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ここ数年、インバウンドや昭和ブームも後押しし、人気が高まっているのが温泉旅だ。全国に23施設を展開する星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」のなかから10か所を、その地の魅力を盛り込みながら紹介していくシリーズ。第6回目は、2025年8月にリニューアルオープンした「界 箱根」へ。新設のスイートルームに滞在し、川沿いの憩いの茶でくつろぐ。文明開化期の味を再現した牛鍋に舌鼓を打ち、伝統工芸に触れる体験など、魅力あふれる旅となった。
 
                            神奈川県・箱根湯本温泉は箱根の玄関口であり、1200年もの歴史のある日本屈伸の温泉地。江戸時代に東海道の交通の要衝となって宿場町として栄え、旅人の「一夜湯治」の場として賑わっていたという。
「界 箱根」は、清流・須雲川のほとりに佇む温泉宿。江戸時代には箱根峠へと続く旧街道沿いにある。箱根登山線の箱根湯本駅からタクシーで10分ほどとアクセスもよし。もちろん、ドライブを楽しみながら向かうのもいい。

2025年8月にリニューアルオープンし、自然豊かな箱根の地に根ざした、歴史と文化を感じられる空間へと生まれ変わった。かつて、日本橋から京都までを徒歩で旅した東海道の旅人をテーマに、宿場で荷をほどいた旅道具を想起させるようなデザインやアートワークを随所に取り入れている。
ロビーで目を引くのは、日本橋から箱根を経て京都の三条橋までの東海道の道程を表した木製のアート。高低差も表現していると聞き、箱根の峠が、なんと高いことかと驚く。峠越えの前に、茶屋で一休みしたという話もうなづける。

客室は全室がリバービューのご当地部屋「箱根ごこちの間」。今回は、新設された2室のみの「箱根ごこちスイート」に滞在した。
旅道具であった「三度笠」や「引廻し合羽」を壁面のアートワークに、「わらじ」や「提灯」などがベッドスローに配されている。

畳敷きのリビングの先には天井までの大きな窓が配され、広いソファに落ち着くと、湯坂山の自然の中に身を置いたような気分に。
110平米というゆとりのある空間。寄木細工で作られたトレイやオセロ、ティッシュボックスなどが置かれ、目で楽しむとともに、滞在中に使用してその魅力に触れることができる。

客室の露天風呂で湯あみを楽しんだ後は、坪庭付きの湯上り空間へ。窓の外に広がる自然との一体感を味わいながら、プライベートなくつろぎのひと時が過ぎていった。

「界 箱根」の大きな魅力は、大浴場にあり。客室でのプライベートな湯あみとは、また違った湯あみを存分に。
湯船につかれば、まるで一枚の絵画のように美しくダイナミックな景色、そして、湯面に映る自然の景観が同時に楽しめる。

そして、大浴場を訪れる際に楽しめるのが、壁面アートの「参勤交代今昔物語」。行列をよく見て歩いていくと、ところどころに、スケートボードを楽しんだり、駅伝のタスキを渡している旅人の姿も。


湯上がりに立ち寄りたいのが、新たに中庭に誕生した憩いの場「さわ茶屋」。

かつて、箱根路を行き交う旅人が立ち寄った茶屋に着想を得た、くつろぎの空間だ。チェックイン後の時間はスタッフが茶屋の主人となり、茶と団子でもてなしてくれる。夕食前後には、ハーブティーや焼酎などの酒を片手に、くつろげる。

STAFF
Writer: Fukuko Hamada
Photos & Editor: Atsuyuki Kamiyama
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