寄り添ってくれるかのようだ。だからこそ、ここまで心の浄い場所に響く。
どの時計メゾンとも違う、この独自の時計づくりへのアプローチについて、「時計とは、ともすれば精密さ、正確さ、スピードという観点から語られがちで、いわば男性的な世界です。メゾンのアイデンティティをすべての作品で表現しようと考えていますが、独自のビジョンを明らかにするには、時計製造のテクニカルな部分を超えて考える必要があります。宝石や、時計として必要な要素、発想…そして大事なのはストーリーを語ることです」と、ボス氏は語る。ストーリーは、熟練した職人の技術によって、最高の形で実現される。ムーブメントは、名だたるメゾンとの提携も取り入れ、進取の精神でオリジナリティを追求している。
最近では、女性用のモデルを気に入った男性からの問い合わせも増えているという。「男性もハイテクだけではない、詩的な要素とのミックスを好んでいると思います。女性用の時計で使われる妖精や自然といった美的な要素とともに、空や星を男性の見地から表現した男性用の時計など、詩的であるというメゾンのアイデンティティは今後も続いてゆきます。時計にはまだまだ様々な可能性があり、素晴らしいブランドも数多い。他の時計メゾンと競争するのではなく、違うものをクリエイトして補完していくことが、メゾンとしての使命だと考えています」
初出:2019年11月23日発行『AdvancedTime』03号。掲載内容は原則的に初出時のものです。
STAFF
Editor: Asaka Ikeda
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