ラグジュアリーに進化した、アメリカンウイスキー3選

芳しき“命の水”、ウイスキーの嗜みVol.12

世界5大ウイスキーのひとつに数えられるアメリカンウイスキー。ケンタッキー州で造られるバーボンウイスキーが有名だが、アメリカンウイスキーはアメリカ全土で造られており、ライウイスキーなど様々な種類がある。本場・アメリカでは、2010年頃から、ミクソロジストの台頭と共に、アメリカンウイスキーをベースとしたカクテルの人気が上昇。味の幅も広がり、今や、アメリカンウイスキーは、ラグジュアリーなシーンに欠かせない存在となっているのだ。今回は、原料や蒸留方法、熟成樽にこだわりをもつアメリカンウイスキーをご紹介。生演奏を聴きながらグラスを傾けると、華やかなフレーバーと滑らかなテクスチャーが広がり、贅沢な気分にしてくれる。

LIFESTYLE May 21,2025
ラグジュアリーに進化した、アメリカンウイスキー3選

アメリカンウイスキーの原点・ライウイスキーの魅力を再発見する『ホイッスルピッグ 10年スモールバッチ・ライ』

ホイッスルピッグ 10年スモールバッチ・ライの画像
『ホイッスルピッグ 10年スモールバッチ・ライ』 700ml アルコール度数50% 希望小売価格11,550円(MHD モエヘネシーディアジオ株式会社)

アメリカンウイスキーというと、トウモロコシを主原料としたバーボンウイスキーのイメージが強いが、実は、アメリカでウイスキー造りが本格的に始まった18世紀初めは、ライ麦が主原料だったといわれている。17世紀初頭、スコットランドやアイルランドから、新大陸アメリカへの移住が始まる。メリーランド、デラウェア、ヴァージニアなどに入植し、当地に豊富にあったライ麦でウイスキー造りを始めたという。1791年には、初代アメリカ大統領であるジョージ・ワシントン氏が、ウイスキーへの課税を開始。課税から逃れるために、造り手たちはアパラチア山脈を越え、ケンタッキーやテネシーへ移住した。そこは、トウモロコシ栽培に適した土地で、今度はトウモロコシでウイスキー造りを始めたのである。

アメリカンウイスキーの原料となる穀物は、トウモロコシ、ライ麦、小麦、大麦麦芽などがあり、それらの混合比率を“マッシュビル”という。アメリカンウイスキーの定義にはいくつかの要件があるが、“マッシュビル”でカテゴリー分けすると、トウモロコシが51%以上のものはバーボンウイスキー、ライ麦が51%以上のものはライウイスキーとなる。

ライウイスキーのブランドである『ホイッスルピッグ』は、創業者のひとりで、マスター・ディスティラーとして活躍したデイヴ・ピッカレル氏が、2007年にバーモント州のショアハムに東京ドーム43個分もの広さのファームを購入したことから始まった。オークの樹が立ち並ぶファームで、ブランドのアイコンとなるクネクネ豚と共に、ライ麦畑を耕した。そして、アメリカのウイスキー造りの原点に立ち返り、ライウイスキーを蘇らせようとしたのだ。

過去から学び、より良い方法を生み出すことが、過去を尊ぶことに繋がる――そうした信念のもとに生み出されたのが、ほぼ100%ライ麦の“マッシュビル”で造られた『ホイッスルピッグ 10年 スモールバッチ・ライ』だ。ライ麦の特徴である、控えめな甘さと豊かな風味が存分に引き出されている。アニスを想わせる、心地よいスパイシーな香りはライウイスキーならでは。キャラメルの甘さから、柑橘の酸味、爽やかなミントまで味わいが展開していき、ライ麦のみで造られていることに驚かされる。50%とアルコール度数も高いので、少量ずつ加水をしていくと、ライウイスキーの様々な表情が愉しめるだろう。

ポットスチルでの3回蒸溜でエレガントに磨き上げた、プレミアムバーボン『ウッドフォードリザーブ』

ウッドフォードリザーブの画像
『ウッドフォードリザーブ』 750ml アルコール度数43% 希望小売価格4,895円(ブラウンフォーマンジャパン株式会社) 『ミントジュレップ』 1,400円(BLUE NOTE PLACE)

バーボンウイスキーの聖地・ケンタッキー州のチャーチルダウンズ競馬場で毎年5月第1土曜日に行われるケンタッキーダービー。1875年に初開催され、150年以上の歴史を有する格式高いレースだ。ケンタッキーダービーのオフィシャルドリンクの“ミントジュレップ”は、2日間で約12万杯も飲まれているという。“ミントジュレップ”は、バーボンウイスキーをベースに、ミントをアクセントにした爽やかなカクテル。シンプルなレシピでバーボンウイスキーそのもののフレーバーが際立つ“ミントジュレップ”には、華やかなフレーバーとスムースなテクスチャーの『ウッドフォードリザーブ』がぴったりだ。『ウッドフォードリザーブ』は、1999年から、ケンタッキーダービーのオフィシャルバーボンに選ばれているというのも頷ける。

ウッドフォードリザーブ蒸溜所は、ケンタッキー州に現存する最古のバーボンウイスキーの蒸溜所の1つといわれており、その起源は1812年までさかのぼる。蒸溜所の建物は、アメリカ合衆国の国指定歴史建造物に登録されており、アメリカの歴史を見守ってきたといっても良いだろう。禁酒法の施行や第二次世界大戦の影響で幾度も操業停止に追い込まれるが、ウイスキー造りを諦めず、1996年に蒸溜を再開。エレガントで洗練されたフレーバーは「バーボンをラグジュアリーに飲む」というスタイルを生み出し、アメリカでの”プレミアムバーボン”ブームを牽引した。

