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過去のメゾンのアーカイブから導かれた「ベルルッティ・エディション」。今季はアッパーに大胆な「つぎあて」を配して話題となった「ラピエセ・ルプリゼ」を展開。そのコレクションは単なる復刻にとどまらず、時代の価値観と共鳴しながら、新たなストーリーを紡ぎ始める。
先日“ベルルッティ”の「ベルルッティ・エディション」として発表され、この9月より発売の「ラピエセ・ルプリゼ(Rapiécé Reprisé)」コレクション。「ラピエセ」とはパッチなどをあてて修復すること、「ルプリゼ」は反復、つまり修復を重ねることを指している。こう書くと、昨今の話題となったサステナブルなトピックを連想される方も多いのではないか。例えば割れた陶器を修復する日本古来の技法である「金継ぎ」、またはチャールズ国王が自身の靴やスーツなどに「つぎあて」をして使い続けていることなど。そしてそれらの多くは、修復を加えることを経ても、そのモノが持っている価値が減ずることがない、または別種の価値を生み出している。
この「ラピエセ・ルプリゼ」、古くからの革靴好き、または“ベルルッティ”の長年ファンからは、「懐かしい」という声が上がるかもしれない。2005年、当時の“ベルルッティ”当主だったオルガ・ベルルッティ氏が発表したのは、アッパーに別種の革のつぎあてを縫いつけたようなディテールの靴だった。彼女は「この快適な履き心地の靴は、時間の経過を象ったもの。私たちが人生のすべてを共に過ごし、 どうしても手放すことができないあの衣服への敬意を示しているのです」と、その着想源について語っている。
あの衣服とは、近世の貴族たちが修繕を重ねて着用していた、ダブレット(男性用上衣、仏語ではプールポワン)のこと。それら修繕跡のあるダブレットは、1800年代初頭、パリやロンドンの洒落た紳士たちの間で連帯の証になったという。それをマダム・オルガはシューズデザインに翻案したのだった。
19年を経て復活した「ラピエセ・ルプリゼ」。現代の目で見た場合、前出のロマンティックなバックグラウンドの魅力は変わらないものの、その存在にはよりリアルな「近さ」が感じられる。地球環境に対する危機感が共有され、サステナブルであることが重要視される昨今、パッチワークが生み出す美をポジティブに表現した「ラピエセ・ルプリゼ」は、時代の課題に呼応しているように映るのだ。あえて現代に召喚された、と表現するのは言い過ぎだろうか。
今回の「ラピエセ・ルプリゼ」コレクションのシューズは、スマートなラウンドトウの木型「エキリーブル」を使い、スリッポン、ローファー、オックスフォード、モンクストラップの5モデルを展開。パッチの有無を選ぶことができ、さまざまな組み合わせが可能だ。さらに、これも“ベルルッティ”のベテランファンならばおなじみだが、スリッポンモデルに関しては、異なるバージョンの2つの右足と、1つの左足がセットになったトリオ(3足組)が復刻する。今回のトリオは、左右対称のパッチワークと、左右非対称のパッチワークの組み合わせ。靴に関する固定観念を軽々と、エレガントに超越しようとする“ベルルッティ”の企図は、現代においてもがぜん新鮮だ。
また、今回の「ラピエセ・ルプリゼ」では、「エミーオ」「アンジュール」「トゥジュール」「ニノ」の4種のバッグと、財布やベルトなどのSLG(Small Leather Goods)も展開している。それらのコレクションは、シューズ同様に、5つの色調のパティーヌが施されている。大胆に配された手縫いのパッチワークと鮮やかな色との組み合わせは、唯一無二の存在感とともに、クラフツマンシップが導くラグジュアリーの形を、明快に表現している。
STAFF
Writer: Yukihiro Sugawara
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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