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カシミヤなど高品質な素材を使ったアイテムで定評がある“Loro Piana(ロロ・ピアーナ)”。そのこだわりは夏の素材であるリネンでも同様だ。伝統的な製法を継承するリネンづくりの現場と、リネン素材を使った名品「アンドレ・シャツ」を紹介する。
陽光に強さを感じ始めると、がぜん気になるのがリネン(麻)素材の服。スーツやジャケット、シャツにとどまらず、ニットやパンツ、ソックスなど、麻素材は肌に近いほど、その質感で涼味をもたらしてくれる。また麻を巧みに装いに取り入れることは、服や素材に通じた、成熟した感性を表現することにもなる。
イタリア製のリネンファブリックのブランド“Solbiati(ソルビアティ)”。1874年創業の老舗生地メーカーは、1970年代に4代目ヴィットリオ・ソルビアティが主導した、従来はコットンやウール素材で使われていた色や柄を実現した麻素材が高級ブランドで採用され、その名が知られるようになった。以来、イタリアンリネンを代表する存在として、ブルーノ・ムナーリがデザインしたユニークなロゴとともに、世界的に評価されている。
2013年からは、高級ファブリックで知られる“Loro Piana(ロロ・ピアーナ)”の傘下となり、高品質なリネンのほか、リネンにカシミヤやシルク、ウールを混紡した生地なども展開している。そして“ロロ・ピアーナ”のウィメンズ&メンズウエアにおけるリネンファブリックも、この“ソルビアティ”のファクトリーが手がけている。
リネンは、自然の恩恵をもとに、高い職人性を備えた技術により生み出される。“ロロ・ピアーナ”のリネンの原材料は、古くから産地として知られるフランス・ノルマンディー地方とベルギー産の亜麻(フラックス)。そして“ロロ・ピアーナ”のリネン製品は、マスターズ・オブ・リネン™認証を受けた、原材料から最終製品まで100%ヨーロッパ製である。
収穫された亜麻はまず、水に浸したり、露湿にさらすなどして自然分解させるレッティング(retting)という工程で、茎から繊維を取り出しやすくする。乾燥させた後、スカッチング(scutching)という、叩くことで植物の木質芯を分離する作業を行う。伝統的な手法では、職人が手作業で繊維を取り出し、品質の高い麻糸を生み出す。この伝統を、“ロロ・ピアーナ”では尊重しているという。
その後長い繊維と短い繊維を選び分けて整える梳毛を経て、糸づくり、紡績が行われる。“ロロ・ピアーナ”では1kgの糸を引き伸ばすと110メートルにもなる「Nm110」という最高品質のリネン糸も使用している。さらに仕上げの工程ではアロエベラを使った加工を施すことも可能で、抗菌性と吸湿発散性を高めるとともに、柔らかさを生地にもたらすという。
こうしてつくられる高品質なリネン生地を使った“ロロ・ピアーナ”のアイコニックなアイテムが、「アンドレ・シャツ」である。1998年に誕生したこのアイテム、その名は“ロロ・ピアーナ”との仕事などテキスタイル分野で活躍したスイス人アーティストのアンドレ・ピオット氏に由来している。1950年代にナポリで行われていたシャツづくりと、当時の紳士たちの洗練されたカジュアルスタイルから着想されたデザインで、台襟をなくし、幅広く折り返された襟(ワンピースカラー)が特徴。ネクタイを締めても、ノーネクタイでもスタイリッシュに着用できるシャツとして支持されてきた。当初はデニム製だったが、間もなくリネンの「アンドレ・シャツ」が登場し、現在ではさらにユニセックスのアイテムとして展開されている。
今日のラグジュアリーを語る上で欠かせない要素であるサステナビリティの視点からも、リネン素材のウエアは注目されている。リネンの原材料である亜麻は他の作物に比べても持続可能性が強く、灌漑なしで栽培するために水や農薬の使用量が少なくて済むといわれる。また“ロロ・ピアーナ”のリネンを手がける“ソルビアティ”の製品の一部は、少なくとも70%のオーガニック天然繊維を含むテキスタイルを示すGOTS認証を取得している。さらにリネン製の「アンドレ・シャツ」には、QRコードをスキャンすることで原材料の産地から糸、完成品まで全ての生産工程を追跡できるトレーサビリティサービスが導入されている。
紀元前より使われ、人類がつくった最古の繊維ともいわれるリネン。そして今日、服飾の環境負荷が問題視される中で、リネンの価値はより高まっている。また、リネンという素材が持つ強さや、着用を重ねることにより風合いや着心地の変化を楽しめるキャラクターは、サステナブル性の表れともいえる。そしてそんなリネンプロダクトの中でも、“ロロ・ピアーナ”が手がけるアイテムは、その最高峰であることは言うまでもない。
STAFF
Writer: Yukihiro Sugawara
Editor: Atsuyuki Kamiyama
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