蒸溜は、バーボンウイスキーには珍しい銅製のポットスチルを用いて、3回の蒸溜を行っている。バーボンウイスキーを製造するほとんどの蒸溜所がステンレス製のコラムスチル(連続式蒸溜機)を使うなか、ウッドフォードリザーブ蒸溜所では、スコットランドから取り寄せた銅製のポットスチルを用いるのがこだわりだ。もろみを加熱して発生した蒸気が銅と接触することで、華やかなフレーバーは凝縮され、雑味は削ぎ落ち、スムースなスピリッツになるのだ。

良質な仕込み水、ライ麦が多めの“マッシュビル”、木桶での長時間の発酵、ポットスチルによる3回蒸溜、自社で製造した樽での熟成、と各工程こだわりぬいて造られた『ウッドフォードリザーブ』には、200以上の感知可能なフレーバーがつまっているという。スムースなテクスチャーを存分に味わうならストレートで。ミントジュレップにすると、ミントの爽やかさが、『ウッドフォードリザーブ』の持つ可憐な白い花の香りやバニラの甘さを引き立てる。ソーダで割っても苦味が出ないのも嬉しい。

逆境を乗り越え、磨き上げたスピリッツは、勝利を彩るのにふさわしい——。

シェリー樽とワイン樽での後熟で、華やかに進化したアメリカンウイスキー『リージェント』

リージェントの画像
『リージェント』 750ml アルコール度数47% 希望小売価格7,920円(サントリー)

アメリカンウイスキーの中でも、長い歴史を誇る世界的なブランドが多くあるバーボンウイスキー。トウモロコシを原料の51%以上使用するだけでなく、内側を焦がしたオークの新樽で熟成することが、法律で決まっている。そのため、アメリカのウイスキーというと、樽由来のキャラメルやバニラのような甘いフレーバーを思い浮かべる人も多いだろう。

バーボンウイスキーの製法に則り、内側を焦がしたオークの新樽で約5年熟成したバーボンウイスキーを、オロロソシェリーが入っていた樽、赤ワインが入っていた樽にそれぞれ詰め替えて後熟を施し、ブレンドしたのが、革新的なアメリカンウイスキー『リージェント』だ。

『リージェント』は、アメリカのバーボンウイスキーの伝統と、日本のウイスキー造りの技術が融合したことにより生み出された。『リージェント』のベースとなるバーボンウイスキーを造るジムビーム蒸溜所は、220年以上の歴史を誇る。家族経営を続けており、現在は7代目のフレッド・ノウ氏がマスターディスティラーを務めている。バーボンウイスキーを多くの人に味わってもらいたいとの想いから、『ジムビーム デビルズカット』など実験的な製品をリリースしてきたフレッド氏。サントリーの5代目チーフブレンダーの福與伸二氏と出会い、2人でバーボンウイスキーの新たな可能性を模索し始める。

日本のウイスキーは様々な種類の樽で熟成し、それをブレンドしていることに着想を得て、ジムビーム蒸溜所でも、内側を焦がしたオークの新樽だけでなく、オロロソシェリー樽、赤ワイン樽での後熟に挑戦した。ケンタッキー州は熟成が進むのが早く、特に、夏にダイナミックに熟成が進むため、オロロソシェリー樽での熟成期間は1夏、赤ワイン樽での熟成期間は1~2夏と、熟成期間は慎重に見極めた。そして、約6年熟成したバーボンウイスキーを含めた3種類のウイスキーを匠の技でブレンドし、新しいフレーバーを生み出したのだ。

『リージェント』の華やかなアロマを存分に愉しむには、ボルドータイプのワイングラスがお勧めだ。スワリングして空気を含ませると、赤いフルーツを想わせる芳醇な香りが立ちのぼる。飲み進めると、赤ワイン樽由来の苺ジャムのような甘酸っぱいフレーバーと、オロロソシェリー樽由来のドライフルーツのような濃厚な甘みのハーモニーが広がっていく。バーボンウイスキーらしいコクはありながらも、オロロソシェリー樽と赤ワイン樽で艶をまとったウイスキーは、テクスチャーも滑らかでエレガントだ。

アメリカンウイスキーのおいしさを進化させた『リージェント』を飲むと、自分も、きっと進化できる…そんな希望が湧いてくる。

BLUE NOTE PLACE

BLUE NOTE PLACEの画像
@BLUE NOTE PLACE

煉瓦が積み上げられた外壁は、アメリカンウイスキーの聖地・ケンタッキー州を想わせる。店内は、天井が高くダイナミックな空間が広がっており、アメリカに来たような気分に。生演奏を迫力満点に愉しめる1階席から、本格的なバーエリア、落ち着いた雰囲気の半個室まであり、様々なシーンに対応できる。コースからアラカルトまで、フードも充実。自社で栽培したミントを贅沢に使った『ミントジュレップ』は、蒸し暑くなる季節に是非、飲んで欲しい一杯だ。

東京都渋谷区恵比寿4-20-4 恵比寿ガーデンプレイス内
営業時間:月曜日~金曜日18:00~23:00 土曜日11:30~15:30、18:00~23:00 日曜日・祝日11:30~15:30、18:00~22:00
※営業時間はライブにより変更となる場合がございます。
料金:ライブにより、チャージの金額が異なります。別途、サービス料10%
03-3449-1470
https://www.bluenoteplace.jp/

お問い合わせ先
MHD モエ ヘネシー ディアジオ 株式会社
https://www.mhdkk.com/enquiry
https://jp.whistlepigwhiskey.com/
ブラウンフォーマンジャパン株式会社
0120-785047
https://www.brown-forman.com/japan
サントリーお客様センター
0120-139-310
https://www.suntory.co.jp/whisky/legent/

●掲載商品の価格はすべて、税込み価格です。

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